周防大島と松山 2013年10月
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4日目 松山→ 自宅
この日は帰るだけの予定です。
JR松山駅で邪魔にならない隅の場所を見つけ、輪行作業を始めてから10分ほど経ったとき、前後輸を外しフレームを立ててちょうど不安定な体勢になっている、最も気を抜けないそのときに駅員から声をかけられました。
「ここで,分解とか組み立てとか、やめてくれんかの。ここは自転車乗り入れ禁止じゃけん。外でやりんさい」
あれ? 自転車乗車禁止で押して通るようにという表示はありましたが、乗り入れ禁止ではなかったような。まぁ、ここで言い争うと旅が台無しです。今は分解の最中で即座の移動が困難なことを申告すると「まぁ今回はええが、次回はダメですから」
はぁ、ありがとうございます。さっさと荷造りしますので。
と、すぐ近くのタクシー乗り場から運転手さんが一人、降りてやってきました。
「しまなみヘ行くんか?」と声をかけてきます。周防大島を旅して松山を観光、これから帰るところだと説明すると、
「あんなあ、さっきの駅員、何言うとった?」と聞いてきます。
ここは自転車禁止だから、他所で分解作業するように指示されたことを言うと、
「ここからJRに乗りよるのに、そんなこと言うとったらイカンのォ」と憤慨し始め、勢いがついてきてしまったので、今度は私のほうが「まーまー、駅員の方々にも立場があるでしょうから」となだめる側にまわらなければなりませんでした。
ありがとうございます。愛媛の人たちは優しい。その優しさが沁みていくようです。
特急しおかぜは3分遅れで松山駅を発車、瀬戸大橋を渡り、岡山駅で新幹線のぞみ号に乗り換えました。
のぞみ号は激しく疾走し、異常なまでの速度に動悸がしてくるほどです。ものすごい勢いで日常に引き戻されていきます。私は旅に出る前、彼の地とはこれほど違う所に身を置いていたのだということを改めて実感したのでした。
(おしまい)