準備書面5を提出

 2004年8月に、「準備書面5」を提出しました。
 これは、川合先生の人事が実際のところどのように行われたのか。県教委のいう「統廃合」という根拠が全くいいかげんな「理由」であることを徹底的に明らかにしたものです。全く合理的でもなく、本来の人事のあり方、また学校の統廃合という事情さえ無視した異常な人事の様相が明らかにされています。
 以下、掲載します。(「準備書面5」をHPに掲載するということで記述を簡略にしています。)

平成15年不第1号                         平成16年8月6日 

 

準備書面(5)

 

愛知県人事委員会委員長 殿

不服申立人  (略)

上記代理人  (略)

ほか 103名

第1 はじめに

 本準備書面は、本不服審査における、不服申立人の主張を整理したものであり、貴委員会に対してすみやかな救済措置を講じることを求めるものである。

 

第2 本件処分によって不服申立人は重大な不利益を受けている

 1 通勤上の不利益

本件処分によって、不服申立人の通勤距離が2.4キロメートルから25.6キロメートルに増加し、通勤時間は自動車で約8分から約40分に激増した。しかも、不服申立人の通勤経路はカーブの多い山道で、道路も狭いことから、安全運転には平地とは比べものにならないほど気を遣うのである。特に、冬場は積雪や凍結のため1時間以上も緊張した運転をしなければならないことがあり、決して若くはない不服申立人にとって、長距離・長時間の通勤を続ける苦痛は甚大である。

 なお、処分者は、不服申立人の通勤上の不利益は、「東加茂郡地域全体の特殊事情によるものであって、何ら申立人のみに特殊な事情というものではない」などと主張するが、大蔵小学校において通勤距離が25キロを超える職員は2名しかおらずもっとも通勤時間が長い教職員であり(第1回公開口頭審理調書(以下「調書」という。)14頁)、「申立人のみの特別な事情とはいえない」という処分者の主張は何らの根拠もないものである。

 また、処分者は、「交通事情の不便さについては、手当支給による是正措置も考慮されており、何ら『不利益』を課するものではない」とも主張するが、通勤手当はガソリン代を充当する程度に過ぎず、雪道対策などに必要な経済的実費すら補填するものではなく、交通事情の不便さを是正するものとは到底いえない。

 2 通院上の不利益

申立人は、@15年間ほど、週に一度くらい喉にいがらっぽさを感じ、通院治療を受けないと熱が出るため、喉がおかしいなと感じたら岡崎市鴨田にある島田医院という耳鼻科医院で、喉に薬を塗ってもらう治療を受けており、週1〜2度の頻度で通院していること、またA20年以上アレルギー性結膜炎という持病を抱えているため、岡崎市能美町にある矢藤眼科に月1回ほど通院し、3本の目薬をもらって、通常1日1回点眼している。かゆみがひどいときなどには3回ほど点眼する。このような、申立人の通院事情については、校長も把握していた。

 しかし、本件処分は、校長とすら協議することなくなされたものであり、処分者はかかる事情を把握もせず、また申立人からの通院事情の説明に対しても何らの配慮を加えようとはしていない。

 その結果、島田医院への通院は、受付時間に間に合わないことがあるため(現に申立人は渋滞のため2度ほど間に合わなかったことがある)鍵を開けるため早く出勤する変わりに早めに退出できる日に限定されており(調書17頁)、喉の調子が悪くても通院できない不安にさらされている。

 3 教育計画の侵害

 申立人は、カウンセラーのアドバイスに基づき、「心のおそうじ」という精神的なケアを図るとり組みを和合小学校で行ってきた。この中で気になる反応をする児童もいたため、申立人は、ひきつづき和合小学校で「心のおそうじ」に取り組むことを計画していた。しかし、本件処分によって、かかる計画は実行できなくなった。

 ところで、処分者代理人は、公開口頭審理で「心のおそうじ」は大蔵小学校でも実施可能である旨の質問を申立人に行っている。しかし、かかる質問自体、教員の教育実践に対する無理解を示すものである。教員の教育実践は、赴任校の実態、担当する生徒・児童の状況を踏まえて、各教員が主体的に計画し、実施されるものである。そして、何よりも子どもや父母との信頼関係が確立されていなければならない。それには、教員の不断の努力と時間が必要なのである。したがって、上意下達のように押しつけられて行うものであってはならず、また生徒・児童の実情と無関係に行う研究・調査とも性格が異なるのである。申立人が、カウンセラーに教えられた「心のおそうじ」を和合小学校で実践しようと考えたのは、興味本位や統計調査のためではない。本件処分は、申立人が、和合小学校で行おうとしていた「心のおそうじ」の教育実践計画を侵害したのである。

