題 名 |
見た日・製作国・監督・俳優 |
感 想 |
美しい夏キリシマ |
04/03/13 日本
黒木和雄監督
柄本佑 |
特攻隊の基地があるキリシマで、肺浸潤になった思春の多感な中学生が、勤労奉仕で爆撃に会い、下敷きになった親友を見殺しにした悩みと共に、彼を取り巻く人々の日常が、美しい風景の中で描き出されていく。
やがて訪れた終戦―その時、彼は、竹槍を振りかざして、進駐軍ののんびりした、隊列に突っ込んで行くのでした。
淡々と描いているのが、気に入った。 |
ションヤンの酒家 |
04/03/27 中国
フォ・ジェンチイ監督
タオ・ホン |
重慶の旧市街に一軒の屋台を持っている女性。この心地よい屋台街にも都市開発の波が押し寄せてきた。
自分の恋も絡ませて、現在、中国が抱える"家族"の問題も抱えて、ションヤンは毎日闘ってい
た。
そこに生きる女を描こうとする。最後、恋人と仲良くなって、一緒に住もうとするが、男は、遊びの対象としかしていなかった。 |
殺人の追憶 |
04/04/03 韓国
ポン・ジュノ監督
ソン・ガンホ |
刑事物。田舎の土臭い刑事と都会から来た刑事が殺人犯を追うが、10人の女が殺され、迷宮入りとなる。
後年、刑事を辞めた田舎刑事が、田圃の中の、その現場に立ち寄ってみると、犯人らしい男も、又、ここを訪れていることを、ここの子供から聞く。映画は、ここで終わっている。
実際あった事件を元に作った映画とのこと。未解決事件だったそうだ。 |
カルメン |
04/04/24
スペイン
ビセンテ・アランダ監督
バス・ヴェガ |
自由奔放に生きる女と純真な男の物語。演じているのは現在の俳優であり、それは美し過ぎる人達である。
今日の朝日新聞に、婦人科のお医者さんの「性感染症 小学校から予防策教えよ」の記事が載っていた。性感染症の実態調査のため、匿名無料診察を行ったところ、125名(平均年齢18.7歳)中、108人(80%)が感染していたそうだ。
もし私が、あのように言い寄られたら、ホセと同じようになるかも、と思う。ただし、私には、声を掛けないだろう。
一休さん、良寛さん、川田順さん、などは、本当に幸せな人達です。 |
わが故郷の歌 |
04/05/01
イラン
監督・脚本・製作:バフマン・ゴバディ
シャハブ・エブラヒミ、アッラモラド・ラシュティアン
|
戦乱のイラクへ! 親子3人のミュージシャンのイランからフセインのイラクへの運命的な旅
クルドの大歌手ミルザのもとに、かつての妻ハナレが救いを求めているという知らせが届く。ミルザは同じミュージシャンの二人の息子を無理やり引き連れて、平穏なイランからハナレの暮らす戦乱のイラクへと旅立つ。国境に近づくにつれ、不気味な爆音が響く中、3人は行く先々でクルドの民族音楽を高らかに演奏した。ようやくイラクにたどり着いた彼らは、美しくも険しい雪山を越え、ハナレがいるという村を目指すが、結局合うことは出来なかった。
クルド語とクルドの音楽を初めて聞いた。 |
パッション |
04/05/15
アメリカ
監督・脚本・製作:メル・ギブソン
ジム・カヴィーゼル |
登場人物は、すべて、当時、実際に話した言葉を使っている。ユダヤ人はアラム語、ローマ人たちはラテン語。だそうだ。
アラム語、ラテン語は初めて聞いた。
キリストの最後の12時間を描いている。描写は、残酷で、ありのままにと言う感じの表現だった。日本人の描写は、残酷であっても、どことなく、綺麗に描かれるが、大陸に住む人達の描き方は、随分、遠慮しているだろうが、そのものズバリの描き方だ。
牧畜の民、陸続きの土地に住み、常に戦争をしていた人達では、殺すことは当たり前の、日常茶飯事だった、と言うことか。
