鈴木一雄証人(元西三河教育事務所管理主事)を喚問する第6回公開口頭審理を即刻開催せよ!

公開口頭審理を県人事委員会が一方的に延期!!

6月12日(水)県人事委員会は、間近に迫った公開口頭審理を延期する旨を突然通知してきました。それは、何と!同日6月12日(水)に提出された県教委側の「不服申し立てそのものが不適法である」とする準備書面をそのまま受けての措置でした。

この理不尽極まりない、612日の県人事委員会の動きを報告します。

県教委の文書に迎合し、お先棒をかつぐ人事委員会

6月12日 3:00ころ・県教委の「準備書面」が人事委員会に届く

    ・それを受けて、熊谷課長が千田委員に電話で「要約」を説 明。(数十分ほどだったという)千田委員は、書面を見てもいないのに、公開口頭審理を延期すると決定

     4:00ころ ・提訴側の伊藤弁護士に熊谷課長が「延期」の電話をする。

     6:23   ・県人事委員会、作成した文書を投函。

     7:00過ぎ ・文書を千田委員宅に届ける。

これらの経過から明らかになってくるのは、県人事委員会が何らの組織的検討もせず、教育委員会の文書を最重要視し、極めて偏った判断に基づいて動いたことです。最も異常なことは、文書も見ず、電話での要約に依拠して一方的に延期を決めたことです。

第6回公開口頭審理は県教育委員会、提訴側、人事委員会の三者で確認したもの。一方的延期は手続き上からも不当!

 そもそも今回の口頭審理は、三者の確認で開催が決まっていたものです。そして、鈴木証人を喚問することは、県教育委員会も提案したものでした。私たちは、「人事異動要項」に違反し、不当な人事を行った当事者である鈴木証人の喚問こそ、幡豆の異常な人事を明らかにする証人であると考えていました。そもそも、人事委員会は救済機関として出発したものです。不当な人事を明らかにし、教職員を救済するには、教育委員会べったりではなく、公正で誰から見ても納得できる運営を行うべきです。あらためて、異常な運営をせず、救済機関としての誠意と誠実さを示せと要求するものです。

 

  子どもと教職員の人権を守る三河教労

三河教職員労働組合(三河教労)

未来を拓く

編集・発行責任者 畦地 治

 

108号(2002年7月)

カンパ、機関紙購読料(年間3000円)は【郵便振込00800-4-79130三河教労】へ

長期休業中に出勤を増やす動き

しかし研修の充実こそが大切

学校5日制で現場は超多忙化に

 今年度より学校5日制が導入されました。しかし現場は、ゆとりどころか、超多忙化の波が押し寄せています。

「せっかく週5日制になったのに、全然ゆとりがない。木曜日ぐらいになると体がくたくた。土日にどこかリフレッシュで出かけたいけれど、その出かける元気もない。」

「授業時間が、去年の月〜金までの時間に1時間増えたので授業後の事務時間が減った。それに低学年の午後の時間が増えても、授業にならなくて困っている。」

「少人数授業で、午後は、高学年の授業を担当している。教材研究の時間がなくて、困っている。」

「高学年の担任だが、空き時間がなくなった。テストの丸付けやノートを見るのは、家に帰ってからしかできない。」

「時間割が少人数や専科の授業の配当で窮屈になった。一つ一つの授業を大切にしているが、担任の裁量で時間割を変更して、分からなかった子どもを救ってやる授業ができない。」

「校長が勤務時間は5時15分までといい、4時30分を過ぎても学校で仕事をしろという。ますます帰宅する時間が遅くなった。」

 

さらに長期休業中に出勤させる動きが

 こうした『超多忙化』に追い討ちをかけるように、長期休業中に出勤を強要するような動きがあります。

「昨年まであった『指定休』はもうない。したがって長期休業中も学校にきてもらうことになる。」

「夏休みは、家庭とじっくりと話し合う絶好の機会だ。一家庭30分ぐらいで家庭訪問をして欲しい。」

「現職教育を充実させたい。長期休業中に学校でぜひ。」

「長期休業中といってもそれは、児童・生徒のこと。職

員は、いつものように朝8時30分に勤務し、4時30

分まで学校にいて欲しい。朝の打ち合わせも当然行う。

途中で抜ける場合は、年休をとって欲しい。」

「夏休みと言えども勤務だから、行事を持たない期間とい

うのは短縮して、8月19日を出向日にしよう。」

夏休みは自宅研修のよい機会

 以下に述べるように夏休みは教員にとってまたとない研修の機会となっています。いたずらに出勤日を増やすことなく、教員の本来の義務である研修の機会をきちんと与えるよう各校長に要求するものです。

