三河校長会                                                    2003年8月7日 

会長  加藤 晃 様                                     三河教職員労働組合 

                                    執行委員長 畦地 治

        

         教育問題・労働条件改善についての要求書

 

 子どもたちの幸せと教職員の労働条件の改善を願い、下記のように要求をまとめました。

以下の事項について、早急に改善の手だてをとられるように要求します。

 また、私ども組合との意見交換の場を設定されるよう要求します。

                                          記

 

1.「勤務時間の割り振り」について  

(1) 小中学校教職員の勤務時間に関しては、教職員は子どもの在校時間には本来の休息も休憩もとれないという特殊な勤務条件におかれていることを踏まえ、適正なものになるよう市町村教委に働きかけること。当面、以下のことを実現すること。 

 @ 休息・休憩は一斉付与を原則とすべきことを明確にし、誰もがきちんととることができる条件整備を図ること。また、割り振られた休息・休憩時間にやむを得ず休息・休憩がとれない場合は必ず、他の時間に休息・休憩時間を与えるようにすること。

 A 1日につき8時間をこえる勤務は違法であることを明確にし、そのための条件整備をはかること。また、やむを得ず8時間を超える場合は、必ず勤務時間の割り振りを行うこと。

 B 学校現場における勤務の特殊性と30年にわたって定着してきた勤務時間の割り振りをふまえつつ、教職員の長時間過密労働を解消していくための条件整備をはかること。

 C  超過勤務について、「教員には、給特法(給特条例)によって4%の教職調整額が出ているのだから、超過勤務は当然」などという誤った解釈を根絶すること。

(2) 泊を伴う行事のように、正規の勤務時間を超えて計画される場合は、超過した勤務時間に基づき勤務の割り振りをおこなうこと。

(3)  各種行事を土・日曜日や祝日に開催する場合は、以下のことを実現すること。

 @  土曜日で勤務時間が4時間に満たないときにおいても4時間を勤務したものとみなし、4時間を超える場合には8時間を勤務するものとみなして、割り振り変更を行うこと。

 A  日曜日・祝日で勤務時間が8時間に満たないときにおいても8時間を勤務したものとみなして、8時間勤務日との振り替えを行うこと。

 

2.「希望と納得の人事」の実現について 

(1) 教職員の異動に際しては、「本人の希望の尊重は当然の前提」(県教委)に沿い、三河においても以下のことを実現すること。

 @ 具申の前に、全教職員一人一人の希望等を直接に面接聴取し、正確に把握すること。

 A 異動希望の把握にあたっては、各市町村教委の作成した異動希望調査票を使用し、それを各市町村教委に提出すること。

 B 市町村教委及び各地区事務協議会への具申は、本人の希望を正確に反映して確実に行うこと。特に、三河教労組合員を差別することなく、公平・正確に具申すること。

 C 内示前に、本人に対する意向の打診(内内示)をていねいに行い、事前の打診が十分されない「不意打ち人事」を根絶すること。

(2) 「内示は決定ではない」(県教委)という当然の前提に立ち、内示に対して不服等の意向が示された場合は、本人の納得を尊重して速やかにその変更・改善をはかるための措置をとること。

 

3.教職員の健康と労働安全衛生について 

(1) 労働安全衛生法にもとづいた、市町村小中学校教職員を対象とする安全衛生管理体制の整備のために、以下のことを実現すること。

 @  小中学校教職員を対象にした「安全衛生管理規定(規程)」を三河部のすべての市町村が持つように関係機関と協力して、指導・助言・啓発活動を行うこと。

  A 職員の安全と健康を確保し、さらに快適な作業環境の促進を行うために各職場に労働安全衛生委員会を設置すること。

  B 安全衛生者(校長=事業者)の責務を明確にし、業務災害の防止・快適な作業環境の実現・労働条件の改善を通じて職員の安全と健康を確保させること。

  C 労働安全衛生法に基づく健康診断を行い、専門医師による健康相談や事後措置の徹底をはかること。 

 D 男女別の更衣室、休養室、喫煙室、洋式トイレの設置など快適な職場指針の適用をはかる  こと。

(2) 教職員・児童生徒の健康安全保持のために、以下のことを実現するよう関係機関に働きかけること。

  @ 校舎の耐震検査を行い、結果を公表すること。また、結果が不十分な場合は校舎の改築計画を示すこと。

 A 校舎の最上階の教室には天井扇または扇風機を設置すること。 

 

4.研修について  

(1) 教員の研修については、教育公務員特例法第1920条をふまえ、「教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない」、「教員は、授業に支障がない限り、本属長の承認をうけて、勤務場所を離れて研修を行うことができる」など、法の趣旨に沿った適正な運用を図ること。当面、以下のことの実現に取り組むこと。