民衆が、司教など、実力者の言うことに、一緒になって、同じ事を叫ぶ。その司教等を支配する、ローマの総督は、その民衆の声に負け、好きなようにしろと投げ出す。異民族の統治が大変だったことを示しているなと思う。
最近の「イラク戦争」、「イラクで拉致された日本人3人への一斉非難」を批判しているように見えた。今も、同じ事を繰り返していると言うことか。
マグダラのマリアを、初めて知った。綺麗な女優さんのためか、印象に残った。
マグダラのマリアはイエスにつき従い、イエスの処刑を最期まで見届けました。また、誰よりも早く復活したイエスと再会を果たした一人、と言う。マグダラと言う言葉には“更生した売春婦”という意味もあるとのこと。
映画では、マグダラのマリアと母マリヤと十二使徒の一人(名前は判らなかった)の3人が一緒に最期を見守っていた。
最後の場面で、手に打ち込まれた釘の穴が開いた、人間が、動き出した。キリストの復活だ。復活は、聞いていたので判ったが、知らない人でも理解出来だろうか、と思う。 |
ヴァイブレータ |
04/05/29
日本
監督:廣木隆一
寺島しのぶ 大森南朋 |
頭のなかで聞こえる様々な“声”で不眠、過食、食べ吐きを繰り返す主人公の女は、現代社会に生きる女のひとつの典型だそうだ。
その女の、特に特別ではない男女のどこにでもある出会い、行きずりの関係と別れの短い時間。
そして、それが、誰かといると言う心地良さ、他人の温度を体感することの安らぎ、同時に心の渇きを潤してくれる。
「わたし、あなたにさわりたい」で始まり、次の日、「彼を食べて、彼に食べられた。ただ、それだけのことだった」で終わる。
現代女性の多くは「私のことが書いてある」と共感との事。今は、そんな時代かな、と思うが、あまり驚かなかった。
赤坂真理作「ヴァイブレータ」を読んでみよう。
|
チルソクの夏 |
04/06/19
日本
監督:佐々部清
水谷妃里 上野樹里 桂亜沙美 三村恭代 |
1977年、韓国と我が国が、まだぎくしゃくしていた時代に下関と釜山の高校生の親善陸上大会があった。出場した高飛びの女高生郁子が、韓国の同じ高飛びの男の子と出会い、淡い恋心を持ち、翌年の大会での再会を約束する。
文通が始まり、仲の良い女4人組が郁子を応援するが、いろいろな問題が発生し、翌年の大会で再会はしたものの、不本意な別れとなる。
二十数年後の2003年、親善陸上大会が復活し、郁子は、二十数年前の大会を思い出しながら、その大会を運営していた。
大会が終了し、昔の4人組戸再会した、郁子に、昔の呼び出しと同じ、呼び出しのメモが届く。多分、二十数年ぶりの大人の再会を果たすのだろう。
誰もが持っている初恋のお話でしたが、心の底をくすぐる演出だった。 |
トロイ |
04/06/24
アメリカ
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
ブラッド・ピット オーランド・ブルーム ピーター・オトゥール |
トロイの木馬のあの物語。
気軽に楽しく見てきた。ある人が、「たるかった」と言うので、「そうでしょう」と言ってしまったが、楽しんでみれば良いと、自分に言い聞かせて見に行った。
漸く和平が成った時、トロイの王子パリスが、ひとりの女を略奪した。女は、スパルタの王妃ヘレン。最も、当時は、略奪結婚は当たり前の事だったようだ。
情熱のあまり他国の王妃を奪って花嫁とした、古代ギリシャの伝説の恋は、トロイとスパルタを始めとするギリシャとの、史上最大の戦いを引き起こす。
ギリシャ軍は千艘の船、そして、「女神の息子」と呼ばれる無敵の戦士アキレス。
