愛知教育界に巣くう学閥 芳陵会・竜城会
 
1 学閥優遇人事の実態
 愛知の教育界には、芳陵会と竜城会という二つの大きな学閥がある。二つはいずれも愛知教育大学の出身者で構成され、依拠する地域により名古屋・尾張は芳陵会、三河は竜城会と呼ばれている。この芳陵会、竜城会という二つの学閥は、愛知教育大学出身者をできる限り多く管理職に登用し、そうすることで愛知の教育界を牛耳ることをねらっている。
 学閥支配として顕著なものが人事である。その実態を見てみよう。下記の表は1997年度の愛知県内市町村の教育長、校長、教頭、教務、校務に占める学閥の状況である。校務、教務、教頭、校長と役職が上がっていくに従い、その占有率は高くなっている。
 教職員の中の愛教大出身者率が多くの市町村で5割を切っている状況の中でこの占有率は異常である。
 
  次ページの表は2000年度の豊田市の校長・教頭・教務・校務に占める学閥(竜城会会員)の割合を示したものである。学閥の占有率の高さは一目瞭然であるが、加えて賛助会員なるものをもうけ、他大学出身者であっても学閥に忠誠を誓う者は取り込み、勢力を拡大している。
 小学校                               
   






















 

学校

校長

教頭

教務

校務
職場の
愛教大卒数

学校

校長

教頭

教務

校務
職場の
愛教大卒数
 ○  ○  ○  △  9/27 28  ○  ○  △  △  2/10
 ○  ○  △  ○ 13/29 29  ○  △  ○     4/6
 ○  ●  ○  △ 13/22 30  △  △  ○  △  2/10
 ○  ○  △  ○ 12/31 31  ○  ○  △  ○  9/25
 ○  △  ○  ○ 13/33 32  ○  △  △  ○  6/14
 ○  ○  ●  △ 10/27 33  ○  ○  ○     3/8
 賛  ●  ○  ○ 15/34 34  ○  ○  △  ●  4/10
 ○  ●  ○  ○  8/18 35  ●  ○  △  △  8/19
 ○  ○  △  ○ 10/18 36  ○  ○  △  △  6/18
10  ○  ○  △  ○  9/20 37  ○  ○  ○  △ 21/35
11  ○  ○  ●  ○ 11/19 38  ○  ●  △  ○ 11/24
12  ○  ●  △  ○  6/10 39  ○  ○  △  △ 11/30
13  ○  ○  ○  ○ 14/29 40  ○  ○  ○  △ 10/20
14  ○  ○  ○  ○ 11/28 41  ○  △  △  ○  7/18
15  ○  ○  △  △  9/19 42  ●  ○  △  ○  5/12
16  ○  ○  ○  ○ 21/36 43  ○  ○  △  △ 10/17
17  ○  ○  △  ○ 14/33 44  ○  ●  ○  △ 13/27
18  ○  △  ○  △  8/29 45  △  △  △  ○  7/18
19  ○  ○  ○  △  8/19 46  ○  ●  ○  △ 13/21
20  ○  ○  ●  △ 11/34 47  ○  ○  △  ○ 13/24
21  賛  ○  ○  △  7/10 48  △  ○  ●  △  7/18
22  ○  賛  ●  △  5/15 49  ○  ○  ○  △  9/20
23  ○  △  ○  ○  7/16 50  ○  ○  ○  ○ 11/23
24  ○  ○  △  △  8/29 51  △  △  ○  ●  7/20
25  ○  ○  △    4/9 52  ○  ●  △  △ 10/23
26  ○  ○  ○  ○  5/11 人数 48人 43人 29人 25人 473人
27  ○  ●  ○  △  3/10 占有 92% 83% 56% 51%   44%
 
  中学校
   





 

