豊橋市長 早川 勝様 2004年11月4日(木)
豊橋市教育長 加藤正俊様 三河教職員労働組合
執行委員長 畦地 治
2006年度からの2学期制導入を中止する申し入れ
1,そもそも現行の3学期制の何が問題なのか。検討の「出発点」や「問題点」に疑問が。
豊橋市学期制検討委員会の文章を見てみましょう。「学校五日制と新教育課程」がスタートした。「しかしその過程や結果をじっくりみることもなく、すぐにクローズアップされてきた問題」(豊橋市学期制検討委員会委員長 戸田文雄)が2学期制導入だというのです。また、この「2学期制の検討」は、「不登校問題対策検討委員会の15年度中間答申で「提言をいただいた」から検討を始めたというのです。そして、「2学期制と3学期制は功罪相半ばといえます。」という認識からスタートしているのです。更に、「あまりにも検討期間が短期すぎる」(前掲)とさえ述べているのです。
つまり、2学期制は急に出されてきた。そして、どちらも「功罪相半ば」つまり「同じ」というのです。そして、「学期制の変更が、間接的には不登校問題対策になり得ても、この問題の解消または解決につながるかについては判然としないと言わざるを得ず」(豊橋市学期制検討委員会「平成15年度答申」平成16年2月1日)と表明しているのです。
しかし、教育現場へは、「とにかく2学期制を」というだけで、現行の3学期制に対する問題点については、誰もが納得できる点を指摘してはいません。「現状では授業時間数が足りない。」という指摘がありますが、それは行事の多忙を放置せず積極的な改善を行うことで、解決をはかることができると考えます。この点、現行の3学期制について真剣な検討がされているとは言えないのです。この点での納得できる説明を求めるものです。
また、教育委員会が配布した「ひびき」(第6号 平成16年6月25日発行)には、「2学期制の導入を教育委員会として決定し」たという理由が5点述べられています。(「ひびき」第6号より)
@
子どもと教師がじっくりと向かい合う時間が増え、きめ細かな指導がより一層充実する。
A
1学期や3学期の短い学期での評価がより信憑性を持ったものになる。
B
中間テストや期末テストなどの回数は減るが、その分より日常的な学習評価活動ができ、学習の到達度や活動の様子をしっかり把握しやすくなる。
C
学期の日数が長くなるので、学校行事等の見直しがなされ、時期や内容の工夫に今までとは違った観点から取り組むことができる。
D
2学期制のほうが、時間数は確保できるので、じっくり学習に取り組めたり、補充的な学習や発展的な学習の時間確保がしやすくなる。
@は学期制の問題ではありません。Aは意味、根拠とも不明であり、「では今(の評価)は信憑性がないのか」「2学期制になると、なぜ信憑性を持つ」のか。かえって不信を招く言葉です。Bは、それに変わるテストが増えるかも知れません。また、「テストが減るから日常的な学習評価活動ができる」という言葉自体が誤解を生むものでしょう。Cは、行事そのものの削減こそ課題であり、行事に費やす時間と労力が多忙の原因となっているのです。「2学期制のほうが、時間数は確保できる」とは幻想であり、何ら証明するものはありません。全国の先行事例からは「ゆとりがなくなった」という声こそが聞こえるのです。
2,「2学期制は、実質4学期制」になり、逆効果であり、ますます多忙になる。
「まず、2学期制あり」という姿勢では、すでに実施されている他の市の例のように、「ゆとりが失われた」「逆効果だ。」「区切りがつけにくく、指導しにくい。」「実質4学期制となり、教職員はますます多忙となる。」というように、教職員にとっても子どもらにとっても学校生活がますます多忙で、耐え難いものになる危険性があります。
現状にみる問題点は、週5日制が実施されたことにより、5日間にそれに対応しない内容で教育活動が行われているということなのです。授業時数はそれに応じて減らされてはおらず、行事の精選は不十分というべきです。さらに「総合的な学習の時間」の導入は、その準備や個々に対応した授業構成のために大変膨大な時間が必要となっています。「1・2年生でも5時間の日が増えた」と言われるように、授業時数ばかりを優先する教育計画によって、子どもらは超多忙な学校生活を強いられています。
