三河の教育現場の実態
 10年以上も前に実情を調べ上げたものですが,今も,ほとんど変わっていない現実が結構ありますね。無論,私たちが新しい組合を結成してから,ずいぶん変わったものもあります。
 三河以外の愛知の職場でも,似たようなことがまだまだあるよ,という声も聞きました。参考の資料としてゆっくりご覧下さい。
教育の不条理,というよりも,管理職の教育職員としての質の悪さが際だっています。背景に特定「学閥」支配があることは言うまでもありません。

       今、三河の教育現場は!(1)

          1991.11.10  三河子どもと民主教育を守る教師の会(準)

○今三河の教育現場では、日々様々なことが起こっています。それを調べてみました。

1、希望していない学年をもたされて、仕事がたいへんになっている。特に、高学年では
 音楽主任、PTAコーラス、6年主任、集会など。そして、教頭が授業中でも電話をか
 けてきては、「あれどうなっているか。」「これやってくれ。」と言ってくる。そして
 職員室で教師の悪口を言っている。

2、勤務開始が8:10になっている。朝の活動がいろいろと組まれる。しかし、帰りは
 すこしも早くならず勤務の延長になっている。

3、回復措置などとれていない。また、とれるような雰囲気ではない。
 ・ある職場は、4月1日に夜の8:00すぎまでやっていた。もちろん、日曜日の今日
 も学校へいっている。それをしなくては、仕事がまわっていかない状況なのだ。

4、計算事務が女の先生にすべてまわってくる。
 ・校務分掌がかたよっている。「事務の仕事は女教師」という発想がある。
 ・管理職の能力、職場の人員配置のかたよりなどで一部の教師が疲労困ぱいしている。

5、通知表の下書きを提出し、許可をもらってから清書し、それをまた提出するというこ
 とについて「手間がかかる上に、その時間が保障されておらず家でやらなくてはならな
 い。それも、深夜に及ぶことがおおい。本来通知表の所見などは教師の権限において書
 くものだと思うのだが。」

6、コピー代、印刷代ということで、学級費から学期ごとに5000円とか児童一人当た
 り100円というように徴収されている。また、コピー代、印刷代、ザラ紙など学級費
 でまかなっている。「教育は無償」という原則に照らしても改善を要するし、父母負担
 の軽減という観点からも、公費負担にできるものの「ワク」の拡大を。

9、PTAの仕事が多く、教頭は授業をもっていないし、教務も5〜6時間しかもってい
 ない。そのため、その負担が学年担任にまわってくる。
 ・PTAの仕事は実に多い。「交通立番」「PTA社会見学」「婦人コーラス」「歓送
 迎会」など。これが、「父母との連携」の実態だ。

10、職員の会計から出しているコーヒー、紅茶代なのに客がくるとそこから出している。
 「いったい誰のだ。」といいたい。

11、「仕事の多さは異常」で、子どものことよりも他のことに心を奪われてしまうくらい
 で、深夜、子どもを寝かしてから疲れた体にむちうってやらなくてはならない。この状
 況では、いつまで続くか心配だ。

12、「婦人コーラス」や「パレード」などの仕事を受けなくてはならない。断ったら、教
 頭がPTAの場で「OO先生が断りまして…」と言う。教師の立場よりも、PTAに「
 よい顔」をしようとする管理職が。

13、「O月O日に、回復措置をとってください。」とあったが、その日は、午後に学校の
 用事があり、実際はとれないという現実だ。

14、土曜日の帰りに急に「会議」が入り、「昼の食事としてとったうどんが冷えていく」
 のを前に延々40分余も。勤務時間が過ぎていることなどについて一言もない。

15、日曜日に行事が多い。「中学校総体」「岡崎のハーモニー」「岡崎っ子展」の当番、
 「小学校陸上競技大会」「書き初め展の片付け」というようなことで日曜日に、出なく
 てはならない。もちろん、代休などはない。

16、部活発表会=総体があり、6:50に集合する。開始9:00。総合グランドまで歩
 かねばならないから。他に交通手段がないという理由で。

17、日直が「部活」終了前後になる。だから、6時になってしまう。(冬場は5:00)

18、職員会議が6:10から始まる。早くて7:40、遅い時は8:00を過ぎる。

19、家庭訪問が3:00からになった。部活をやってからくる教師がいた。家庭をまわる
 のが9:00以降になった家もある。「せめて9:00以降にはならないでください。
 」との父母の声もあった。

20、教師への「読書」や「作品展」の強制がある。「本来、本や芸術への親しみは報告事
 務があるわけでもなく、そんなことまで、従う義務はないと思う。」という声も。

21、自分の子どもの入学式や卒業式、学芸会など、日時が重なることが多く、ほとんど見
 に行ってやれない。

22、夏の「職員作業」で、防腐剤を扱い、皮膚が炎症を起こして病院通いになってしまっ
 た。あとで聞いたら、「そんな危険な防腐剤は業者でも扱わない。」と。

23、(山の家、自然教室など)宿泊を伴う行事のために、4泊5日も養護教諭が付き添わ
 なくてはならない。負担が大きい。養護教諭の複数化を望みたい。

24、修学旅行を、金・土曜日に行う。「次の日が、日曜日だからだ。」という。回復措置
 を使わないための措置か。なんとも。

25、「耐寒かけあし」などの行事のために、登校時間が早められ、そのために子どもを保
 育園に連れていけないなど、家庭にしわよせがいってしまった。

26、職員会で話し合って決めたにもかかわらず、後で校長が覆し、強行してしまう。職員
 会には校長も出席していたにもかかわらず。

27、「お年始」の半強制化。プリントまで配り「行かざるをえない」雰囲気にまでしてし
 まう。そして、一部女性教師に「お茶くみ」をさせる。「自粛すること」と、県教委か
 ら通達があるそうだけれど?どうなっているのか。