学校

校長

教頭

教務

校務
職場の
愛教大卒数

学校

校長

教頭

教務

校務
職場の
愛教大卒数
 ○  ○  ○  ○ 15/35 11  ○  △  ○  ○  9/26
 ○  ○  ○  △ 15/36 12  ○  ○  ○  △ 14/38
 ○  ○  △  ○ 17/39 13  ○  ○  △  ○ 10/33
 ○  ○  ○  ○ 13/34 14  ○  ○  △  △ 17/42
 ○  ○  ○  △ 14/37 15  ○  ○  ○  △ 13/26
 ○  ○  ○  △ 10/25 16  △  ○  △  △  8/25
 ○  ○  △  △ 11/31 17  ○  △  ○  ○ 15/33
 ○  ○  △  △  6/21 18  ●  △  △  ○ 19/53
 ○  ○  ○  ○ 12/25 19  ○  △  ○  △ 17/39
10  ○  ○  △  ○  8/13 20  ○  ○  △  △ 11/27
  ○=愛教大卒(●=女性)
  △=他大卒
人数 19人 16人 11人  9人 254人
占有 95% 80% 55% 45%   40%













 
  賛=賛助会員(他大卒だが、「会の目的に賛同するもの」:愛教大同窓会規約 という規定により同窓会会員になった者)                     
 
   小中学校合わせて



 

 
愛教大卒 の校長 愛教大卒 の教頭 愛教大卒 の教務 愛教大卒 の校務 職場の
愛教大卒数
人 数 67人 59人 40人 39人 727人
占有率 93% 82% 56% 54%   42%



 
  市教育指導課と教育研究所主事


 
   市教育指導課   教育研究所主事
愛教大卒/人数 13/14 愛教大卒/人数  5/5
  占有率   93%   占有率 100%
 
 豊田市の教職員に占める愛教大出身者の割合は42%である。しかし、校長になると、愛教大出身者の割合は実に93%、教頭でも82%にもなる。逆に言えば、愛教大出身者でないと校長・教頭にはほとんどなれないというのが、実態である。豊田市教委は、三河教職員労働組合との交渉の中で「竜城会(愛教大同窓会)を優遇していない」と言明したが、この数字を見れば、その嘘は明らかである。
 本来、同窓会は、同じ大学を卒業した者が、母校の繁栄を願ったり、同窓生の親睦を深めるための組織である。その同窓会が教育の管理職や教育行政機関を支配しているという構図は明らかに異常といえる。
 
 2 組合も学閥丸抱え
 本来、組合は労働者の権利を擁護する使命を担っている。労使は、ともすると対立することが多く、その場合いつも労働者の側に立ち、組合員の利益を守るのが組合である。そのためには、いつも使用者側と緊張関係を保たなければならない。
 しかし、左記のように委員長就任後、すぐに管理職に昇進するのでは、その緊張関係が保てない。むしろ、昇進をまったく臨まない姿勢が要求される。そうでないと、使用者側に毅然たる態度で臨めなくなるからだ。
 愛教組傘下の組合役職者は、組合を出世の手段にしている。
 さらに、愛教組の役職者のほとんどが学閥で占められ、学閥支配を強化している。愛教組が御用組合と揶揄される最大の理由がここにある。
 学閥により組合までもが丸抱えされ、組合員の利益のためでなく、学閥の利益のために働いているというのがこの愛知の憂うべき実態である。
 
3 学閥の会合は公務で出張扱いという公私混同
 愛知県では、学閥のための活動を公務と勘違いしている管理職も多い。たとえば平成9年4月1日の「朝日新聞の」夕刊には次のようなことが掲載された。

  愛知県春日井市の小学校長3人が、勤務時間中に市内で開かれた愛知教育大学の同窓会の春日井支部役員会に出張扱いで出席し、市教育委員会から厳重注意されていることが11日明らかになった。小学校長を務める支部長の名前で出された役員案内状も「出張のさいは『教育研究会』としてお出かけください。」とカラ出張を認めるような内容になっていた。… 春日井学校事務職員労働組合から「カラ出張だ」と指摘された市教委は、出席者10人全員に事情を聴き、「明らかに私用の会合であり、絶対にあってはならないこと」(学校教育課)と3人の校長を口頭で厳重注意した。
 
 この事件はまさに氷山の一角であり、この種のことは愛知県内で依然日常茶飯に行われている。厳重注意した春日井市教委の幹部も同じ愛教大同窓会の会員であり、かっては同じことをしていたわけである。今回はたまたま明るみにでたため「厳重注意」ということになっただけのことである。
 以上述べてきたように、愛知の教育界に巣くう学閥である芳陵会・竜城会は人事を学閥で独占することにより、愛知の教育界を支配してきた。そして、その支配を財政面でバックアップしてきたのが、以下に述べる振興会である。愛知県教育振興会は芳陵会、教育文化振興会は竜城会というふうに、各々の振興会から教育振興費の名の下に流れる資金が学閥の財源となり、その支配をより強固なものにしていっているのである。
   