子どもらの生活感覚に立脚し、学校生活を豊かに送ることができるようにするためには、安易な「2学期制導入」ではなく、25人学級や30人学級を早急に実施することであり、その真剣な検討と現行の行事多忙システムの解消、教育内容の検討と精選、部活改善と一層の社会教育化など、学校教育体制の改善、そして、何よりも教職員による柔軟な教育計画の立案こそ必要と考えます。
3,
数年前から実施されている
4,市民が望むのは、2学期制よりも少人数学級実現・過大学級の解消です。
市教委には、積極的に市民の意見を聞く姿勢こそ必要であり、その点、市民が望んでいるものは、2学期制導入というようなものなどではなく、少人数学級の実施、過大学級の解消こそ望んでいるのです。豊橋市と同規模の他の市では、大多数が「少人数学級賛成」と言っているのに対して、2学期制については多くの父母・市民が「よくわからない」と回答しているのです。市教委は、2学期制や少人数学級の問題について、早急に市民の意見を聞くアンケートの実施を求めるものです。
以上のことから、私ども三河教労は、当面の2学期制導入には反対します。さらに、2学期制導入の根拠としている時間数の増加は、数字のごまかしがあり、2学期制によって授業時数が単純に増加するものではないと考えます。その他の「2学期制に伴う改善」の根拠についても2学期制だからできるというものではありません。返って、「ゆとりがさらになくなり、多忙化が進む」ことこそ危惧するものです。そして、何よりも教育現場の意見や保護者の意見が十分に聞けていないところで、進められようとしているところが問題だと考えるものです。早急に、2学期制導入に関して話し合いの場を設定すること、保護者・教師・市民の意見を十分に反映する手立てをとることを要求します。
また、現在の教育現場の重大な問題となっている大規模校の解消、過大学級(38〜40人)を早急に解消するために教職員を増やすこと、設備を充実することを要求します。そして、30人学級実現をこそ中心課題として検討することを求めるものです。それは、
以上、申し入れるものです。
現在、豊橋市では2006年を目途に2学期制の導入を検討しています。
組合では、この間豊田市の導入など「導入の仕方があまりに一方的であり、現場の声を全く聞こうとしない。」姿勢に対して、仙台など各地域の実例を調べ、「2学期制を行うと多忙化がすすむ」ことが明らかであると反対してきました。
豊橋市ではシンポジウム開催など「声を聞く」と言っていますが、そのシンポジウムでも2学期制検討委員会の関係者が「まだ検討中であり、しっかり論議を」と言った事に対して「導入は決定」と市教委関係者があわてて訂正するなど、論議は不十分であり、ましてや現場の教職員はまったく論議に参加しておらず、父母の中にも「それよりも30人学級を」という声が多いことなど、2学期制を進めることに大きな疑問があります。
組合は、この問題についても「2学期制よりも30人学級実現」と姿勢を明確に取り組みを進めています。
豊橋市では、今年度も39人や40人のすしづめ学級がたくさんあります。
組合で調べたところ、汐田小・福岡小・高師小・牟呂小・鷹丘小・飯村小・つつじが丘小・栄小・吉田方小・幸小・岩田小では全学年で30人を超える学級となっています。(多米小では1学年のみ28人ほどで、他の5学年はほとんどが39人や40人)例えば、吉田方小では4・5・6年で39人や40人と「満杯」になっています。
組合の試算では、豊橋市に全ての学級で30人学級を実現するには小学校では179人の教員が必要です。
この問題に目をつぶり、制度を操作しても本当の改善には結びつきません。
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豊橋2学期制問題の申し入れと交渉報告
2学期制・少人数・暖房器具問題について交渉
2004,12,22(水)三河教職員労働組合
2004年11月26日(金)午後3時より職員会館にて
1,2学期制の問題点、
2学期制は「条件が整えば平成18年度から」!(前教育長の議会答弁)
父母教職員の参加する話し合いが必要、「あまりに検討期間が短期」(答申)!
○ 2学期制導入時期は決まっていない!
