小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2017/12/24

萩〜秋吉台〜門司 2017年11月

  3日目> 4日目

4日目 門司→ 自宅

心からリラックスするというよりも、澄み切っていて己の心が洗われるような良い旅館でした。朝食にはたくさんのおかずがありがたい。
地元の食べ物なんですよと女将さんがおきゅうとというおかずを添えてくださいました。毎日食べても飽きないような、穏やかな味でした。でも一番驚いたのが煮豆。かつて食べたことのない優しい味です。女将さんはただの煮豆だと仰っていましたが、この味に到達するまでどれだけの手間と月日をかけたのだろう、そう思いながらしみじみといただいたのでした。


この日も朝は寒い。でも前日の美祢市ほどではありません。内陸部と沿岸の違いですね。「交通量が多いから気をつけてくださいね」宿の女将さんにそう言われた通り、朝の国道199号は産業道路らしく、それなりに車両が行き交っています。でも通勤時とはいえ、なぜか愛知県ほどには人々が急いてないように感じ、自転車でも比較的走りやすい。もっとも私たちのような旅行者が、地域の方々の通勤の邪魔になっているかと思うと少し申し訳ない気持ちもしてきます。

ふと妙な感覚に陥りました。今日この後自宅へ帰るなんて考えられない。私はずっと旅を続けてきている気がします。このまま明日も明後日も旅を続けるような、さすらいの旅人。歓迎もイベントも、何も要らない。私は無価値で限りなく透明な存在です。ただただ、このまま走っていたい。帰りたくない、現実に戻りたくない、というようなネガティブな思いではなく、どちらかというとポジティブ。なんだ一緒じゃないか、甘えじゃないかと言われるかもしれませんが、でもやはり違うのです。うまく言葉にできない、妙な感覚でした。
この旅の間、私は現実から逃げていました。失礼ながら萩や秋吉台、門司が逃げ場所だったのです。でも素晴らしい、夢のような場所でした。このツーレポでは書ききれない、様々な出会いがありました。ありがたいことです。いつか当HPのコラムに掲載するつもりです。

順調に走って無事小倉駅に到着。駅の北側は少々殺風景でしたが大都市の駅ですからこんなものでしょう。できることならば、このまま旅を続けていたい。でもそうはいきません。私は現実に、世知辛い娑婆へと戻らねばならないのでした。
落ち着いて輪行作業を行い、階上の改札を通って新幹線乗り場へ。戦うビジネスマンたちと一緒に、上り方面の新幹線に乗り込みました。
                          (おしまい)