 
 
 
振興会・校長会・県教委の癒着の構造
 
  愛知県教育振興会とはどんな団体か                
○ 役員の90%が現職校長・県教委各部長                   
 財団法人 愛知県教育振興会とはどんな団体なのだろう。          
 やや古い資料であるが、西春日井郡教職員労働組合が入手した「平成7年度の事業報告並びに決算報告書」によると、その役員は90%が現職の校長である。役員はもちろん有給、人件費は実に2億円、退職積立金残高も約1億円というすごさである。ちなみに地方公務員法では営利企業等の従事制限がされ、アルバイトが禁止されているが、この項目に違反しないのだろうか。    
    財団法人 愛知県教育振興会の役員組織     平成7年度      







 
 理事長  県小中学校長会長
 常務理事  元・前小中学校長会長(3名)


 理 事


 
 県教委 管理部長
 県教委 学生教育部長
 県教委 生涯学習部長
 名古屋市教委 学校教育部長
 以下 小中高校長26名
 県教委 振興会事務局長
監 事

 
県教委 総務部長
高校・名古屋市・尾張
三河の校長(5名)
評議員 242名
職 員  20名
支 部 県下すべての都市・地区







 役員を調べてみると、本当に驚きの限りである。県教委丸ごと振興会のおかかえ状態である。これでは各地で市教委が「振興会は一業者である。」と口先で言っても、その嘘はまるみえである。校長たちが振興会のセールスマンとなって振興会の発行物の採択を強要し、校長が振興会へ発注する。その受注者も「校長会=振興会」というわけである。まったくおどろくべき癒着以外の何ものでもない。                         
○ 総収入は8億円
 愛知県教育振興会の平成8年度の決算は下記の通りである。












 

  総収入           8億2865万2136円
  総支出           7億8852万7605円
   内訳 事務費       2億1925万6685円
      事業費       4億4523万5241円
      積立金           40万0000円
      公租公課費       3269万0000円
      教育団体等への助成   1645万5544円
      講師派遣等奉仕活動費  1228万5802円
      要保護児等献本費    2367万1333円
      教育振興費       3853万3000円
  差引残高            4012万4531円
 
 
 総収入は年間8億円総支出は7億、もう立派な会社である。収入の内訳は       
    
「明るい人生・明るい心」の年間売り上げは2億4000万円
月刊誌「子とともに」          1億3000万円
愛知の昔話などの読み物         1億1000万円
       
       
       
 など、毎度採択・購入をしつこく強要される冊子が、振興会の発行物の売り上げベスト3をにぎわしている。
 
○ 岡崎市では振興会等に支払う公費負担の補助教材代が約1億円
 岡崎市では、市内の小中学校で使われている補助教材で、愛知県教育振興会・教育文化振興会等から市の一般財源で全生徒分購入されている金額が、年間約1億円あることが分かった。情報開示の結果判明した主な補助教材と金額は下記の通りである。 (岡崎民報調べ)

      小学校
 道徳 明るい心    812万円
 小学生理科観察と実験 393万円
 健康手帳       101万円
 ことばのきまり    396万円
 作文の友       449万円
 せいかつかノート   285万円
 ふえのひびき      79万円
 たのしい読書     392万円
 楽しい体育      465万円
 みんなの安全     456万円
 ひらがな・かたかな  101万円

 

      中学校
 道徳 明るい人生   111万円
 中学生理科観察と実験 432万円
 健康手帳        52万円
 ことばのきまり    328万円
 国語表現の本     277万円
 はばたく中学生    111万円
 中学生の学級活動   476万円
 中学生の安全     357万円
 保健体育ノート    414万円



