学閥!その本質     公教育の私物化と出世体制の元凶

  はじめに

 平成9年度愛教同定期総会で、会長の中西光夫氏は次のように述べています。「この一年間の最も大きな出来事はわが愛知教育大学同窓会の組織の変革です。」それは、「本部事務局を学内におく」ことと「全卒業生を以て組織する体制」となったことであるとしています。この一見当たり前であることが成されていなかったことに学閥の本質が垣間見えます。それまで「愛教大同窓会」は「教員になった者だけで組織する団体」であったというのです。

○依然変わらぬ「本会の目的に賛同するもの」

 ところで、これで本当に「同窓会」になったかというとそうでは有りません。「愛知教育大学同窓会会則」には、(会員)の項に「本会の会員は、愛知学芸大学、愛知教育大学ならびに関連する教員養成機関の修業者とする。なお、大学の教官を賛助会員、在学生を準会員とする。」とあります。しかし、各地域段階になるとそのようにはなっていません。「竜城会会則」には今も(会員)の項に「本会の目的に賛同するもの」が厳然と残っています。そして、「愛知教育大学同窓会豊田支部会則」にも「本会の目的に賛同するもの」の項目が。それは、「竜城会・愛教同額田支部会則」「同額田支部女性部規約」にも貫かれています。依然「他大学出身者(賛助会員)も含める」というものです。

○役職独占体制の温存が使命

 他大学卒業生も加えて組織するとは。それは「同窓会」といえるのでしょうか。西尾市などの「役職者名簿」をみると歴然とします。  <各郡市愛教大卒の比率 %>

    校長   教頭    教務   校務   第二校務  教科指導員

岡崎   98         98         93         80         58          73

西尾  100        100        100         85(65)     60(33)   )内は賛助会員を  

豊田市  92         83         56         58          なし    含まない場合

額田  100         89         59         76          なし    

西尾市では「賛助会員」になると「第二校務」になっているケースがあります。同窓会の比率が下がってくることによって「役職独占体制がくずれるのでは」という不安と「出世するには学閥へ」という意識が、このようなシステムを温存させているといえます。

○公教育の私物化の上に自らの満足を

  学閥は公教育の私物化の上にその「体制」を維持し、「役職の無駄な増設」「振興会の特別扱い」「出世競争の導入」「教育の論理より学閥の論理の優先」に埋没してきました。このような「体制」のもとでは、全てのものがそのような「価値観」によって影響を受けざるを得ません。誤った出世競争が「40歳になる前に担任を外れたい」「一年間で一番大切なのは学校訪問」という倒錯した感覚を生み出してきたのです。

○21世紀は学閥のくびきから愛知の教育を解き放つ時代に

 いみじくも中西会長は同じあいさつで「竜城会このよきものの精神は不滅である」(『たつき』第11号)と述べています。100年続いた学閥支配体制の「うまみ」は想像を絶するものがあると思います。しかし、子どもたちと教育の前に、この「歴史の進歩の反対物」「正義と真理の敵対者」は近い将来に一掃されるべきものだと考えます。