学級担任の代替教員は常勤講師で!

学校や子どもたちに、迷惑はかけられない!」

       ある担任の願いは踏みにじられた

豊田市内のある小学校では、学級担任であるB教諭が、療養休暇に入らざるを得なくなりました。しかし…。

えっ? 学級担任の代替教員が非常勤講師?

6月に「療養」の診断を受けたB教諭は、自分がいないまま学校運営がなされることは、他の職員や子どもたちに迷惑がかかり、とてもできないと考え、年休を消化することを避け、自分が療養休暇にすぐに入ることで代替の常勤講師を学校に派遣できると考えました。また高学年の担任をしていることからキャンプや修学旅行の準備を進めるためには常勤の講師でなければ困難と考えました。B教諭は、診断された直後に、校長にその旨を伝え、7月1日から療養休暇に入りました。しかし実際に派遣されたのは、非常勤の講師でした。B教諭の思いは踏みにじられたのです。

非常勤講師派遣の根拠を示せない豊田市教委・県教委

 抗議に出向いた三河教労に対して、豊田市教委は、「療養休暇の代替教員は、非常勤講師。これは県の方針だ。」と、あたかも合法的であるかのような説明をしましたが、その根拠を問うと、明確に答えることができず、「県教委に確認する。」と弁明するばかりでした。

 ところが、後日県教委に対して説明を求めても、「非常勤講師派遣については、運用上明確でないので調べる」というものでした。

学校の実態に見合った代替教員の派遣を

 学級担任の代替教員は、常勤講師を派遣しなければならない。このことは、火を見るより明らかです。豊田市教委、愛知県教委は、学校の実態をよく調べ、直ちに常勤の代替教員をA小学校に派遣するよう要求するものです。

 

子どもと教職員の人権を守る三河教労

三河教職員労働組合(三河教労)

未来を拓く

発行責任者:畦地 治

HP http://www.tcp-ip.or.jp/~shun-h/ 

109号(2002年8月)

カンパ、機関紙購読料(年間3000円)は【郵便振込00800-4-79130三河教労】へ

細井人事の不当性を隠すことなく

鈴木一雄氏の早期証人喚問実現を!

県教委に言いなりの県人事委員会

 前号でお伝えしたように,6月19日に予定されていた細井人事第6回公開口頭審理(鈴木一雄氏の証人喚問)は,県教育委員会及び県人事委員会の策略によって限りなく中止に近い延期を余儀なくされてしまいました。県教育委員会と県人事委員会,不服申立人側の3者で事前に確認していたことを破廉恥にも開催直前の一週間前になって一方的に反故にしてきた県人事委員会(県教育委員会)。なりふり構わぬその行動に鈴木一雄氏の証人喚問を絶対阻止しようとする意図が,はっきりと伺えます。

細井人事を行った鈴木一雄氏の証人喚問は欠かせない

 県人事委員会や県教育委員会は,なぜ鈴木一雄氏の証人喚問を阻止しようとしているのでしょうか。それは,彼の証言によっては,細井先生の人事そのものの不当性が白日のもとにさらけ出されてしまうからに他なりません。通勤時間の問題やAET担当の不合理性などは,その最たるものです。

 鈴木一雄氏は当初,細井先生の自宅から幡豆小学校までの通勤時間を『1時間15分』と回答していたにもかかわらず,申立人側の実測『1時間39分』の主張に,改めて『1時間30分』とその言動を変化させてきたのです。それはとりもなおさず,鈴木一雄氏自身が,県の人事異動方針『異動後の通勤時間は,原則として公共交通機関で片道1時間30分以内となるよう配慮する』を考慮せず,無原則に異動を行ったことへの辻褄合わせであることを証明しています。

 また,幡豆小学校への異動については何の理由説明もないことを申立人から追及されると,たまたま当該年度から実施されることになっていた「AET(英語補助教員)制度」への対応要員であると細井先生の専門性を生かすかのようなポーズをとるに至ったのです。しかし,実際には,算数のTTとしての授業時間がほとんどであり,「AET要員」は名ばかりでした。私たちは,彼のその場凌ぎの口実を絶対に認めるわけにはいきません。幡豆郡の人事の中枢にあり,細井先生の意向を全く無視し,それに反する人事を行った鈴木一雄氏の証人喚問は,「細井人事」の全てを明らかにする上で欠かすことのできないことなのです。

県人事委員会は速やかにその職務を遂行すべし

 しかしながら,県人事委員会は,県教育委員会の「本件申立を却下せよ」との主張に迎合し,証人喚問の延期(中止)を決定したのでした。本来,教職員の救済機関である筈の県人事委員会は,申立人の意向を考慮し,速やかに公開口頭審理を再開し,鈴木一雄氏の証人喚問を実施すべきです。私たちは,「何もしない県人事委員会」「県教育委員会べったりの県人事委員会」をこのまま許すわけにはいきません。公開口頭審理の早期開催を目指して断固闘う所存です。


教職員の皆さん 大いに研修をしましょう

教師は、サボっているか? 