 

「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」(教育公務員特例法第19条)

 

 これは、教師にとって研修が必要不可欠であることを示す法律の一部です。しかし上記に述べたように現状では研修を現場で有効にとることはできません。それはとりもなおさず、教師の指導力、力量を貧弱にし、子どもの発達を保障できなくさせていることにほかなりません。教師の多忙化は、すなわち子どもの発達保障への障害となるのです。

 

「教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて,勤務場所を離れて研修を行うことができる」(教育公務員特例法第20条第2項)

 

「また、いわゆる夏休み等の学校休業期間については教育公務員特例法第19条(研修)および第20条(研修の機会)の規定の趣旨に沿った活用を図るように留意すること。」(愛知県教委 例規集より)

 

「教師にとって研究と修養は、教師たる資格を具備するための必要不可欠の要件ともいわねばならず、その自由と自主性は尊重されなければならない。」         (札幌高判昭和52・2・10)

 

 職員がその心と体をリフレッシュさせるとともに、自らの教育実践を振り返り、教材についての理解、子どもの指導法の探求、自らの教養を高めるなどの研修のための活動は、まさに必要不可欠であり、当然保障されなければなりません。上記の法律や事務連絡はそのことを述べたものです。とくに、夏休みについては、勤務場所を離れて教員が研修を行うよい機会であり、活用が図られなければなりません。

 また、研修の自由と自主性を尊重するためには、「自宅

研修」の活用が図られることが重要です。自宅研修を取ろ

うとすると、「報告書を提出せよ」とか「年休にせよ」と

か言って、それを妨害する校長は、教員の研修権を侵害す

るものといわなければなりません。

 

 

 

 シリーズ「教科書問題」 NO.8 

「つくる会」が検定と採択に向けて行ったこと

「つくる会」の結成と検定制度への挑戦

 「つくる会」(新しい歴史教科書をつくる会)は、西尾幹二や藤岡信勝、小林よしのりなどが中心となって19971月に結成されました。「つくる会」は、彼らが執筆した「教科書」を何が何でも文部省の検定に合格させようとして、自派の国立大学教授を社会科の教科書調査官(日本史担当)に送り込むという驚くべき不公正な人事まで行いました。この件は、文部省との関係で重要な問題を含んでいるので、別の機会に改めて詳細をお伝えしたいと思います。

採択制度の根幹に対する攻撃

 さらに「つくる会」は、自分たちが発行する教科書に有利な採択制度をつくりあげるため、なりふりかまわぬ策動をしました。彼らは現場の教師が採択に関与できる学校票制度(1学校1票)や教職員組合の代表が採択委員会(協議会)に参加する採択制度は自分たちに不利だと判断し、「教育委員会が採択権を行使できない制度は違法」などというキャンペーンを展開しました。兵庫県では「川西市教科書をよくする会」などの名で、教育委員会に請願を行い、「ワーストスリー(東京書籍、教育出版、大阪書籍)の教科書を採択するな。それを採択した場合は採択理由を公開するように」と圧力をかけました。東京都内でも、ほぼ同様の請願や陳情が23区の区議会に一斉に出され、中野区議会文教委員会は教科書採択に関する請願を、賛成多数で採択しました。(991013日)

『国民の歴史』のばらまき問題

 991029日、『国民の歴史』が発刊されました。(西尾幹二著・新しい歴史教科書をつくる会編、発行・産経新聞社、発売・扶桑社)

 この本は、「新しい歴史教科書」の試験版として広く国民に読まれることを意図して発行されたものです。初版35万部、発売わずか4日後の111日に10万部、1118日に7万部の増刷を決めました。大型書店を中心に大掛かりな販売戦略が展開され、ベストセラー状態が確認されました。しかし、この売れ行きが各個人の自由な選択によるものではなかったことが不幸中の幸いでした。「つくる会」の会員あるいは支部が一人で数百冊〜5万冊の予約注文をして、面識もない教師や市民、ジャーナリスト、各地の地方議会議員や教育委員に送りつけていました。この無差別とも言えるばらまきで「国民がこんなに支持している。」という世論づくりを狙ったものと思われます。資金力にものを言わせて採択に有利な状況をつくろうとするなど、言語道断で許せません。

 2001年度の採択では、「つくる会」の『新しい歴史教科書』はごく少数の採択に終わりましたが、まだ油断することはできません。「つくる会」は有事法制論議で息を吹き返すはずだからです。                          (次号へ続く)