小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2017/12/24

萩〜秋吉台〜門司 2017年11月

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3日目 美祢→埴生→長府→門司

内陸部の朝は冷え込み、気温6℃。それでも前日朝の寒さで慣れたのか、あるいは前日の疲れで感覚が少々麻痺しているのか、特に身構えることなく走り始めました。

JR美祢線沿いに南下していく県道33号、地味にアップダウンを繰り返し、少しずつ体力を消耗していきます。しかも道沿いに店舗らしきものが皆無な状態。
厚保に入り、中国自動車道の美祢西IC入口の先にコンビニの看板が見えたので休憩しようとするも、何と開店は数日先のようで店内は内装工事の最中でした。すぐ近くのJAに入ろうとしましたが開いていません。
困った私たちの目に入ったのが隣の栗選果場。店舗ではないものの、栗の加工品を買えるようです。焼栗が一袋¥1200。安くはないしどうしようか迷いましたが、試食するととてもおいしい。思い切って購入し、逆さにしたプラスチックのカゴを椅子がわりにいただきました。甘くて香ばしくホクホクな風味は、これまで食べたことがないほど抜群の美味!


栗選果場


焼栗がウマイ!

今年は栗が不作と言われているけれどここではたくさん集荷されていますね、とJAのおじさんに話すと、これでも相当落ち込んでいるとのことです。高齢化と後継者不足により農家が最盛期の半分に落ち込み、さらに鹿や猪、猿による獣害が深刻化しているそう。猿は実を食べてしまうだけでなく枝を折ってしまい、鹿は木の皮を剥ぎ、芽を食べ、新たに植えた苗木も食べてしまうため、収穫どころか栗の木そのものがダメになってしまうと... 少子高齢化と首都圏への一極集中、地方の衰退の一端を見た気がしました。

美味しい焼栗で元気になった私たちは県道65号から県道232号の万国峠を越え、長閑な道を経て埴生へ。ここから国道2号線バイパスを進みます。


万国峠を越えて


バイパスを進む

あまり風情はないものの、快調にバイパスを走り、長府にやってきました。


長府城下町の古江小路


小さなカフェ



お昼にカレーを


器が素敵です

何も下調べしておらず、どこでお昼にしようかフラフラ走っているうちに偶然見つけたカフェに入ると、私好みの小さな、カウンター席しかないようなお店でした。今日はカレーの日だからカレーだけ、というカフェのおねえさんでしたが、私がカレーライスを、妻がカレーうどんを注文すると、「ちょっと今から葱買っちょくるけぇ」と自転車でお出かけに。このユルさが好きです。
食後のコーヒーがおいしい。が、それよりも器に心惹かれてしまいました。私はあまり陶器に興味はありませんけれど、これは違う。画像ではわかりにくいですけれど、他にはない独特の味わいです。

長府の街並みを西へ、交通量の多い国道へ出てさらに西へと走っていくと、急に視界が開けました。海とそのすぐ向こうに陸地。とうとう来た、関門海峡に。


関門海峡にやってきました


トンネル入口

海峡を越えるのはたいてい橋か船と決まっていますが、関門海峡には人道トンネルなるものが整備されているのでした。自転車の通行料¥20。


トンネル内で県境を越えます


九州側に出ました

関門トンネルは自転車に乗ることが禁止されているため、徒歩でテクテク自転車を押していきます。地元の方々も観光客も皆テクテク。特に風情がある施設ではありませんが、ややこじんまりとしていてどこか温かみがあるように感じました。
県境を越えて反対側のエレベーターを昇るとそこはもう門司。しばらく走ると門司港中心街に出ました。


旧門司税関


栄町銀天街

門司港の洋館や海峡プラザなどをサクサクと見て回り、観光客相手の施設に少々ゲンナリした私たちは、昔ながらの商店街である栄町銀天街へ。目に留まった揚げ物店に吸い寄せられるように入り、おやつタイムです。ふく天とたこネギ天も、妙な味付けをしておらず、素材を生かした豊かな風味でした。

この日投宿する旅館がなかなか見つからず、ぐるぐると走り回ったり、道行く人たちに尋ねてもわからず。困った私たちは目に入った一つの店舗で訊いてみると、丁寧におしえてくださったばかりか、お客のうちの一人が「私がご案内しましょう」と仰ってくださり、お言葉に甘えることに。地域の観光アドバイザーをなさっているというおばさまは、汗と埃で汚れた私たちに嫌な顔などまったく見せず、快く案内してくださいました。ありがとうございます。本当に助かりました。
目的の旅館は細い路地界隈にあり、途中に案内板も無く、自分たちだけでは絶対に着くことができなかったでしょう。

年月を経た門も玄関も一般の民家を思わせる規模で、失礼ながらよくありがちな安旅館かと錯覚しそうでしたが、中は広く、立派な居室は歴史を感じる風格すら漂いつつもトイレや洗面所は最新の設備で快適です。すばらしい。宿の主人と女将さんの心意気が感じられる旅館でした。


風情ある旅館


近所に角打ちのお店も

夕食は門司港レトロ街の、夕方に目をつけたお店へ。
当初妻は「せっかく下関とか門司へ行くんだから、フグ食べるからねっ!」と息巻いておりましたが、少々騒々しい観光施設や、一般人は気後れしてしまうような高級店を見てやや疲れたのか「あまり気を遣わない普通の店にしよう」と方針転換したのでした。


庶民的なお店で夕食


地だこのカルパッチョがおいしい

もう明日は帰る日で小倉駅までの約10kmを走るだけ。思い切り食べてしまおう。地だこのカルパッチョ、シーフードピザにチキン南蛮、白身魚のタルタルソースまでしっかり食べて飲んだのでありました。