小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2016/11/20

佐世保〜平戸〜唐津 2016年11月

  1日目> 2日目 >3日目

2日目 佐世保→ 平戸→ 鷹島 阿翁浦

うおおっ、寒い! 暦の上ではまだ秋だし気温9℃はそれほどでもないはずですけど、体感的には冬に入ったような寒さ。ヒートテックの肌着はもちろん、ウインドブレーカーに、ネックウォーマー、長指グローブと冬装備が必要です。
朝食は宿でおしえてもらった近くの食堂で豚汁朝食を。


風情ある食堂


豚汁朝食

お店の雰囲気が素晴らしく、大将に了解をもらって写真を撮らせていただきました。BGMが「My Funny Valentine」や「Englishman in New York」。温かい豚汁とともに、冷えていた体に沁みていきます。前夜格安旅館に泊まらなければ出会うことはなかったでしょう。ありがとうございました。


ドッグは大スケール


好天ながら風が冷たい

いよいよ本格的にサイクリングスタート。まず佐世保市内を北西へ県道11号を進みます。 交通量が多く、レンガ敷の自歩道を走っていくと米軍施設の横を通るころから道は上りに。造船ドッグを横目に見ながらさらに上ります。長崎は坂の街と言われますが、ここ佐世保市も坂が多いことを体感しました。 長崎県立大学の交差点を左折、県道139へ。上りで汗をかき、下りでその汗が冷えるサイクルを繰り返すうちに腹が冷えてなんだか痛くなってまいりました。脚に力が入りにくいし、膝周りの筋肉までやや痛みを感じる始末。チラチラのぞく松浦鉄道を眺めつつR204へ入り、しばらくすると長い上りとなりました。江迎町と田平町の境の、たかだか100m程度しか上らない峠道なのですけれど、腹痛のせいで6〜7割の力しか出せず、辛い。


道の駅に到着


饅頭¥60を補給

ようやく上りきって道の駅昆虫の里たびらで休憩、饅頭を補給するも、腹がが冷えたままでどうにも回復しません。あまり力が出ないまま平戸大橋を越え、これまた坂を上って下って平戸桟橋へ到着しました。


平戸大橋


平戸桟橋

ここまでバスで移動しレンタサイクルを借りた妻と合流、下調べしておいた、ちゃんぽんやあごだしラーメンがおいしいというお店へ移動... しかし不運にもお店には「定休日」の札がかかっておりました。周囲に良さそうなお店が見当たらずに困った私は、通りを歩いていたお兄さんに尋ねてみました。
私「□□店が定休日だったので、ほかにあごだしラーメンを食べれる店をご存じですか?」
お兄さん「うーん、あごだしラーメンのお店はわからないので市役所へ訊いてみましょう」
ええっ? そんなことで役所へ電話していいのかと訝る私を尻目に、不動産業をしているというお兄さんは電話をかけ、いつもお世話になっております、○○です、ところで△△君おる? なんて気軽に話しています。結局近くにあごだしラーメンを食べれるお店は無く、あごちゃんぽんを食べれるお店まで連れて行ってもらえました。
地元ではあごは網で焼いて食べるのが一般的なこととか、近年あごの相場が急上昇だとか、中心街の通りは室町時代から続いているらしいとか、ジャパネットたかたの元社長がよく来る居酒屋がここですとか、社長のご実家のお店がここですとか、まるで観光ガイドをされるかのごとく、あれこれおしえてくださいました。
お店に着くとオーナーが出てきて、愛知県から来たことを伝えると娘さんが名古屋市にお住まいとのこと。私たちは岡崎市ですと申し出ると、「ええっ、あの岡崎市」とお兄さんとオーナーがびっくりされるので、こちらも驚いて尋ねると、岡崎市で開催されている“まちゼミ”が全国的に有名(?)で、ここ平戸市でもその手法に倣って地域活性化に取り組んでいるとのことです。私、恥ずかしながら知りませんでした... それにしても何か不思議な繋がりのようなものを感じる瞬間でした。


案内くださったお店


あごちゃんぽんがウマい!

お兄さんにお礼をのべて、お店に入り、あごちゃんぽんをいただくと、これがすばらしくウマい!! スープはもちろん、あごのすり身天なんて絶品。店内はみるみるうちに満席となり、空席を待つ列ができ始めています。ここでも偶然の、思い出深い出会いに感謝するのでした。


昔ながらの街並み


平戸オランダ商館



ザビエル天主堂


教会と寺院の見える風景

食後は平戸オランダ商館を見学、一見地味な施設ながらなかなか面白い展示でした。続いて厳しい坂道を上り、ザビエル天守堂へ。内部は荘厳というより温かみを感じ、しかし日本の伝統的な感覚とは異なる静けさに包まれる空間。寺社とは違い、外界と隔絶された空間。ふいに“isolated”という単語が浮かびました。日本人には苦手な人が多いでしょうけれど己を内観するにはこうした空間が必要なのかもしれません。
そこへ観光バスから降りた中高年の団体客が大勢、慌ただしくおしゃべりしながら入ってきたため、静謐な空間が一転、穢土の騒々しさが反響する空間に。

疲れてきたのでカフェで一服しました。地元の常連客に愛されている、ビートルズ好きのマスターが営むカフェはほっとする居心地の良い空間。平戸は良いお店がたくさんあります。来てみるまでわかりませんでした。今度ゆっくり訪れたいと思います。


喫茶店で休憩


小崎でゼリーを補給

名残惜しい平戸を出発、坂を上り、国道204号を東へ。これまで同様、平地はほとんど無く、勾配は緩いもののアップダウンばかりで地味に体力を消耗します。

平戸から松浦鉄道を利用した妻と御厨港で合流、フェリーを待っていると日が沈む前からぐんぐん気温が低下し、戸外にはいづらいほどになってきました。
フェリーに乗り込むと客室内が暖かく眠ってしまいそうです。


小さな御厨港に到着


フェリー乗船中に日暮れ

とっぷりと日が暮れ、真っ暗闇の阿翁港に着岸。港からすぐの旅館に宿泊しました。


暗闇の中、宿に到着


手作りの飾り付けが温かい

とらふぐコースの宿泊が¥10,000円(税別、2016/11月)という格安価格ながら、お造りもてっさも何もかもが抜群にウマい。日本海側の魚介類は太平洋側とは違ってすっきりとした繊細な印象があり、中でもここは忘れられない味でした。


フグはもちろん、お造りもすばらしい


雑炊もひと味違います