はじめに
我が家にはじめてきたうさぎは、店で売られていたうさぎでした。その2ひきは、かわいい子うさぎを産み、病気を得て死に、その子うさぎも大きくなって死んでいきました。
そして、ある日動物を売っている店の片隅の、身動きできないような小さなかごの中でじっとしていたうさぎ。そのうさぎと目が合いました。「私を、ここから出して。」と言っているようでした。その目がとてもかわいくて、つい買ってきたうさぎ。
そのうさぎは、すでに大きかった。店の人が「今年生まれたらしいです。お客さんが持ってきましてね。飼えなくなったようですね。」と言っていました。だから、年はわかりませんでした。店の人が「今年生まれたうさぎですよ。」と言ったけど、正確なことはわかりません。
そのうさぎは、草をあまり食べず、目ばかりが大きく、顔は丸顔で、そしてよく怒りました。怒ったようにみえただけかも知れません。でも、「ブー」と小さい声で、拒否の姿勢を示すうさぎははじめてでした。
そして、そのうちに、やっぱりうさぎが怒ることがわかりました。それも、前足を出して掻いてくる。「感情があるうさぎなんて、いいんじゃないかな。」という夫の声。
そのうさぎは、「もこ」と名付けられました。体が丸く、もこもこしていたからです。それから、もことの生活が始まりました。それは、生育歴とも関係があるのだろうけど、病気と、生い立ちのなせる様々な問題との格闘でした。教えられることの多い「もこ」との出会いと、新しく発見することの多い生活の始まりでした。
このうさぎが、このページの主人公です。ほかのうさぎも思い出深く、書き足したいのですが、まずは、このうさぎから書き始めたいと思います。
初めて買ってきたうさぎ、とてもかわいく、「いろいろな表情がある」ことにも驚かされました。
しかし、この頃は、まだ飼い方を十分理解しておらず、このうさぎたちにはかわいそうなことをしたものだと後悔しています。
その「反省」の第一は食事でした。うさぎは学校でも飼っており、パンや野菜を普段から与えていたのですが、これがいけないとは。人間が食べるものは、ウサギにはよくないということは、まだ知りませんでした。
反省の多いこのうさぎとのことはまた…。
小さなかごに、身動きできないような姿でいた「もこ」。かわいそうで、不憫そうで、つい買ってきました。初めは、体をかちかちに硬くし、目をこれ以上開けられないくらい見開いていました。それほど緊張していたのでしょう。
ひざに載せても動きませんでした。それは、緊張で動けなかったようです。前の飼い主がどのように飼っていたのかわかりませんが、すごく緊張して、目をまん丸に見開いていました。体も、とても硬くしていました。「抱いた後は、よく下痢をしました。」緊張感からお腹の調子をこわしていたのです。
しばらくしてのもこ
我が家にきてから、しばらくしてからのもこです。少し落ち着いたかと思う頃。はじめの様子から、だいたり、ひざに載せたりするのをやめました。そしたら、落ち着いたようでした。しかし、新たな問題が。それは、野菜を食べると、すぐにお腹をこわし、枯れ草を食べないことでした。「これが、うさぎか。」と。草を食べないウサギなんて
これは、初めから飼う時がとても大切だということです。人間でも、ウサギでも変わりありませんね。
もこには、わらをできるだけ食べさせようとしましたが、なかなか食べてくれません。時々、苦労して食べていますが、固形のエサをわらの下から探し出し、わらをすててしまうのです。
そして、無理にでもわらを食べさせようとしますが、前足を出して、おこるのです。
仕方なく、固形を減らし加減にして、わらをなるべる上に入れるようにしました。
「人間も、うさぎも食生活が基本」これが、もことの生活で知った第1のことでした。
よぶ時には、ぐるぐると
もこは、しばらくするとかごの中に入れた箱の周りをまわるようになりました。それは、「はーい、ぴょん、ぴょん。」と声をかけると、一層喜んでまわるのです。これは、夫が見つけました。確かに、そうなのです。
そして、えさを食べる時は、頭をなでてもらってから、エサを食べるようになりました。「うさぎがこんなに感情表現をするなんて」と、初めは驚きましたが、何回かやっているうちに確信しました。「何かを求めているとき」や「えさがほしいとき」は、必ず回るのです。
それで、こちらもえさをやるときは必ず回らせるようにしました。そして、回ると必ずなでてやるのです。なでられている間、もこはじっとしていました。
また、回る時はうれしいのでしょう。スタンピング(軽い感じなのですが)という表現をしながら、回りました。
うさぎは、寂しがりやで、こまめに接すると、本当にうれしいのですね。
もこの住居
もこは、下の写真のようなかごにいます。かごの大きさは、90X61X61ほどです。(新聞紙の見開き大)
店で売られていたのは、自分の体ほどしかないかごでしたから、今は自由に動けるはずですが、今でもアクビはからだをちぢめてします。小さい頃のことは身に付いてしまうのですね。
そして、この段ボールの箱の周りを回ります。
正面の扉は取り外してあります。決して出ようとはしませんし、閉めるとイヤなのでしょう。正面に来て、のんびりすわっているのが、落ち着くようです。
そして、掃除は2週間に1度。糞は隅にきちんと行われています。
お腹をこわした時以外は、全くよござない「品行方正」なウサギです。(多くのウサギがそうらしいですね。)
うさぎと農薬
ある日、もこにパセリをやると、全く食べようとしません。いつもは、すぐに食べ始めるのですが。「どうしてかな。お腹をまたこわしたのかな。」と思って、また差し出すと、鼻をフンと横に向けるのです。それで、気づいたのは、いつもの店で買ってきたパセリと違うということでした。そこのパセリは、全く農薬を使ってないのです。
いつものパセリは近くで生産されたもので、農薬は使ってないか、ほとんど使ってないものです。でも、この日買ってきたのは、色は濃く、大きく、みるからに肥えており、遠くで作られたもののようでした。
それで、「ああ、農薬のせいかな。」と思ったのです。それで、庭で育てているパセリをやると、喜んで食べました。「やっぱり、農薬のせいなのかな。」と。ウサギは、その嗅覚で、危険なものとそうでないものを嗅ぎ分けることができる。でも、人間は、知らず知らずのうちに、危ないものを食べているのか、と思いました。
(なお、本によると、うさぎは農薬がかかっていても知らずに食べてしまうと書いてありました。ですから、上記の指摘が正しいとはかぎりません。なぜか、わかりませんが、モコはそのよく肥えた野菜を食べなかったのです。我が家の庭で作ったパセリは、よく食べるのです。)
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つづく
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ウサギは食べる時も
もこは、食べるときも片方の耳を前に、もう一方の耳を後ろにむけて食べています。そして、遠くの音を感じています。足音、物音、そして、何かの音を。
これは、飼いウサギでも常に周りに気を遣い、他の動物が近づくのを警戒しているのでしょう。聞き慣れた音なら、安心ですが、突然の音には「ハッ。」と、食べるのを止めて、一瞬停止します。そして、耳をいろいろな方向に向けています。
ある時、私がよつんばいで近づいたら、大変おびえました。明るいので、目は見えていたと思いますが、うさぎはあの大きな目にかかわらず、あまり視力が良くないといいます。きっと「何か、敵が来た。」とでも思ったのでしょう。箱の陰へかくれてしまいました。