2002年度 三河教職員労働組合運動方針
2002・5・11(土)三河教職員労働組合
2002年度新教育課程実施の下、愛知県下では教員の事務研究時間を奪い、多忙化を極端に推し進めている「少人数指導」の強行、第2勤評ともいえる「指導力不足教員」問題さらに実質長時間労働を強いる勤務時間改悪の「3点セット」が大きな問題となっています。
子どもの教育、教職員の労働条件に対するこの未曾有の攻撃に対し、組合の存立をかけて、断固として取り組むことが求められています。
1 一人一人の子どもたちが生き生きと通うことができる「わかる学習・楽しい学校」を目指し、学校の教育力を高めるために様々な改革と改善に取り組もう。
(1)「わかる学習」「楽しい学校」づくりを進めます。
@体罰を一掃し、子どもの人権が保障される教育活動を目指します。
A「登校拒否」・不登校問題に積極的に取り組み、その子たちの気持ちを理解し、学習権が保障されるよう取り組みます。
B「いじめ」および「児童虐待」問題の解決のために、積極的に取り組みます。
C「学級崩壊」「学校崩壊」については、職場での話し合いを重視し、子どもの人権・学習権が保障されるよう取り組みます。
D行事の検討を行い、子どもの健康や生活を守り、一人一人の子どもを見つめることのできる教育を目指します。
E子どもの健全な成長のために部活動の改善に取り組みます。
・日没30分前下校、月木の部活動休みなど現在確認されている市町村の約束を守らせます。また、その約束の確立されていない市町村には部活動の約束が作られるよう働きかけます。
・子どもも教員も部活動の参加は希望制となるようにします。
・社会教育に携わる方々と懇談し、過度な練習や過密な試合などについて改善するよう働きかけます。また、学校の部活動と重複し、活動が行き過ぎている場合には、その改善に向け働きかけます。
・当面、小学校の部活動の廃止を目指します。
F子どもを選別し、過重な負担を強いる「学力テスト」の実施に反対します。
・とりわけ新教育課程実施に当たり「学力低下」を口実とした新「学力テスト」実施の動きを警戒し、機敏に対応します。
G全ての小学校で行っている「体力テスト」は、文部科学省の指定する抽出校のみとさせます。
・当面、小学校1年〜4年までの「体力テスト」実施をやめさせます。
H暖房や照明、図書館設備など、学びやすい教育環境の充実のために取り組みます。
・特に、豊橋の暖房設備、安城の図書コンピューター入力問題に取り組みます。
I子どもが安全に過ごせる学校を作るために、事故防止につながるあらゆる申し入れ活動を進んで行い、学校事故が少しでも減るようにします。
J複合選抜制度の廃止と入試制度の改善、希望する全ての子どもが高校に入れるように取り組むとともに、私学助成の運動を進めます。
・複合選抜入試が実施され、十余年たち矛盾も多くの人の認識になりつつあります。複合選抜入試をやめ、小学区制度を前提とした希望者全入運動を始めます。
とりわけ、高校入試問題は、中学校教育の根幹にかかわる問題であるとの認識から今後積極的に学習を深め、理論的にも、実践的にもこの問題での運動を前進させていきます。
また、財政「危機」を理由とした私学助成を打ち切る策動に断固反対します。
K障害児教育の改善と充実のために積極的に取り組みます。
・定数の改善や、父母の希望を尊重した就学指導を行うよう関係機関に働きかけます。
Lゆきとどいた教育を実現するために、少人数教育ではなく、少人数学級―30人学級早期実現の運動を進めます。
※現行の愛知県が進める「少人数授業」では、能力別編成による子どもの差別化、担当教員の交代・教室の移動などによって指導の一貫性が得られない、教員の多忙化が促進されるなどの問題があり、子どもたちの基礎基本の定着は図られません。
M義務教育無償の原則に立ち、父母負担の軽減のために関係機関に働きかけます。
N「日の丸」「君が代」の押し付けに反対し、憲法と教育基本法に基づく主権在民の教育を進めます。
・法制化を理由として強制に反対します。入学式、卒業式、始業式、終業式などでの「日の丸」「君が代」の強制をやめさせます。
O「子どもの権利条約」の批准に基づき、それに基づく学校づくりと教育の実践に取り組みます。
P憲法違反の「教科書検定制度」の廃止、教科書採択制度の改善を目指します。