アキレスは、自らの名誉と栄光のためだけに戦う、誇り高く倣岸ではあるが、この戦いの結末と、運命の恋の行方を、その手に握っているのだった。
トロイを攻め倦ね、オデッセイが木馬を思いつき、見方を城内に入れ城門を開き、味方を城に導き入れ、あっという間に陥落させた。
城から出て戦うと言うトロイ王。反対する王子。ピーター・オトゥール扮するトロイ王が城から出る決断をする。が負け。
トロイの総大将、王子ヘクトルは、アキレスと一騎打ちをするが、負け、敵の陣地に引きずられて行く。
夜になって、アキレスの元にトロイ王が尋ね、アキレスの手にキスをして、遺体を返すよう要求する。アキレスは、王の勇気を認め返す事にする。その時、良くここまでこれたなとアキレスが言うと王は、ここは俺の領地だからと言う。少し作りすぎ。
諦めて船を返したギリシャ軍は、トロイの木馬を残した。王子パリスは焼けと言うが、城に持ち込む父のトロイ王。
アキレスのアキレス腱を射抜くのは、王子パリスとして描かれているが、ギリシャ神話はどうだったけ。
人の女房を横取りした、王子パリスは、始め、兄、王子ヘクトルにすがりっぱなしの弱い男が、弓を持つと、凛々しい男に変身する。
世界史年表 歴史学研究会編 岩波書店 の前1250年に1行のみ記述があった。
「この頃、モーセに率いられたイスラエル人、エジプトを脱出か。この頃、トロイア7A市が破壊される」 |
ブラザーフッド |
04/06/29
韓国
監督:カン・ジェギュ
チャン・ドンゴン 、ウォンビン
|
現代の戦争の話は、楽しんでみる物ではない。実に残酷無比。大らかさは微塵もない。 1950年、朝鮮戦争の話。母親、弟、婚約者とその兄弟を養う兄と、成績優秀な弟との心の葛藤を描く。
これほどまでに弟思いは、儒教の教えかな。戦争を自分の為にやっている内容だ。
仲の良い兄は弟に、貧しい生活の中で万年筆を買ってやる。ある時、兄弟は、掠われるように兵隊に取られ戦場に送られた。兄は、手柄を立てれば弟が除隊出来ると聞き、命知らずの兵士に変わって行く。
兄を慕っていた弟は、残酷になっていく兄を憎み出す。
やがて、兄は、韓国の英雄になるが、中国軍の参戦により、退却を重ねるが、途中、自宅に寄った弟は、兄の婚約者と共に、アカ狩に会い捕らえられる。再会した兄は、婚約者を疑い、弟は捕らわれる。
婚約者は殺され、兄は必死に弟を探すが、囚われの場所は焼き尽くされ、弟に与えた万年筆を見つけ、弟が死んだと思う。そして、弟、婚約者を殺したのは、韓国と思い、今度は、北朝鮮の英雄になってしまう。
弟は、同僚に助けられ生きていた。南が盛り返し、38度線で、膠着状態に。弟は、兄に会いに戦場に向かう。
前線を離れ北に潜り込むが、見つかり捕虜となり、兄に連絡を取るも、弟は死んだと言って会わない。
戦闘が始まり、敵味方入り乱れての戦場で、兄弟は、再会するが、兄は、弟と理解出来ない。兄は負傷し、弟が必死に兄弟しか判らない話をする。
漸く、弟と理解するが、弟に早く後退しろと言う。兄が万年筆を渡そうとするが、兄は、必ず、家に戻るというので、では、家に帰った時、返してくれと言い残し、弟は後退する。兄は、銃を北に向け、弟を援護し、死ぬ。
50年後、兄の遺体が発掘され、万年筆が出てくる。それにより、弟に連絡があり、50年目の再会を果たす。
韓国の映画は、非常に残酷に戦争を描く(本当は、描かれたより以上に残酷と思う)。人を殺す事を描く。又、国際法違反の捕虜を殺す事も。やはり、大陸に暮らす人達なのかなと思う。
源平合戦、戦国時代、我が国でも、親子兄弟が敵味方に分かれ、殺し合った。しかし、負けた方の大将が死ねば、それでお終いという所がある。
