豊田市教育長 吉田允昭様 三河教職員労働組合執行委員長
畦地 治
2002年度要求書
1 市教委も認めるように、豊田市教育研究会(以下「市教研」と略す)は民間の一研究団体に過ぎない。市教研の学校教育への介入を断ち、各学校と教職員の自主性を守ること。
(1) 市教研「本部」と市教研音楽部会から、市内全小中学校長に対して、今年度からは全小中学校が音楽大会へ参加するようにという強権的なはたらきかけが行われた。市教研に対して、各学校の自主性を尊重し、このはたらきかけを撤回するように求めること。
この問題は、学校の自主性を踏みにじるだけでなく、学校5日制の発足に伴い、行事のさらなる精選がどこの学校でも大きな課題になっているが、それに逆行するものでもある。
(以下の3点は昨年に要求したことであるが、音楽大会への参加の強要は、市教研が学校教育へ深く介入しているという日常的な体質が元となって引き起こされた問題である。そこで、改めて強く要求する。)
(2) どの部会に属するかは、教員一人一人が決める問題である。校長や校長会に割り振られるものではない。学校の公務分掌とは明確に区別するように校長を指導すること。
(3) 特に、小規模校において、一人で数部会を受け持つような異常な事態は直ちに改めるように市教研に求めること。
(4) 部会の役員は構成員が決めることであり、校長会等で割り振られるべきものではない。
そのような決め方は研究団体としての自主性の精神を歪めているだけでなく、「派閥」の温床ともなっている。校長会に対して、市教研の役員人事の決め方を民主化するように求めること。
(1) 教科領域別指導訪問は、どのような法令に基づいて実施しているのか明らかにすること。
(2) 現在の機械的な割り振りを改め、各学校が必要とする時期に必要な教科・内容で研究できるようにすること。
(3) 市教委が任命している指導員制度は廃止して、校外の研究助言者を必要とする場合は各学校が選べるようにすること。
(4) 指導員は、どのような法令に基づいて、どのような基準で選考しているのかを明らかにすること。
3 過密労働の解消について
1 平日の勤務について
(1)勤務開始時刻(8時30分)を守ること。
※朝の打ち合わせを始業と同時に行わず、事前の着替え等の時間を保障すること。
※「朝の会の充実」を名目に、読書、読み聞かせ、フッ素洗口、草花の観察等の事前準備のため、始業前から子ども、教員を拘束しないこと。
※朝の交通安全の指導を強要しないこと。
(2)休息、休憩を保障すること。
※特に養護教諭については、休息が2時間目の放課に取れないことを考慮し、別に与えるように校長を指導すること。
※休息時間に委員会活動等の教育活動を計画しないように、校長を指導すること。
(3)4時30分からの休憩時間を保障すること。
※学年会、教科部会、現職教育等の会議を4時30分以降に行わないこと。
(4)学期末、学期始めの多忙期には、短縮授業を行い、教員の事務時間を確保すること。
2 長期休業中の勤務について
(1)遊具の補修、校庭の整備など、教員の本務以外の仕事については業者に依頼すること。
3 次年度以降の勤務時間について
(1)勤務時間の設定に当たっては、現場の意見を反映させて決めること。
(2)勤務時間設定に当たっては、以下の点を基準とすること。
@子どもが学校にいる間は、休憩が実質取れないという教員の勤務の特殊性を考慮すること。
A労基法に基づき、休憩は自由に、しかも一斉に与えること。
B拘束8時間以内であること。
4 事務研究時間(いわゆる空き時間)について
(1)教育内容の多様化、子どもの発達の複雑化などに伴い、教員にとって、教材研究や子ども理解のための時間が必要不可欠であるという認識を持ち、それを勤務時間内に保障すること。
(2)本年度は、各学校で、少人数指導で昨年度に比べ事務研究時間が大幅に減少している。実態を調査すること。
(3)事務研究時間を、小学校では1日1時間以上、中学校では1日2時間以上とすること。
4 泊を伴う行事のように、正規の勤務時間を超えて計画される場合は,「疲労回復措置」や「適切な配慮」ではなく、法律に則って「勤務時間の割り振り」を行うよう校長を指導すること。
5 中学校の勤務開始時刻を県の条例に則り8時30分に改めるように、校長を指導すること。
6 非常勤講師に担任を代行させることは違法行為である。児童生徒に行き届いた教育を保証し、保護者の不安を取り除き、非常勤講師の労働条件を守るためにも、常勤講師に替えるなり必要な措置をとること。
実態を調査して校長を指導すること。
8 教育基本法の第10条2項に則り、学校訪問は教育諸条件整備という本来の目的のために行うこと。
(1) 戦前の視学官制度のように、各学校や各教員の指導内容に言及することは慎むこと。
(2) 回数を減らして、隔年か3年一巡ぐらいにすること。