28、校長が「同窓会」「OO会」というものをつくりたがり、実施にあたっては、来賓が
 丁重にもてなされるが、現職の先生たちは「コンパニオンやウエイター」の役割を。

29、休憩室がなく、お産を間近に控えた女性教師など、保健室でひっそり休むことしかで
 きない。

30、「反省会」といいながら、校長を上座におき、「酒を注がなかった」といっては、「
 ダメ女、ダメ教師」呼ばわりをする管理職が。

31、産休補助の講師がなかなか決まらず、やきもきする。「1年に3人の先生に教えても
 らう。」というので父母が直接の抗議に学校へという事態も。

32、学校の庭を「庭園」のようにきれいにし、「苔を踏むな。」と言っては、子どもの活
 動場所を狭めるようなことを言う。

33、学年末に、毎年のように「研究冊子」(?)を作るが、その内容たるや「どこどこの研
 究会に参加して」とか「指導案の再印刷」というような現実。「資源と労力のムダ。」
 という声も。

34、「教員になって15年たつが県外研修に一度しか行ってない。」「名古屋や豊田や額
 田や安城の友達は毎年のように個人で自由に行きたい所に行っているというが。」

35、日曜日「岡崎っ子展」の片付け等で「出張」(?)しても手当ても出ない。おかしい。

36、運動会の当日なのに「体育主任と6年児童が、部活の対外試合で出かけている。」と
 いう事態。あげくの果ては「運動会の会場で、試合経過を実況で放送する」という部活
 の異常な偏重が。

37、「先生方の飲み会の知らせ」を指導案形式で。それも、『中学校特別活動指導案』と
 銘打って、「題材」として「総体職員反省会」とあり、「準備」として「座席割、酒、
 ビール、ジュース」とあり、「指導過程」として「コップの中のものは、一気に飲むよ
 うにしたい。」などど。これは、退廃ではないか。

38、振興会の刊行物の注文が前年度にあり、担任の判断が通らない。

39、「教員免許法」が改悪され、小学校二級免許があと2年ほどで失効するため、一級免
 許をとらねばならない。そのため、ただでさえ忙しいのに、講習を受けねばならない。

40、「愛知教育振興会」が発行する各種「学習」(テスト)「ことばのきまり」「作文の
 友」「夏休み日誌」などなどについて、翌年度の「注文」をこの11月に行ってしまう
 という実態がある。それも、ほとんど検討されないか、「校長の成績」ということもあ
 り、半ば強制的に「とらされる」という実態である。また、その「刊行物」を作成する
 ために、勤務時間中に現職の教師が出張しているし、学校内に「振興会担当」というも
 のがあり、事務等を行っている。そして、「接待」に該当する担当者会議(飲み会)も
 もたれる。

41、台風時の「特別体制」ということで、深夜、強風下、教師が学校に出かけたり、危険
 な「校舎管理」に従事するという実態がある。また、「特別体制下」の「第○次動員」
 というのがあり、教師が往々にして深夜学校に残るということになっている。

42、町運動会、ライフサークルなどの行事に教師が参加させられているが、そのため、日
 曜日がなくなったり、練習のため、夏休みも毎日学校へでかけている。

43、夏休み、プール開放を土曜日午後に行い、教師に「勤務」させ、校舎管理当番の教師
 にも、「土曜日午後」まで管理当番をさせている。

44、「造形パラダイス」という市の行事に、担当の教師が「一週間近くも連続で出張」と
 いう事態がある。担当の教師は「子どもの顔も忘れる。」といっている。

45、市の行事である「造形パラダイス」に学校関係や子どもたちも参加させられるという
 状況だが、その行事に「自衛隊」が運搬のために参加している。「自衛隊の車が学校に
 乗りつけ、驚いた。」という話がある。

46、簡単な校外見学でさえ、「管理職(上の四役)の許可印がいる」というので、大変面
 倒になっている。

47、「応募作品」の提出が多くて大変である。「夏休み明け、校長が子どもを残して習字
 の練習をさせていた。」という話もある。「応募の結果で評価されたりするのがいやだ
 。」というので、教師も「子どもの作文や読書感想文を手直しさせたりする。」という
 ので、忙しい。1年生の子が「原稿用紙3枚きっかり」に書けるわけがないという声が
 あるのに、現状は一向に良くならない。

48、指導案作りのために大変な労力が必要だ。(ある市ではB4の紙7〜8枚にもなると
 いう)そのため、「研究授業」の前や後に休む教師もいるという。また、新任教師は、
 特別に「指導案を書くための時間が保障された一週間の予定」になっているという。

49、土曜日の午後、陸上大会の練習があり、実質勤務時間のようになっている。

50、管理職がほとんど仕事をせずに、学級担任に回してくる。ある時など、台風の警報が
 入ったのに、職員室で何をしていたのか、管理職が知らず、聞き付けて学校へ来た父母
 に文句を言うようなことも。