 

第3 本件処分は適正手続に反してなされたものである

 1 本件処分は教職員人事異動実施要領に反してなされた処分である

(1)東加茂地方教育事務協議会が作成した「平成15年度教職員異動実施要領」(乙4)の「2教員人事(1)転任」のBは、「同一校勤務3年未満の者は、特別の事情がない限り異動の対象とはしない」と規定している(以下「規定」という。)。

 申立人が和合小学校に異動したのは平成13年4月であり、同一校勤務が2年に過ぎないことは明らかである。

(2)この点、処分者は和合小学校と羽布小学校の統合と羽布小学校の廃校という「特別の事情」があったと主張している。

  ア しかし、単なる学校の統廃合という事実のみを持って「特別の事情」ありと認めることはできない。和合小学校と羽布小学校が統合することで養護教員が1名で足りることとなり、養護教員に異動が必要になることは明らかである。

 そこで、両校の養護教員を比較すると、和合小学校の養護教員が同一校勤務2年の申立人であるのに対し、羽布小学校の養護教員は同一校勤務5年に及んでいた。

 処分者代理人が口頭公開審理で述べたように(調書30頁)、仮に両校の養護教員がともに同一校勤務3年未満であったとするならば、学校の統合に伴い同一勤務校3年未満の養護教員を異動させなければならなくなったとしても「特別の事情」があるといえるであろう。

 しかし、本件では羽布小学校の養護教員は5年間同一校に勤務していたのであり、羽布小学校の養護教員を異動させれば、同一校勤務3年未満である申立人を異動させる必要はなかったのである。したがって、本件の具体的事情の下では、羽布小学校の養護教員を異動させるのが合理的であると一応考えられるのであるから、単に和合小学校と羽布小学校が統合するという事実をもって「特別の事情」と解することはできず、少なくとも「羽布小学校の養護教員よりも申立人を異動させる方が合理的である」といえる事情がなければ「特別の事情」ありとはいえないのである。

  イ この点に関連して処分者は「両学区の児童の指導面・心理面(特に、従前からの児童にとって全ての教職員が変わってしまうということであれば、心理的に不安感が生ずることも予測でき、統合後も両校にいた教職員を適正に配置する必要性があった)」を考慮したことを指摘している。

 しかし、申立人が、反論書7頁以下で指摘したように、昭和62年以降、東加茂郡で実施された7例の学校統廃合において、廃校となる学校の養護教員が、統合された学校に異動した例はないのである。

 このような扱いは、教育現場から見て極めて合理的なものであり、また児童・生徒の指導・心理面に配慮したものであるといえる。

 すなわち、児童の心理面・指導面に留意するならば、廃校になる学校の児童に対する指導・援助はもちろんであるが、受け入れ側の児童に対する指導こそより重要である。学校環境をよく知り、子どもらの人間関係を知っており、羽布小の子らを温かく迎える指導が行えるのは、受け入れ側の教職員であり、子どもらの人間関係の変化を察知し、問題発生前に有効な対応が可能となるよう全校の児童を把握する養護教諭の役割は極めて大きいと言わざるを得ない。したがって、ほとんどの養護教諭は申立人の和合小への残留に疑問をもたなかったのであり、故に羽布小の養護教諭は保健関係の機材や教具を梱包し、使用方法を書いて和合小の養護教諭が扱えるよう事前に送付したのである。

 なお、平成15年度の異動において、羽布小学校から和合小学校には校長が異動したほか、5・6年担任であった教諭も異動していたのであり、羽布小学校の養護教員が(和合小に)異動しなければ「全ての教職員が変わってしまう」という事態を招くものでもなかったのである。

 ウ また、処分者は「両学区の地域感情等も考慮」する必要がある旨を主張している。

 しかし、統廃合を控えた和合、羽布の両校では、まさにそのような配慮をしてきたのである。例えば、両校のPTAの親睦会が、平成14年7月ころと9月ころ、それぞれの学校を会場に2回開催され、両校の教職員、父母の交流が図られた。この際、受け入れ校である和合小学校からは原則として全教職員が、2回とも参加したが、羽布小学校から2回とも参加したのは(結果的に和合小学校に異動した)校長と5・6年担任教諭だけであった。