弟が、北に潜り込み、兄に再会し、無事に、南に後退する所は、作った物語という気がする。
ただ、韓国は強かった、と言う感じは、全然無かった。それにしても、朝鮮戦争は、残酷な戦争だった。
|
アドルフ
イザベル・アジャーニの惑い |
04/07/31
フランス
監督:ブノワ・ジャコ
イザベル・アジャーニ、スタニスラス・メラール
|
むずかしい小説の映画化で、映画を理解するのが大変だった。余りよく判らなかった。以下、そのストーリー。
大臣の父親を持つ、若いアドルフは、赴任先で、10歳年上の伯爵夫人、幸せそうなのにどこか寂しそうなポーランド人のエレノールをひとめ見て恋に落ちた。が、エレノールは余り乗り気でなく、田舎に休養に行ってしまう。
その後、伯爵の家で逢瀬を重ねる内に、「あなたといる時だけが幸せ」と言う、仲になってしまう。。エレノールの方が危険を冒した行動が多くなり、子供を置いて伯爵の家を出た。友人の夫が、彼女の家を訪れ、「あんな若造にはもったいない」と迫られる。
アドルフは、その友の夫と決闘する事になってしまう。腕を打たれるが、勝ことができた。「愛する者に愛されないのは不幸。だが、愛が冷めても熱愛されるのは大いなる不幸だ」。3ヶ月後、アドルフは帰国する。
エレノールはアドルフの後を追った。彼女を迎えたアドルフは喜んでいるふりをするが、エレノールはそんな彼の気持ちを見抜き、彼を謗った。激しい怒りが二人をとらえ、憎悪からあらゆることを互いに言い合った。そして、二人は初めて言い訳もせず、仲直りもせずに別れた。
家に帰ったアドルフに父が言った。「お前のその歳で愛人を持つのはよくない。エレノールは翌日、立去命令を受けるはずだ」。それを聞いてアドルフは、彼女を今までにないほど愛しく思い、その想いを彼女に告げる。「君に命を捧げる。結婚しよう」。しかし彼女は言った。「あなたは愛だと思っているけどそれは哀れみなのよ」
旅立った二人が国境に着いたとき、アドルフの元に父から手紙が届いた。「お前は24歳だ。青春の最も美しい時期を浪費しているのだ」
二人は小都市に落ちついた。アドルフは彼女を不安にさせないために、不満と悲しみは胸にたたみこんで、素振りには出さなかった。
彼女の父親の死の便りがあり、ポーランドへ。
。「彼女が必要とするならそばにいます」。とアドルフは言ったが、その思いはすべてを言い終わる前に消えていた。二人は毎日顔をつきあわせて、沈黙と不機嫌のうちに、単調な日々を過した。語らいをしようにも泉は枯れていた。
アドルフは、ついにエレノールと別れる決心をしたと父に手紙を書いた。
それから数日後、エレノールは重い病の床に伏した。アドルフの手紙が彼女のもとに届けられ、彼女はそれに目に通すなり気絶し、狂乱状態におちいったのだった。
アドルフは日に日に衰弱していくエレノールを散歩に連れ出し言った。「やり直そう」エレノールは言う。「愛がすべてだったの。でもあなたは違った」。部屋に戻ったエレノールは、アドルフに宛てた手紙を探す。読まずに焼き捨てて言って彼の腕の中で息を引き取った。
エレノールの手紙。「アドルフ、なぜ私を責めるの?なぜ怒りっぽくて弱気なの。何を求めているの?私死ななくてはだめ?近寄るのも嫌なエレノール。本当に邪魔な女。彼女は死んで、あなたは一人群衆の中に出て行く。無関心を有り難がるのも今のうち。ある日彼らに傷つけられ、その時あなたは懐かしむ。あなたへの愛に生き、あなたのために身を投げ出す心。もはや一顧だにされない心を。」
すべてを捨てる、年増の女の愛を受けた時、男はそこから逃れようとする。しかし、何処へも逃げる事は出来ない。その女と男の心を表現したんだろう。 |