夏休みを前にして、校長が自宅研修について「文部科学省の通知」と「読売新聞の記事〜先生の夏休みがなくなる」を配布しました。また、ある職員会で校長が、「他の職種は厳しい。先生方も、勤務時間を守って…研修はレポートが必要」と。これを聞いていた教師の何人かが手を挙げた。「朝、校門をくぐってから、子どもたちが帰るまで息つく暇もない。もちろん、休息・休憩なんかあるべくもない。トイレだって、行くのを忘れるほどだ。部活だって、休みもなしにやっている。なぜ、そんな教師を萎縮させるようなことを言うのだ。」と、口々に発言した。

研修はしてはいけないのか

教員の研修は、よりよい教育活動を行うために不可欠なものです。また、教育活動と一体のものであり、学問研究の自由が保障されなければなりません。強制や命令で行われるのではなく、自主性・自発性が尊重されなければならないのです。

教育公務員特例法第19条によって「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」と定められているのです。また、教特法20条は「研修を受ける機会が与えられなければならない」と、教員の権利として特別に法的保障を明記しています。

 同法20「教育公務員には研修を受ける機会が与えられなければならない」というだけでなく、より積極的に、「研修を行えるよう」同法第2で「教員は授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる」と規定しており、この点は今回の通知でも認めているところです。今回の通知の問題点は、研修の計画書やその後の報告書の提出を義務付けることです。しかし、その法的根拠がないことを文部科学省は全教との交渉で認めています。そして、愛知県教委も、研修レポート提出の提案を先送りしました。

校長職務は、教職員の健康と勤務時間を守り,

    豊かな研修を保障することにある

 校長は、よく「勤務時間を守れ」と言います。しかし、私たちこそ「勤務時間を守れ」と言いたい。勤務時間内に通知票の所見書き、テストの採点、作文の点検などできた職場がどれだけあるでしょう。寝る間もなく働いているのは、目の前にいる教職員です。職員の健康に注意を払い、教職員が仕事をしやすいようにするのが校長の仕事です。そして、夏休みは、普段できない教材研究、資料集め、専門の勉強、そして、年間計画の検討や二学期に予定している各種授業の計画などなど、やることはいくつもあります。教師は「いろいろなことに興味・関心を持つこと、その意味で、

「本当に豊かな」感性が求められています。研修権を行使し、豊かな研修を行って、有意義な夏休みを過ごしましょう。


 シリーズ「教科書問題」 NO.9 

福地調査官の誤った登用は文部省の責任

 初めに前号で簡単に紹介した事件(自派の国立大学教授を社会科の教科書調査官(日本史担当)に送り込むという驚くべき不公正な文部省の人事)の一部始終を明らかにしたいと思います。

恣意的人事による福地調査官の登用

 福地惇は1998年4月に高知大学教授から文部省教科書調査官に転任(いきなり社会科主任教科書調査官に任官)しました。ほとんどの教科書調査官の前歴が大学の助手や講師であるのに、これは極めて異例な人事でした。同年6月に町村信孝文相が国会で「執筆前の段階での改善」(事前検定)や「採択段階での改善」(「自虐的記述」を含む教科書を採択段階で排除する)などの答弁をしたことと合わせて考えると、当時の文部省が「つくる会」など右派陣営の教科書攻撃に同調して福地を登用したという見方が成り立ちます。

 福地は検定審査中の申請本(非公開)の内容を雑誌などで一方的に公開し、「この社会科教科書は戦争に対する贖罪のパンフレット」などと批判・攻撃しました。また、彼は検定基準に含まれる近隣諸国条項(近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がなされていること)について、「これがあるために『日本は侵略戦争をして悪かった』と書かなければならない。」との非難もしています。

近隣諸国条項は文部省の省令

 そもそも、文部省は1950年代後半から80年代初頭まで、日本や日本軍については「侵略」の用語を使わせない検定を行っていました。それに対して、「文部省が日本のアジア侵略の事実を検定によって覆い隠していると、中国・韓国を初めとして国際的な批判・抗議を受け、外交問題まで発展しました。その時、政府の責任で侵略戦争の事実を教科書から排除しないことを約束してつくられたのが「近隣諸国条項」です。

 この検定基準は、文部省が定めている省令です。それを文部省の役人である教科書調査官が公然と非難したことは重大な問題です。このような教科書調査官の登用は、家永教科書裁判最高裁判決や高嶋教科書裁判横浜地裁判決に挑戦するものであり、それらを経ても文部省の体質が全く変わっていないことが明白になりました。

解任されるも文部省の責任は免れない

 さてその後、教科書問題関連の6市民団体による解任要請(同年1125日)に対し、文部省は、その翌日、福地を解任し初等中等局付にしたと発表しました。教科書調査官でありながら、侵略戦争を美化し、アジア諸国への加害の事実を否定するという特定の立場から現行検定基準への批判発言を繰り返す福地については、さすがの文部官僚もかばい切れないと判断して年度途中での異動を素早く決断したようでした。

 しかし、そもそもそのような人物を極めて異例な人事でもって登用した文部省にも重大な責任があるといえます。福地を登用した真の意図は何であったのか、我々はそれをしっかりと見据え、危険な兆候に対して常に目を光らせていなければなりません。