Q本格実施される「総合的な学習の時間」の押し付けに反対し、子どもたちのためなる総合学習を模索します。
R現在政府が強行しようとしている「教育改革」の危険性と問題点を父母・国民に広く明らかにし、世論を結集して批判活動を強めます。
(2)教育基本法第10条にあるように、不当な支配を許さず、教育基本法改悪を許さず、教師の教育権が保障されるように運動を進めます。
@教育事務所、市教委等の学校訪問については、「現場の声を聞き、教育条件を整備するためのもの」という本来あるべき姿にします。
A教育活動の自由を制限する現在の「研究指定体制」に反対し、教職員の意思を尊重した自主的研究を重視します。
・現在行われている「研究指定制度」の廃止を要求します。
例…県、市町村の指定校の削減、紙上発表の実現、ソニー研究の中止
B「教育論文」を廃止するようにします。
Cすべての教員に研修の自由と機会の均等を保障するようにします。
・毎年の県外研修や夏季休業中の研修権を保障させます。
・「研究発表会」等への動員(参加強制)に反対します。
・研修実施簿記入に当たっては、添付文書・資料をつけさせないようにさせます。
D学校予算と県費旅費を全職員に公開させ、公正に予算や旅費が執行されるようにさせます。同時に決算報告もさせるようにさせ、不正の防止に取り組みます。
E週案、指導累積簿などの私簿は、それが教職員の判断のもとに作成されるものであり、提出の強制や検閲に反対します。
F「振興会刊行物」等の購入については、強制でなく、すべて個々の教員の裁量に任せられるようにします。
・学校組織から、どんな名目であっても「振興会」担当および「振興会」組織を排除する。
・「振興会」は愛知の教育を大きくゆがめているものの一つという認識に立って今後運動を強めていく。
・「振興会」への申し入れ、交渉を進めます。
・「振興会」教材の独占的公的負担をやめさせます。
G作品応募は、各学校の自主的な判断を尊重し、強制的な応募は排除します。
H子どものやる気を育てる教育評価のあり方を考え、通知表の改善に取り組みます。
I自主的な教育活動を推進し、父母と共同して地域の教育力の向上のために取り組みます。
(3)広範な父母・国民と連帯し,教育基本法「改悪」に反対する運動に取り組みます。
2 教師の生活を守り、心身ともに健康で、子どもと真正面から向かい合うことのできるやりがいあふれる教育現場を作ろう。
(1)学校教育を混乱させ、教員の多忙化を促進させる「少人数授業」に反対し、予算を伴う真にゆとりある少人数学級の実現を求めます。
@現行「少人数授業」の問題点を明らかにし、広く父母・市民に訴えます。
A子どもが、落ち着いて一貫した指導が受けられるように、「少人数授業」を改善するため具体的な手立てを講じます。
B事務研究時間を減らさず、少人数授業の打ち合わせ時間が確保できるよう各学校の校長に働きかけます。
C各市町村教育委員会に対して、「少人数授業」によって現場が混乱しないための措置を講じるよう要望します。
D
(2)
・拘束8時間以内であること。
・休憩時間が、自由にしかも一斉に取れるようにすること。
・教員の勤務の特殊性をふまえたものであること。
・現行「B案」(8時30分勤務開始、4時30分拘束終了(帰宅してよい)、5時15分勤務終了)を基本とすること。
(3)労働基準法、愛知県条例・規則、労働安全衛生法等に基づき、長時間労働、過密労働の解消を図り、働きやすい職場づくりを進めます。
@日常の勤務時間を守らせます。
・始業時刻8時30分を守らせます。
・午後4時30分に気兼ねなく帰宅できる職場を作ります。
・歯止め4項目(実習、学校行事、職員会、非常災害)を厳守させます。
・休息、休憩時間中の会議や行間運動等をやめさせます。
E宿泊を伴う行事等については、事前に実労働時間を計算し、正常な勤務時間の割り振りを行わせます。
・1泊について半日の休みを実施させます。(2泊で1日の休み)
・この問題では三河校長会との交渉・話し合いの実現に向け、運動を進めます。
F本務以外の仕事を点検し、過重な負担を改善させます。
・校舎修繕、遊具のペンキ塗り、窓ガラス拭き、給食配膳、給食費集金、日直、校舎管理、夏休みのプール当番、職員作業などを点検し、改善を図ります。
・図書館司書を配置させ、図書館の充実と教職員の負担軽減を図ります。当面他都市に学び、パートの配置等を実現します。また、コンピューターの導入による過重負担をなくさせます。