誰も知らない |
04/08/07
日本
監督:是枝 裕和
柳楽優弥 北浦愛 木村飛影 清水萌々子 韓英恵 YOU |
カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を貰った、柳楽優弥(やぎらゆうや)、平成2年生まれの主演の映画。
公開の最初の上映を見てきた。席は満席だった。
親に捨てられた子供、4人の生活を丹念に映像化。その長男の6年生が主人公。4人の男親はみんな異なる。
小さな子が居るとアパートに入れて貰えないので、母親は長男と2人暮らしと言うことでこのアパートに入った。小さい子2人は、旅行カバンに入れ運び込み、大きい妹は夜連れ込む。
母親は、小さい子供達に家から外に出たりしないように言う。子供達は、その様な生活に慣れているようだ。
学校に行かせない、男が出来ると子供を置いて出て行ってしまう。多分、始めは、子供を引き取るつもりが、相手に言い出せなく、置きっぱなしとしているのだろう。この母親が、今の世の母親の一面を表している。
子供は学校に行かず、長男が家をお守り。母親は、働きに出たが、ある時、好きな男が出来、家を出て行く。この時から、子供4人の生活が始まる。
食べる、生きる、親の言うことを聞く、そうは言っても、時々、破らざるを得ないの生活が続く。
金が途切れ、ちゃんと払っていたお金が払えなくなり、電気、ガス、水道を止められ、やむを得ず、公園の水で、洗濯、水浴び。
お金が無くなれば、元親に金を貰いに行く。しかし盗みだけはしない。出来ないのかも知れない。
随所に、大人の勝手が映像になっている、子供は母親を慕っている、映像が出てくる。
途中から、いじめに遭っている女子中学生が仲間になる。また、長男に同年代の仲間が出来る。ゲーム遊びや、野球をやる。普通の男の子の生活も経験する。
食べる物が無くなると、コンビニの期限切れのおむすびを貰う。応援してくれる、暖かい目の大人もいる。
ある時、大家が家賃の請求に来る。「親類の子達ね」と言って、去る。のんきな大家のつもりか、理解ある大家か判断しかねた。映画の中では、アパート追い出しの場面は無かった。
1番下の子が死ぬ。何で死んだか判らずに見終わる。兄弟が死んでも、子供達は、淡々としている。
この子とは、羽田へ飛行機を見に行く約束があったので、その子を旅行カバンに入れ、羽田に連れて行き埋める。これを手伝う女子中学生。
映画は、ここで終わる。映画の描き方が、随分と変わってきたんだなと思う。お金は余り掛かっていない。子供の背の大きさが、始めと終わりで違う、1年以上時間を掛けている。
戦乱の中世の子供達を描いた本は少ないが、その中世の子供を描いているように思われた。
黒沢明「7人の侍」の三船俊郎の役と、皆川博子「乱世玉響(らんせいたまゆら)」の蓮如の2人の子を思い出した
「美しい夏キリシマ
」と同じような印象を受けた。何か、こだわった事を表現しようとしているようだ。見る方が考え感じることかな。 |
LOVERS |
04/09/25
中国
監督:チャン・イーモウ
金城武、アンディ・ラウ、チャン・ツィイー |
「紅いコーリャン」、「生きる」、「初恋のきた道」の監督、チャン・イーモウの映画を見てきた。
映画は、CGなどを使って、動きの大きいアクション映画だった。また、「初恋のきた道」で可憐な少女を演じた、チャン・ツィイーが、凄い踊りと武術の強い女を見せてくれた。
特に、踊りは、上手と思った。
唐の下り坂の時代、中央の政治腐敗により治安が悪化、各地で叛乱勢力が台頭する。その中の最大勢力「飛刀門」の討伐を命じられた役人の劉(リウ アンディ・ラウ)と金(ジン 金城武)は、「飛刀門」と繋がりがあると噂される盲目の踊り子