(3) 訪問要項の作成を止め、学校経営案に口頭で補足する程度にとどめること。
(4) 学校訪問前に特別に設けられる「教室点検」や「清掃計画」など、校長・教頭の管理的な指導や煽るような言動を止めさせること。
(5) 運動会や体育祭、学芸会や文化祭等の主要な行事に影響を与える時期と、学期末の多忙な時期は避けること。
(6) 公簿でもない「学級経営案」「週案」の提出を求めないこと。
9 老朽化した校舎の児童用トイレが大変不潔になっている。実態を調査して、抜本的な改修を行うこと。
10 紫外線の健康への影響が心配されているが、プールの日よけの面積がはなはだ狭い。早急に日よけ面積を増やすように日よけスタンドを増設すること。
11 職員の定数を抜本的に改善しない「少人数指導」には、様々な矛盾や問題点が現われている。実態を調査し、問題点を明らかにして、改善に努めること。
(1) 担任に、他学年の少人数指導を受け持たせないようにすること。
(2) 能力別編成の「少人数学級」は、児童生徒の心を傷つけ、差別意識を助長する恐れがある。学級を解体するときは、十分に配慮するように指導すること。
(3) 教務主任、「校務主任」、教頭が、少人数指導や総合学習の指導に、TT指導の第2担当者のような役割で入るため、学級担任の事務・研究時間(空き時間)が減り、労働強化の一因となっている。教務主任、「校務主任」、教頭の担当する授業は、学習指導を主体的に行い、かつ、評価も行うものにするように校長を指導すること。
12 「少人数授業」よりも、学習も生活も少人数でゆきとどいた教育ができる「少人数学級(30人学級)」の早期実現に向けて、関係諸機関に働きかけること。
(1) 30人を超える学級の数を調査し、どれくらいの予算で実施できるか研究すること。
(2) 30人学級が実現されるまでは、小人数授業対応の教員を市費で増やすこと。
(3) 特に、小学校1学年と2学年は、3学級以下であっても、1学級30人以上の場合は加配をして、30人以下の学級編成にすること。
(4) 中学校3年生を優先させて改善をはかること。
13 学校教育の本務とは考えられない保健関係の行事・指導が学校教育に持ち込まれて、学校教育を煩雑にし、教職員の労働強化に拍車をかけている。これらのあり方を改善すること。
(2) 現在
(3) 学校での予防接種は止めること。
14 市費による雇用促進事業の職員の待遇について、大幅に待遇を改善すること。特に、交通費(通勤手当)を支払うようにすること。
15 小規模校の複式学級を解消するために教員加配をすること。
16 「体力テスト」は、文部科学省が示すように、抽出校だけにすること。
(1) 特に、小学校低学年の「体力テスト」はすぐに廃止すること。
(2) 体力テスト結果のパソコンによる集計は、教育的意味が薄く、無駄な労力であるので止めること。
17 保護者の負担軽減について
(1) 書写ノート、漢字ドリル、社会科資料集(5、6年)、算数セット、リコーダー、絵の具セット、体操服など教材として必要不可欠のものについて、市費で助成金を各学校に出すこと。
18 7月はじめの蒸し暑くて厳しい時期に、児童は、子ども会の大会の練習に、水泳やサッカーやバスケの大会に向けての練習が重なり、体調を崩す子も多い。またこの時期は、教師も、通知票の作成に部活の指導が重なり、過重な労働を強いられている。
そこで、夏の水泳、サッカー、バスケなどのブロック大会は廃止すること。
19 教員の研修権を保証すること。
教員の研修については、教員公務員特例法第19・20条をふまえ、「教員は、授業に支障がない限り、本属長の承認をうけて、勤務場所を離れて研修を行うことができる」などの趣旨に添った適正な運用上の配慮がはかられるよう、また、恣意的な判断によって法の趣旨が曲げられることのないよう校長を指導すること。
(1) 教員の研修の必要性、及びその自主性を尊重する立場から、長期休業中の自宅研修を保証すること。なお、報告書等を強制しないこと。
※ 文部科学省の通知については、現場の意見を聞き、教員の研修のあり方について今後検討すること。
20 転任人事のあり方について。
教職員の異動に際しては、前柴田教育長の約束(91年)に沿い「教職員の希望と納得」を尊重する人事を一層進めるよう全校長に徹底すること。
(1) 具申の前に、全教職員一人一人の希望等を直接聴取し、正確に把握すること。
(2) 市町村教委及び各地区事務協議会への具申は、本人の希望を正確に反映して確実に行うこと。特に、三河教労組合員を差別することなく、公平・正確に具申すること。
(3) 内示前に、本人に対する意向の打診(内々示)をていねいに行い、事前の打診が全くされない「不意打ち人事」を根絶すること。
(4) 「内示は決定ではない」という当然の前提に立ち、内示に対して不服等の意向が示された場合は、本人の納得を尊重して速やかにその変更・改善をはかるための措置をとること。
以上