・長期休業中の日直は廃止させることを目指します。当面は、お盆前後の日直をなくさせます。
G気兼ねせず、年休が取れるようにします。
・年休は、届出制であり、許可や承認を求める管理職の対応を改めさせます。
・病気で休む場合は、年休でなく、療養休暇(私)をとるようにします。
・管理職が補欠に入り、授業をするように要求します。
・代替教員をすみやかに派遣させます。そのために代替教員を正職員として確保するなど、子どもや教職員の負担とならないように改善させます。
・代替教員が事故や病気になった場合も正規採用教員と同じ保障が得られるよう運動を進めます。
・年休の計画的使用を進めます。
H学校災害、公務災害、「過労死」問題に積極的に取り組みます。
I担任の授業時数の軽減をはかり、教員の負担を減らすとともに、主任制の強化に反対します。
・当面は小学校で1日1時間以上の事務・研究時間(空き時間)、中学校で1日2時間以上の事務研究時間(空き時間)を要求します。
・教員定数増の運動に取り組みます。
・専科教員の配当を増やさせます。
・教頭・教務・「校務」の職務内容の見直しを進め、持ち時間を増やさせます。
教頭、教務主任、「校務主任」は専科教員であるとの立場から、規則どおりにその制度が運用されるようにし、中間管理職化を阻止します。
・「校務」「校務補佐」「第2校務」「指導員」および「教務補佐」などを廃止させます。
J用務員、パート事務員など教育関連職員の身分の安定と待遇の改善に努めます。
K事務職員のパート化や削減に反対し、仕事の教職員への転嫁を許しません。
L年度初めや学期末などの多忙時は、授業をカットしたり、行事を組まないなどの工夫をして、勤務時間内に仕事が終わるように関係者と交渉します。
N職員の権利を制限する「心得」は、撤廃させます。
P労働安全衛生法に基づき、職場の健康安全に取り組みます。
・三河部の市町村に小中学校教職員を対象にした労働安全衛生法の条例化・規定化をさせる運動に取り組みます。
・すべての学校に産業医の配置と教職員の健康診断の拡充・強化を求める運動に取り組みます。
・学校安全委員会を設置させ、健康安全な職場づくりを目指します。
(4)「指導力不足教員研修検討会議」がまとめた要綱に反対し、「指導力不足教員」をださない職場作りに取り組みます。
@指導力とは、切り離された個々の教員に求めるものではなく、学校全体として捉えるべきであるとの立場から、「検討会」の要綱に反対します。
・校長への監視を強め、「指導力不足教員」を報告させないようにします。
A「判定会議」に次のことを要求します。
・判定会議を解散すること。
・会議を公開し、傍聴を認めること。
・現場教員の意見陳述の機会を設けること。
・「判定基準」を改善すること
・判定に当たり、校長の恣意的な判断が行われないように確実な措置を講じること。
(5)大幅賃上げで教員の生活を守り、教育活動に安心して邁進できるようにします。
@1999年度〜2001年度の賃金削減分の復元を求めるとともに、大幅賃上げの実施を目指して運動をします。
A一時金の差別支給をやめさせ、一律大幅改善の運動をします。
この問題は、引き続き当局の動きを警戒し、教職員にその内容とねらいを宣伝していきます。
B格付けによる差別をなくし、平等に昇給できるようにします。
C交通用具使用者には、通勤手当の実費相当額を支給させます。
D扶養手当を引き上げさせます。
・学生の国民保険掛け金相当額を支給させます。
E財政逼迫の折愛知万博や中部新国際空港建設をはじめとした県民無視の大型プロジェクトに反対します。
F調整手当て一律10%支給を守り、僻地校の調整手当て削減に対する代償措置を求めます。
(6)民主的な人事は、教職員の身分を保障し、職場の民主化の要であり、最大限の力を結集して取り組みます。
@人事異動においては、「本人の希望と納得」を原則とし、不意打ち人事をなくします。
細井人事闘争勝利のために全力をあげます。
A人事委員会が労働者の救済機関としての役割を果たすよう監視・抗議・要請活動を強めます。また、広く県民に開かれた人事委員会とするため人事委員会の傍聴,議事録の公開などに取り組みます。
B思想信条による差別や教育の条理を無視した学閥・人脈・血縁・地縁人事を一掃し、公平公正な管理職人事を実現させます。