小妹(ショオメイ チャン・ツィイー)を利用して「飛刀門」への潜入を図る話である。
金が、偽りの浪人の身分で、遊郭の踊り子
小妹と騒ぎお起こし、そこに、劉が乗り込み、小妹を逮捕しようとする。遊郭の女将の取り成しで、鼓打ちの舞を踊ることとなる。この踊りが、なかなか凄い。
小妹は、踊りの続きで、役人の剱をを取り上げ、振り回す事になり、牢に繋がる事になってしまう。
ここで、役人でプレイボーイの金が、小妹を助け出す芝居を打ち、劉と金が連絡を取りつつ、2人の逃避行が始まる。
追っ手との間で、「原野の戦い」、「竹林の戦い」があり、二人は互いに相手を誤魔化しているのを、承知の上で親密度が深まっていく。
ついに、小妹の「飛刀門」に到着する。
そこで、劉も捕まり、金の正体がばれてしまう。又、劉の正体も、「飛刀門」の一員で、体制側に潜り込ませたもので、しかも、小妹の恋人だった事が判明。
しかし、小妹は、劉を拒否し、小妹は、金を殺す役目を負う。劉は、再度、体制側に潜伏へと向かう。
小妹は、金を殺す事は出来ず、逆に、金と一緒に、風のように生活しようと誘われるが、断り別れる。
しかし、後を追うことになるが、追いつこうとする小妹は、「絶対に行かせない」と劉に阻まれる。
ここで、金と劉の戦いが始まる。そして、雪の中で、3人は傷を負う。
|
華氏 911 |
04/10/02
アメリカ
監督:マイケル・ムーア |
ドキュメンタリーと言うのだろうが、話の進行が早く、字幕を見るだけで精一杯だった。退屈だった。
映画の前半が、アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュは、911以前から囁かれていたテロの可能性を軽視し、対策を見過ごしてきた、から始まるブッシュ政権批判。
ブッシュやその周辺がマヌケに見える編集と、サウジアラビア、ビンラディン家、軍需産業(カーライルグループ)、石油利権(ハリバートン社)との深い深い関わりを解説。
中盤から後半が、アメリカの階層化した社会の問題。失業率の高い地域の若者が学費稼ぎのために軍に入隊している実体。議員に「あなたの息子を戦場に送る署名」を求めにいくムーア。
イラクに息子を送っている議員は、たった1人だそうだ。
後半から終盤がブラックホークの墜落で息子を亡くした母親の嘆き。
このような物を、ドキュメンタリーと言うのだろう。 |
父、帰る |
04/10/30
ロシア
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
イワン・ドフロヌヴォフ:弟イワン ウラジーミル・カーリン:兄アンドレイ コンスタンチン・ラウロネンコ:父 |
最初の画面は、子供らが高い塔から度胸試しに飛び込む場面から始まる。兄は飛び込むが、弟は、飛び込めず、母に助けられる。
その兄弟のもとに、12年ぶりに父が帰ってきた。息子2人は、なぜ、父は帰ったか判らない。次の日、父は2人を連れて旅に出た。
父と3人の生活が始まる。父は、厳しく兄弟に当たる。
兄は、父に馴染むが、弟イワンは徹底的に反抗する。父は弟をイワンと呼ぶ。”はい、父さん”と言わせる。兄弟を対照的に描いて行く。
最後、父は、イワンがワーニャに変わり、イワンは、父を必死に呼び続ける。
普通の父親と子の間にもある葛藤が、突然現れた父親と子の間には、強烈に出るとの設定で物語が進み、あっと驚く結末。
判らない事:父親が、子供達に黙って、旅の目的地で、箱を掘り出す。結局、中身は判らずに終わる。中に何があったのだろうか?