 
○ 支部=各地区校長会へ年間3600万円                   
 振興会からは、各地区校長会へ年間3600万円ものお金が「教育振興費」として分配されている。振興会の売り上げはその多くが公費負担の補助教材の売り上げであるから、売り上げ金の源は国民の税金である。いうなれば税金が使途が全く明らかにされていない「教育振興費」として闇に流れているのである。             
 文部科学省初等中等教育局長より、「学校として業者から金品などの寄付を受けることは適切でない」という通達が出されている。各市教委は「振興会は一業者」と認めているわけであるから、「教育振興費」はあきらかにこの通達に違反している。       
 校長たちが振興会の発行物の採択を強要し、採択したものを自ら発注し、受注して、その分け前を「教育振興費」という名目で手にする。この愛知の教育界の構造、腐敗のにおいがプンプンしてくる。もちろん、一般社会で通用することではない。           
                                         









 

        学校における補助教材の取り扱いについて
  各都道府県教育委員会あて           文部省初等中等教育局長通達

3 補助教材や学用品などを学校で取り扱う場合、教職員が業者から手数料、寄附など名目のいかんにかかわらず金品を受け入れることは教職員の服務の厳正を期するうえから望ましくない行為であり、また、その場合学校として業者から金品などの寄附を受けることは適切でないと考えるので、そのようなことのないよう指導の万全を期すること。
 









 
本来、補助教材は授業を担当する教師や教師集団が選定し、採択すべきものである。
 しかし、そうなっていない補助教材がある。それは振興会(教育振興会・文化振興会)が出版する補助教材である。
 
 見本もないのに選定できるの?
 2000年4月に振興会の補助教材である「作文の広場」は「ことばの広場」として、名前も内容も変わった。当然補助教材としてふさわしいかどうか、内容を検討すべきであるが、見本はできていないということで、教師は見本もないまま選定させられ、しかも、公費での購入となった。商品の中身がはっきりしないのに、税金で買うことを決めるなどということは、一般社会では通用しないことである。そんなやり方が振興会の名のもとにまかり通っている。
 また、普通の教材は4月に業者に発注する。担当する学年が決まってから担当学年の教師が相談して決めるからである。ところが、公費負担分の補助教材は、採用するかどうかを前年の11月の時点で決めている。公費負担の議会の承認をえるためと言われているが、なんとも納得のいかない話である。
 実際に使用する担当教師が決まる4月には、本来その担当教師たちが採用するか否かを決めるべき補助教材は、すでに学校に届いているという不条理さである。
 
  校長による振興会出版物の採択強要
 昨年度、名古屋市のある学校で振興会の出版物の採択を巡り次のようなことがあった。校内の採択委員会で「ことばの広場」をめぐって、各学年から不採択の意見が出された。通常の採択委員会であれば、「ことばの広場」は不採択ということで、採択委員会は終了となる。しかし、校長と校長の意を受けた教務主任は、1週間後にもう一度採択委員会を開催すると言い出した。
 そして、再度開かれた採択委員会の場で、少数ながら「採択してもいい」という学年が現れると「不採択の学年は作文の年間計画を提出してもらう必要がある」と発言し、再々度の採択委員会の開催を決めてしまった。
 3度目の採択委員会でとうとう過半数の学年が採択に同意すると、「不同意の学年があると、歩調が合わない」「採択権は校長にある」という理由により、全学年が採択することを強要された。
 
  補助教材の採択権は担当教師にある
 この学校の場合、校長が「補助教材の採択権は校長にある」と主張しているが、本当にそうだろうか。
 何を採択し、授業で活用するかは、その学校の授業者が決めるべきことである。校長はそれを承認すればよいことであり、実際に他の教材ではそのようになされている。
 下記の文書は、愛読している校長も多い第一法規の出版物にある文書である。

 補助教材の選定は、最終的に校長の責任において行われるものである。そこで、校長はその 選定に当たって、たとえば
@ 校内に教材選定委員会を組織すること。
A 具体的な選定基準をつくること。
B 教職員の共通理解を深めること。
C 全校的視野に立って採択を決定すること。
D 当該補助教材の使用効果を実践的観点から検討させること。
などに留意しなければならない。
    (吉本二郎「小・中学校校長・教頭のチェックポイント」第一法規)
 
 教育管理職セミナー用に編集された第一法規の文書でさえ、校長が教職員の共通理解の上に立って補助教材の採択を行うように留意すること、また、「当該補助教材の使用効果を実践的観点から検討させること」として、実際に使用する授業者の意見を尊重するよう留意すること、と述べている。
 「振興会が発行している補助教材であるから採択せよ。」と、そんなわけの分からない理由で補助教材の採択を強要するのは、校長として失格と言えよう。
 