 @ 「研修結果報告書」の提出を義務づけることはしないこと。

 A 長期休業中以外の行事・試験等、児童生徒の下校後には、これまで通り「勤務場所をはなれて研修を行うことができる」ようにすること。

 

5.少人数授業・授業持ち時間数について  

(1) 教材準備時間として、小学校においては最低週7時間、中学校においては最低週10時間確保できるよう関係機関に働きかけること。

(2)  現状の少人数指導は様々な問題を発生させており、少人数学級をこそ検討し、目指すこと。

(3) 少人数指導のあり方について、以下のことを検討すること。

 @  教務主任、「校務主任」が少人数指導として、TT指導の第2担当として入るため、高学年担当の教師の持ち時間が昨年より大幅に増加している職場がある。このような状況を改めること。

       A 児童生徒の間に差別・選別を持ち込む恐れのある習熟度別コースの導入は行わないこと。

 

6.教職員の定数改善について  

(1) 少人数学級の実現に向けて、文科省、県に強く働きかけること。また、市町村独自で少人数学級を早急に実現するよう働きかけること。

(2) 当面、以下のことを実現するよう関係機関に働きかけること。

      @ 35人以上の多人数学級に対して、教員を加配すること。

      A 小学校15〜20学級の一部に措置されている非常勤講師を改め、正規の教員を配置すること。

      B いわゆる「学級崩壊」など、指導困難な学級に対して教員を加配すること。

 C 全小中学校に専任のスクールカウンセラーを配置すること。

 D 障害児学級の教員配当について、以下のことを実現すること。

       ア 年度途中に「2学級11人」になった場合、教員を加配すること。

        イ 男女の児童・生徒が在籍する障害児学級には男女の教員を配当すること。

          複数いる障害児学級の担任を異動させる場合、複数を一度に異動させることのないように   すること。

 

7.教務主任・校務主任の中間管理職化について 

(1) 各市町村の学校管理規則に反して、教務主任・『校務主任』が管理職と同様の異動をしている現状を改め、校長が当該学校の職員の中から選ぶようにすること。

(2) 「愛知県公立学校教頭任用候補者選考審査要項」の以下のことを見直すよう、県教委に働きかけること。

 @ 「教務主任・『校務主任』は学年主任等と同格」,「教務主任・『校務主任』を固定化しない」(文部省通達)に反して教務主任・『校務主任』を特別扱いしている実態を改め,教務主任・『校務主任』の経験を資格要件から除くこと。

 A 「校長の推薦」を資格要件から除くこと。

 B 教職経験15年以上の者全てに受審資格を与えること。

 

8.愛知県教育振興会愛知教育文化振興会について 

(1) 愛知県教育振興会愛知教育文化振興会が発行する補助教材の採択は、他の補助教材の採択と同様に、該当年度の4月以降担当教師の協議によって決めること

(2) 補助教材の採用に当たっては「公正を期すること」とする文科省の指導を遵守し、現在、振興会発行補助教材の注文に関して、校長会として取りまとめをするなどの便宜を図っていることをやめること。

(3) 愛知県教育振興会愛知教育文化振興会発行出版物の斡旋・集金事務を教職員にさせないこと。

(4)  愛知県教育振興会愛知教育文化振興会発行出版物を学校に割り当てたり、購入させたりしないこと。

(5) 愛知県教育振興会愛知教育文化振興会への退職校長の天下り人事をやめ、官民癒着構造を解消すること。

 

9  「指導力不足教員」について

(1) 「指導力不足教員」を「選定し研修を受けさせる」ようなやり方は、この問題の正しい解決 ではないことを認識し、職場と校長の対応で解決をはかるようにすること。

(2)  指導力不足教員問題を利用して教員いじめを行う校長のないようにすること。

(3) 「指導力向上を要する教員の取扱いについて」の実施において、年休を申し出た教員に対し て、「これまでのように年休も簡単にとることはできなくなる。年休をたくさんとる者は不適 格教員といわざるを得ない」と脅すなど、校長の不法・不当な言動を根絶すること。

 

10.その他   

(1) 家庭訪問に対して正当に旅費を支給できる場合でも、支給しない学校・市町村がある。学校長の裁量事項とせず、規則通り支給するよう周知徹底すること。

(2) 再任用の際に、校長が「推薦書」の作成を拒否するなどの不当な行為は根絶するよう徹底すること。

 

    「この子のためにも、よく話し合って、良い学校を作ってね。」