最近、難しい映画が多い。従って、制作者の意図に関係なく、自分勝手な解釈となってしまう。映画を見ている間、面白く見られれば良いのかな、と思う。 |
父と暮せば |
04/11/06
日本
監督:黒木和雄
宮沢りえ 原田芳雄 浅野忠信 |
原爆で生き残った、後ろめたさから、幸せになる事を嫌い、ひっそりと生きている主人公の物語。原爆で死んだ、父が、突然、幽霊となって現れる。その父は、娘の幸福を願い、励まし、なだめ、すかして、終に、娘を幸福になる気にさせる。
ほぼ、2人の話で始終する。その中で、原爆が落ちた時の事、その後の娘の生きてきた事が、我々に判ってくる。
原爆の時、娘は、石の灯篭の影に跪いて、直接、光を浴びなかったが、父は、まともに浴び、壊れた家の柱に挟まれ、身動きできなかった。火事の火が迫る中、娘に早く行けと言う父。終に、父を置いて、逃げた娘。それが、大きな後ろめたさの元だった。
娘は、原爆の資料集めに夢中になる青年に惹かれ、ついに自分の心に素直になる。その父と娘の4日間の物語。 |
透光の樹 |
04/11/13
日本
監督:根岸吉太郎
秋吉久美子 永島敏行 |
「私を買ってください」と言う女。金を出す男。しかし、金で買った愛ではなかった。
東京と鶴来町は、長い距離を隔ててある。白山の麓の鶴来町、手取川、手取渓谷、岩本の十一面観音(岩根宮)、女体后の宮(白山比盗_社)、劔の権現(金剱宮)らの古いお宮。謡曲「歌占」の里、また、隣村、鳥越の鳥越城は、一向一揆の最後の砦であった。昔から、凄いエネルギーを内に占める土地柄の女の物語。
裸のシーンが随分とあった。「R−15」の指定ある映画だった。
数回の逢瀬の末、男は癌で死に、女は、後追いできず、娘を育てた。
その娘が、子を持つ頃の、その母は記憶が薄れた老女になっていた。娘は、その母を見て、「私は知らなかったが、母には、好きな男が居たのだ。そう言えば、時々、家を留守にしていた」と言って、呆然とその母を見ている所でこの映画は終わった。 |
海猫 |
04/11/14
日本
監督:森田芳光
伊東美咲 中村トオル 佐藤浩市 三田圭子 |
漁師の兄に嫁ぎながら、漁師になれない弟をも愛してしまった女。吹きすさぶ雪道の逃避行、兄弟の対決、女の死。
その女の母の生き様も、凄まじい。孫の二人の娘に、母の死に方を、完全に隠し、ばれ始めれば、母は一生懸命生きたのだと言う。
勿論、母の物語が中心。
孫娘の、「お母さんに、何があったの」「本当のことを教えて。お願い」 で、祖母は、その母を語り始める。
やがて夫婦は娘を授かり、はた目には順風の暮らしが続くかに見えたが、静かに夫婦の絆が緩み始める。
そんな中で、何かと面倒を見てくれる弟との思いが交錯し始める。
我慢が出来なくなった女は、実家に帰りたいと言い、弟を訪ね、一夜を共にする。「私は、一度だけ、あなたに抱かれにきたの」
弟の子の二人目の娘が生まれたのを切っ掛けに、後戻りのできない運命の歯車がうねりをもって大きく回り始める。 終にすべてが暴かれ、吹きすさぶ雪道の逃避行が始まる。
観客は少ないが、この映画も、若い人より、年寄りが多い。年寄り夫婦もいた。何処の映画館でもそうかなと思った。 |
隠し剣 鬼の爪 |
04/11/15
日本
監督:山田洋次
永瀬正敏 松たか子。 |
幕末の東北の小藩の平侍、片桐宗蔵は、奉公に来ていた百姓の娘きえと、3年ぶりに町で偶然再会する。
伊勢屋という大きな油問屋に嫁いで幸せに暮らしているとばかり思っていたきえの、痩せて寂しげな姿に胸を痛める。
その後、きえが病で伏せっていると聞いた宗蔵は伊勢屋に乗り込み、強引にきえを連れ帰る。宗蔵の貧しい暮らしが、回復したきえの笑顔で明るい毎日に戻った時、藩を揺るがす大事件が起きる。
江戸屋敷で謀反が発覚したのだ。首謀者の一人である狭間弥市郎と宗蔵は、かつて藩の剣術指南役だった戸田寛斎の門下生だった。戸田はなぜか、一番腕の立つ弥市郎ではなく、宗蔵に秘剣“鬼の爪”を伝授していた。