  こんなにある振興会の補助教材に対する特別扱い
 振興会の補助教材の補助教材に対する特別扱いをまとめると、下記のような点が上げられる。
・市内一律である。(公費負担になると、一校だけ採択しない訳にはいかなくなる)
・採択の時期が前年度に行われている。
・見本もなくて、採択を要求される。
・校長が採択を要請してくる。
 
  公費負担の補助教材だから
  本校だけ採択を取りやめることはできないってホント?
 「公費負担の補助教材だから、市内一律でないとだめだ。本校だけ採択しないわけにはいかない。」振興会の補助教材で公費負担になっているものの採択を取りやめようとすると、校長から必ず言われる言葉である。本当にそうなのだろうか。
 市町村によって差はあるようだが、公費負担分の金額を他にまわしたり、他の補助教材にまわしたりすることもあながち不可能ではないようである。現に名古屋市では公費負担の補助教材が学校によってかなり不採択になっている。公費負担の補助教材だから無理とあきらめるのでなく、一度研究してみる必要がある。今後の課題といえよう。
 
 振興会・校長会・教育研究会の三位一体での教育支配
 三河では、振興会(三河では文化振興会という)発行の「ことばのきまり」の作成を現場教師が行っている。教科主任の各々の市代表の教師(地区委員)が、各々の執筆部分を分担して作成し、その執筆部分をまた持ち寄り編集会議を行って「ことばのきまり」などの出版物を作成している。しかもその編集会議が、出張という形で行われている。職員室の黒板にも「ことばのきまり編集委員会:○時より ○○先生」と明記されている。
 なぜこのようなことがまかり通っているのか。それは、教育文化振興会と三河教育研究会および三河小中学校校長会の三者が一体となっているからである。
 「財団法人愛知教育文化振興会30年誌」によると「教育文化振興会の出版物の編集は三河教育研究会で、刊行は教育文化振興会で、事業の推進は三河小中校長会でという協力体制で成果をあげていきたいと念願しています。」
 「刊行物の企画を三河教育研究会(以後三教研と省略する)関係部会長・編集委員長の合同の会で行い、編集委員会の組織・開催は三教研で、刊行物の普及、配布、集金事務は振興会事務局でというように仕事の分担が決められた。」
 「昭和53年以降、刊行物は『編集は三教研、刊行普及は振興会』の体制が固まっていった。そのほか、助成事業など、振興会と三教研とは表裏一体の協力によって三河教育を押し上げてきている。」
 このように、三者が一体となって、三河の教育を支配してきた様子を誇らしげに述べています。この「教育文化振興会」は現職の校長たちが役員を占めている組織であり、「三教研」は現場の教科主任らで作る組織である。つまり、振興会という組織は、財団法人を名乗りながら、独立した組織ではなく、すべて学校関係者によって支えられた組織であることを自ら暴露しているのである。さらに地方公務員である教員が、本務以外の事業に、しかも勤務時間を使って協力しているという驚くべき実態が明らかになっている。
 
  こんなやり方もある
 振興会の絶大な圧力に勝てず、とりあえず購入という場合も、こんなやり方をしている市町がある。
○春日井市では補助教材の「私たちの安全」「楽しい体育」を個人用に毎年購入する必要はない、として学年保管にし、数年使っている。
○名古屋市では健康手帳を採用せず、身体の記録など健康面で必要なもののみ、厚紙に印刷して使っている。 
○道徳の副読本の「明るい心」「明るい人生」を、学校備品とし、学年分をそろえ、5〜6年に一回新しいものにかえている学校も名古屋市にはある。
    名古屋市の小学校における採択状況  01年名古屋市教職員労働組合調べ
  ことばのひろば 明るい心 わたしのあゆみ 夏の生活 冬の生活
 採  択  143校  223校   246校   246校   221校
一部学年採択   38校    4校     2校     0校     2校
学年○冊採択    5校    6校     0校     0校     0校
一部学年採択+
他学年○冊採択
   3校
 
   0校
 
    0校
 
    0校
 
    0校
 
 不 採 択   71校   30校    12校    14校    37校