C校内における人事・分掌は、希望と納得に基づき、公平公正なものにするように取り組みます。
D組合員の人事異動希望をまとめて各市町村教委と交渉し、組合員の希望実現を図ります。
(7)教員採用制度の民主化、臨時教員経験者の実績を正当に評価する採用制度の改善に向けて運動します。
@臨時教員の待遇の改善や権利の保障のために取り組みます。
A初任研制度をやめさせるため関係諸機関に働きかけます。
(8)母性保護・男女平等実現のために取り組みます。
@「育児休業法」の改善、充実のために取り組みます。
A異常出産、妊娠障害をなくすために、労働軽減措置と配慮がなされるように取り組みます。
体育代替講師制度の完全実施・確保と内容の改善を進めます。
B産休明け保育や0歳児保育の拡充、保育料値下げ、学童保育の制度化など公的保育の充実を求める運動を進めます。
C産休期間の延長、一定額の補助など子育てが安心してできる条件を整備します。
D産後休暇、育児休暇、療養休暇明けの教職員を異動させないようにします。
(9)健康的な教育現場環境を作るために取り組みます。
@休憩室、更衣室、職員用トイレ、シャワー室などを完備させます。
A喫煙場所の確保などに取り組みます。
B照明や冷暖房器具などを完備させます。
(10)教職員の福利・厚生の充実に取り組みます。
@愛教労共済会の発展に取り組み、相互扶助を原則とした組合活動を展開します。
A映画、演劇、スキー、ハイキングなど文化・スポーツ活動の振興に努めます。
3 戦後教職員運動の原点である「教え子を再び戦場に送らない」に立ち返り、危険な戦争の動きに反対し、戦後培われてきた平和・民主教育の伝統を守り発展させよう。
(1)憲法と教育基本法に基づき、平和・民主の教育運動を進めます。
@軍国主義教育の復活に反対します。
A地域の戦争体験を掘り起こし、教材の研究を進め、平和学習に取り組みます。
B憲法を基礎に主権在民・人権擁護。政教分離の立場から教育の運動に取り組みます。
C「新しい歴史教科書を作る会」作成の社会科教科書の批判活動を行います。
D愛知「平和のための戦争展」に参加します。
(2)核兵器の廃絶を目指し、学習会・署名・非核自治体宣言の要求などを進めます。
(3)自衛隊の海外派兵や一切の軍事行動に反対し、「ガイドライン法」を実行させない運動を進めます。
(4)選挙制度の民主化や住民自治の前進をはかり、国民の声が生きる政治の実現のために取り組みます。
(5)国民の基本的人権を奪い、教え子を戦争に駆り立てる有事立法に反対します。
4 組合の主人公は一人一人の組合員であるという組合運動の原点に立って、生活と権利を守るために全力を尽くしましょう。
(1)教職員の要求に耳を傾けて、明るい職場作りに取り組むとともに、組合運動の原点を見つめて積極的な提案を行い、組合への信頼を勝ち取ります。
@職場新聞や組合機関紙を発行し、教育現場の状況や組合の考えを旺盛に広げます。
A職場訪問を実現し、教職員の声をよく聞いて改善のために取り組みます。
B校長交渉、教育委員会、事務所、県教育委員会等との交渉を必要に応じてもち、教育問題改善のために努力するとともに、交渉の経過を報告します。
・問題の起きた学校、問題のある管理職のいる学校、問題のある教育委員会・事務所へは、組合員の有無にかかわらず、積極的に交渉を申し出て、問題の早期解決をはかります。
・三河校長会との交渉・話し合いを重視し、粘り強く働きかけます。
・
(2)「組合運動の原点は一人一人の組合員である」という確認のうえに、運営は組合員の合意と積極性に依拠して民主的に進めるとともに、組合の拡大強化に努めます。
@月1回の代議員会を充実させ、多数の参加で成功させるようにします。また、代議員会の内容を全組合員にニュースとして報告します。
A代議員会での実践交流会や特設の教研集会等を企画するなど組合の教研活動を強めます。
B組合への差別や不当労働行為に対しては、断固として取り組みます。
C組合員の拡大に積極的に取り組みます。当面数十名の組合となることを目指します。各種会議で、必ず位置づけて進めます。
(3)他の組合や団体と教育現場の実情を交流し、教育問題の改善のために協力します。
・学事労、西三河南労連、アスクなどの団体との交流を図ります。
・西三河南労連にオブザーバー参加します。
(4)愛教労運動に積極的に参加し、三河部の運動が反映されるよう取り組みます。