まず、市教委から2学期制についての回答がありました。論議の経過については、市教委は「平成14年から検討を開始している」と回答がありましたが、それは市教委の一部の論議・県外実践自治体の視察であり、2学期制についてはほとんど論議が行われていないこと、11月16日に行われたシンポジウムでも学期制検討委員会の戸田委員長が、「これから論議を始めるのです。」と発言。あわてて、白井課長が「2学期制実施は決まったことです。」と訂正し直す場面があったほどです。この「2学期制は決定」という発言についても、組合は「いつ、どのように2学期制実施は決まったのか。」と市教委をただしました。しかし、話し合いの場では「○月○日決定した」との記録は提示されませんでした。そして、地宗前教育長が議会答弁で2学期制について答弁した記録では、「条件が整えば平成18年度から実施」というものであり、組合は「教育委員会決定の明確な記録がない。また、議会答弁も『条件が整えば』という条件つきである。現場の教職員は全く論議に参加してない。」と指摘しました。
※この点、2学期制の論議経過について市教委は、平成13年から2学期制の論議は始まっており、「昨年度の定例教育委員会で導入を決定し、議会で地宗教育長が答弁し(上記)、校長会、市P連でも導入について説明」と主張しますが、教育現場はほとんど知らず、平成13年に行われた校長会アンケートでも賛成はごく少数で、大勢は現行の3学期制に疑問は持っていないという結果が現われていたといいます。また、豊橋市学期制検討委員会の「平成15年度答申」では、「豊橋市にあっては…不登校問題検討委員会の15年度中間答申で、『…学期制見直しをするための委員会を早急に設置する…』という提言をいただき、豊橋市学期制検討委員会の発足と学期制の検討がスタートいたしました。」と述べているのです。そして、「あまりに検討期間が短期すぎる…。従ってこの答申を出発点として今後学期制検討が継続されることを願ってやみません。」と述べているのです。それは、2004年1月に出された「答申」自らが語っているのです。
○ なぜ2学期制なのか、その論議こそ重要!
2学期制に関する論議の状況について、加藤教育長は、「2学期制か3学期制かという技術問題の論議に終始している。これではいけない。メリットとかデメリットではなく、校長の明確なビジョンが必要。たとえば、子どもたちにどんな力をつけるか、という点から考えるべきだ。」と発言しました。組合も、「まず教職員が参加する機会がない。学校現場でもほとんど話し合いはされていない。これが、問題だ。」と指摘しました。また、「
また、組合は、市教委が発行した『ひびき』(第6号 平成16年6月25日発行)に触れている「2学期制の導入を教育委員会として決定」したという5点についても、「これは、2学期制だからできるという5点ではないし、2学期制でこの5点が可能と単純に考えるのは早計であり、『@子どもと教師がじっくり向かい合う時間が増え、きめ細かな指導がより一層充実する。』ために何ができるのか、そして必要なのか、真剣に考えることこそ重要だ。」と指摘しました。加藤教育長は、「学校現場で大いに論議しあうことこそ重要で必要なことだ。そうしないと禍根を残す。忙しさに拍車がかかるのだったら、2学期制にする意味がない。」と述べました。
○ 加藤教育長、2学期制について「議論がなければ改革にならない。」と明言!
2学期制については、まだまだ論議が不十分であり、この論議を積み重ねることこそ重要であることが明らかになりました。平成13年に行われた「2学期制に関する校長会アンケート」でも、反対論や消極論が大勢を占めていたことも明らかとなっています。加藤教育長は組合に「議論がなければ改革にならない。」と発言しました。組合も「論議が必要であり、特に教育現場での議論、父母の参加が必要」と考えます。学校現場、校長会、教職員の集まる場、PTA、父母の懇談会などで大いに論議することが必要であることを確認しました。
2,少人数学級問題
1学級39人や40人の学級の放置は許されない!
父母の希望・現場の教職員の苦労を受け止め、30人学級の実現を!
少人数学級の問題については、市教委はこの間の
3,働きやすい教育現場の実現のために
教職員が個人で暖房器具など持ち込むこと自体が異常なこと!
10度以下で冷たい風が吹く冬場の気候は、子ども教職員に酷!
今回、組合は気象統計(平均気温、最低気温、風速、日照)を参考にしつつ、暖房器具の設置を市教委に要求しました。(別紙、申し入れ書を参照)しかし、「豊橋市で各学校に暖房器具を設置することについては地元からそのような要望は上がってこない。」と、地元の声がないということで暖房器具を設置する考えのないことを再度表明しました。組合は、「北側の校舎はとても寒い。職員は、みんな寒いと言っている。声はあるんです。その声が届いていないだけです。」と主張。「今回、組合は暖房器具設置の申し入れを行った。現場に声はあり、それを組合が代弁している。」と主張しました。また、法令においても気温10度を下回った場合は暖房が必要と認めているのです。
今回、加藤教育長自ら最後まで参加し、1時間30分の間論議がとぎれることなく「2学期制問題」「少人数学級問題」「職場の環境・空調問題」について、意見交換を行いました。しかし、改善のための変化などは伺うことができませんでした。2学期制問題も少人数問題にしても、教育現場からの真剣な論議こそ重要で、いずれもそれは今後にかかっているという印象を受けました。子どもらのことを思い、真剣に考えた行動や意見が全体を動かしていくのだと思います。組合は、2学期制問題についてはまだまだ論議が不足しており、大いに論議することを通して導入を止めさせていくこと。少人数学級こそ緊急の第一義的な課題として早期にこの
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