 したがって、両学区の地域感情への考慮をいうならば、申立人を和合小学校に残留させることの方が遙かに合理的であった。

 エ このように、羽布小学校の養護教員を異動させるより申立人を異動させる方が合理的であるという理由は何一つない。

(3)以上のように、本件処分は、「特別の事情」に基づいてなされた者とは認められない。

 ア 統廃合を控えた学校現場では申立人が和合小学校に残留することが当然視されていた。羽布小学校の養護教員自身が、申立人に対し、平成14年12月ころ羽布小学校で実施された希望調査において、「下山村には残りたいけど和合に行きたいと入っていない」と異動を前提とする希望を述べていたことを伝えているし(調書21頁)、同教諭は下山村外への異動も覚悟して、同人が勤めてきた下山村教職員会養護教員部会の世話係を申立人に引き継いでほしいと要請し(調書20頁)、また羽布小学校で使用していた教材などを、使用方法などをメモした上で和合小学校に送っていたのである(調書21頁)。

 これらのことは、本件処分が、申立人を含む学校現場が、和合小学校と羽布小学校の統合に関して、児童の指導面・心理面や地域感情等への配慮を含めて準備を進めていたことを、実情も把握していない東加茂地方教育事務協議会(実態は教育事務所)が、強引に覆し強行した人事であったということを示している。

 イ このような強引な人事を強行する背景として、東加茂郡では教職員人事実施要領の規定に反する人事が、異常な頻度で実施されていたことが挙げられる。すなわち、申立人が準備書面(2)2頁以下で詳細に指摘したように、東加茂郡では同一勤務校3年未満の者に対する異動が頻発されていた。これは他の地域と比べると、異常といわざるを得ないものであり、ことさらに実施要領を無視して行われたものといわざるを得ないのである。

 申立人に対する本件処分も、東加茂郡における、実施要領を無視した無法な人事政策の一環としてなされたものであり、「特別の事情」について処分者がまともな説明を放棄していることにもそのことが示されているのである。

 

2 告知聴聞の機会が与えられていないこと

 また、本件処分は、不利益を受ける申立人に対して、事前の説明もなく、申立人による弁明の機会も与えられなかった点でも適正手続に反する。

 すなわち、和合小校長による希望調査は極めて形式的であり、また希望調査において申立人が異動を希望しないことをはっきりと表明したにもかかわらず、その希望に反してなされた処分であること、しかも処分者は、申立人の希望に反する処分であることを熟知しながら、事前の打診や説得を一切せずに、申立人に不利益性などについて事前に説明する機会も与えないまま強行されたのである(なお、処分者がいうように本件処分が学校の統廃合という「特別の事情」に基づきなされたもので、さらに「申立人の実績と豊富な経験を考慮」して行われたものであるならば、事前に説明、説得の機会を設けることに障害はなかったはずであり、またそうするのが合理的であると考えるのが一般的であろう。希望に反する人事を、内示日に突然告げること自体が、人事政策として異常なのである。)。

 

第4 まとめ

   以上のように、本件処分によって、申立人には通勤上の不利益、通院上の不利益、教育権侵害等いう重大な不利益が発生している、また本件処分は教職員人事異動実施要領の規定に反したものであり、しかも申立人に告知と聴聞の機会が与えられていないという適正手続に違反するものであることは明らかである。

したがって、本件処分はすみやかに取り消されるべきである。

 

 

「とっても
読みやすいわ。」

〔説明〕
 「統廃合」ならば、そのような人事が行われなくてはなりませんが、県教委は「とにかく統廃合だから」とまともな説明をしていません。また、「統廃合」というとても重要な時期の人事としては考えられないやり方をしています。
 勘ぐれば、「新和合小の学校運営がしやすいように、つまり新校長の目障りでないように、無理な(無茶な)人事をした」とでもいうような人事です。
 こんな人事は、子どもらのためにも、教育のためにも許されないことです。

「Whats New にもどります。」


第2回公開口頭審理に参加を!

8月27日(金)3時よりアイリス愛知にて
、第2回公開口頭審理が開かれます。みなさん、ぜひご参加を。そして、審理の監視を!

 川合先生の人事闘争を通して、東加茂郡において全く理不尽な人事が行われていることが明らかになりました。

▲本人の希望を全く聞く姿勢がない。
▲膨大な通勤の負担を平然と見過ごしている。
▲「統廃合」という説明が怪しくなった。
▲人事に「事務協」や「支所の主査」が関与。
▲「内申権は町村教育委員会にはない」ととんでもない暴論を展開。  

このような言い逃れを許さず、たった2年での突然・一方的というひどい人事を許さない闘いがいよいよヤマ場を迎えています。
代理人参加・傍聴も可です。多くの方々の参加で、県教委を圧倒しましょう。また、公正な審理を要求しましょう。 


                    2004,8,1(日)三河の人事を考える会・三河教職員労働組合