まもなく弥市郎は脱走、宗蔵は家老から弥市郎を斬るように命じられる。
首尾良く、弥市郎を斬った宗蔵は、弥市郎の敵である家老を”隠し剣 鬼の爪”で殺し、武士を止め、町人に。きえを尋ね一緒になろうと誘うのだった。
いつも通り、魅力的な女が出て来た。弥市郎の妻桂。夫を助けようと、家老を訪ねるが、弄ばれ、裏切られ、夫の後を追う。
藤沢周作の甘い時代劇。ほのぼの調のさわやかさ。海猫、透光の樹よりも、こちらかな。 |
ピエロの赤い鼻 |
04/11/20
フランス
監督:ジャン・ベッケル
ジャック・ヴィユレ アンドレ・デュソリエ ティエリー・レルミット ブノワ・マジメル |
愛すべき小学校教師のジャックは、毎週日曜になると公民館で赤い鼻をつけたピエロを演じて人々を笑わせるのが日課となっていた。息子のリュシアンはそれが嫌でならない。そんなリュシアンにジャックの親友アンドレは、ジャックがなぜピエロを演じるようになったのか真相を語り始める……それは第二次大戦ドイツ占領下の時代に遡る。ある日、にわかレジスタンス活動に身を投じたジャックとアンドレたちか、ドイツ軍の捕虜となり、劣悪な環境の“穴”に閉じ込められてしまうといいう事件が起こった。“穴”の中には激しい雨が容赦なく降り注ぎ、恐怖と空腹と寒さが彼らの体力をどんどん奪っていく。
明日にも処刑かという最悪の状況の中、“彼”はジャックたちの穴の上にふいに姿を現した。“彼”は懐から赤い玉を取り出すと、馴れた手つきで自分の鼻にそれを乗せ、おもむろに道化を演じ始めるではないか。そして“彼”は絶望の淵にあるジャックたちに囁くように語りかける。「生きている限り希望がある」と…。 |
ロード88 |
04/12/11
日本
監督:中村幻児
村川絵梨 小倉久寛 長谷川初範 |
女子高生・槙村明日香(村川絵梨)は、スケボーを走らせ、元気に四国88ヶ所を巡るお遍路の一人旅。
彼女は、母には幼い時、捨てられ、父は既に亡く、おばあちゃんとの二人暮らしだった。そして、「骨髄性白血病」という病持ちだった。ある時、四国遍路を思い立ち、そんな苦悩も見せず、一心に旅をやり遂げようとする物語である。
次第に周りの人々を惹きつけていく。お笑い芸人・佐藤勇太は、相方に見捨てられ、芸人としての復活をかけた"ママチャリ遍路"に臨み、明日香に会う。
生活に疲れ、故郷に帰った伴野一郎は、明日香に亡くなった娘の姿を重ねる。明日香の後を追い、遍路に出るのだった。
最後は、ハッピーで終わるが、四国遍路に取り付かれる魅力を描こうとしているようだ。
懐かしい景色に幾つかあったが、目の付け所が少し異なった。年歳の差かなと思う。また、遍路に出たくなった。
四国八十八ヶ所お遍路とは、空海の修行の跡を歩いて辿る旅であり、死の世界に入り、そこから甦り、同時に生の修行をすることらしい。
納経帳に寺の参拝の記録を書いてもらうということは、スタンプラリーである。
四国八十八ヶ所お遍路の旅をすれば、空海のように修行が出来、空海に会う事も出来ると言われている。スタンプも残り、そこには嘘や偽りはない。自分の足で歩いた自信が残る。
修行道場の四国を一周するには、この決められたコースが最も合理的と思う。
四国八十八ヶ所お遍路の旅は、いつも死と隣りあわせである。
お遍路の持つ杖、金剛杖の頭には九輪が切ってあり、お遍路が死んだ時には杖を立てれば墓になる。お遍路は自分の墓とともに旅をしているのだ。それがお遍路の覚悟である。
沢山の遍路墓がある。お遍路の最中に倒れた人たちの墓である。
お遍路は歩く。歩く事で、体調は整い、また、歩くことは自分自身の心と向かい合うことであり、いつしか心のリハビリもしている。時間の持て余しもない、不思議な時間を持てる。
歌の上手な子は、芝居がうまい。 |
|
|
|