小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2015/05/24

小豆島と吉備路 2015年5月

  2日目> 3日目 >4日目

3日目 小豆島→ 倉敷→ 総社→ 岡山

この日は小豆島を離れます。出発の荷支度をしていると、あたしも自転車好きなの、と宿の女将さんが興味深そうに話しかけてきました。パンク修理を自分でできないとダメかしらと尋ねられたので、できなくてもご近所サイクリングならいいのですが、遠出する場合は修理できたほうが無難だけど、タイヤ着脱に指の力が必要で、簡単ではないですと答えました。このあたりが気軽に始められないハードルになっている気がします。
女将さん、自然が好きで、近年畑を借りて野菜を栽培しているそうです。雑草も大変だけど、最近はイノシシの被害に困っているとのこと。もともと小豆島にイノシシはいなかったのですが、四国本土から海を泳いできて三都半島に上陸したらしく、土庄の街中にも出没するとのこと。かわいいなどと言ってる場合じゃありません。天敵がおらず、何もしないとバンバン増えていきますから。作物の根まで全部食べ尽くしてしまうのです。

岡山からの乗客を載せたフェリーが到着すると、数々の車両に続いて降りてきたのが大勢のサイクリスト。連休本番です。
8:45の定刻よりやや遅れて出発したフェリーが新岡山港に着くと、そこには2日前とは全く違い、大人数の待合客でごった返しておりました。


フェリーで岡山港へ


迷ってます

岡山市街へ戻るだけではつまらない。倉敷を通り、吉備路にも行ってみようとテキトーにプランを立てて走り始めました。もっとも、交通量の激しい国道2号を西進する気に慣れず、岡南大橋を渡って岡南飛行場方面へ向かいます。
小豆島と全然違って真直な走りやすい道に、気分は上々。広域農道を南進し、県道74号に入るところを少々行き過ぎてから右折したため、県道に入れず、道を見失いました。コンビニの駐車場でおじいさんに曽根方面への道を訪ね、教えてくれた通りに進んでいくと、曽根じゃなくて、もっと南の彦崎に入ってしまいました。

草刈り作業をしていたおじさんに道を訪ね、広々とした田畑の中を北西に進んでいきます。道は平坦で用水路が整備されています。灌漑地なのでしょうか。立ち並ぶ麦穂の青さが痛いほど目に沁みる。
近年、私は白米を食べる量が減ってきて、代わりに麦関係の食品を摂るようになり、稲だけでなく、麦穂が続く景色も悪くないと思うようになりました。日本人はコメを食べなくなってきたと言われるけれど、そもそも常食するほどコメがふんだんに流通するようになったのは品種改良が進んだ近代になってからではないだろうか。それ以前は麦や粟、蕎麦など、コメ以外の穀物を多く摂取していたはずです。

それにしても鷺を多く見かけました。中には人家のすぐ近くにいたり、道端にいて、私達が自転車で通りかかっても逃げることなく堂々としています。地域の人たちがあまり農薬を使わずに生態系が豊かなだけでなく、追い払ったりしないんでしょうね。これほど距離が近いと少々怖くもありますけれど。
茶屋町駅に出て、県道74号を倉敷へ向けて進みます。しかし走りにくい。路肩が狭くて交通量が多いだけでなく、道の脇に田畑があって、道路よりも2〜3mほど低いのにガードレールはありません。フラついて道を逸れてしまうと、大事に至る可能性があります。困惑しつつ走って行くと国道2号との交差点に出ました。まぁー、信号無視が多いです。決して危険な印象を受けることはなく、どこかスムーズで憎めない。近畿圏は合理的な考えの人たちが多いのですが、その一端を見たような気がします。

ようやく倉敷アイビースクエアに到着しました。観光客が多く賑やかで落ち着きません。
それではと美観地区へ行ってみると、これまたすごい人数の歓光客。GWですから... 沿道の店の人たちも、今が勝負とばかり、呼び込みを続けていて目が血走っているかのように見えてしまいます。私はダメです、この雰囲気。
残念ですけど早々に退散し、目に入ったピッツアのお店でお昼にしました。


ピッツアのお店


ヴューステルとパターテ
カロリー高そうでしょ

ここのピッツアが当たり! 小麦の香りが良く、チーズも優しい味で、疲れた体に塩分が効きます。ご夫婦で切り盛りされているらしく、奥様においしいですと申し上げると、パッと輝くような表情になって、朝早くから焼いているんですよ、またお願いしますね、とのこと。
よかった、素朴なお店に入ることができて。体力が回復しました。

今度は倉敷を離れ、総社を目指します。県道24号を、高梁川沿いに北進していくのですが、交通量が多く、路肩が狭くて走りにくい。清音駅付近で県道を外れて田んぼの中の道を抜け、別の県道469号を北へと進んでいきました。
総社に到着、自転車道の案内表示を発見。

いよいよ吉備路サイクリングロードです。


慣れない暑さに消耗してきた私達は、総社宮近くのカフェに行ってみることに。が、お休みでした...
気を取り直して商店街を探し、小さな茶店で大判焼をいただきました。
外は暑いけれど、熱い番茶がおいしい。


茶店で休憩


大判焼



自転車道に戻り、東へ向かいます。道がややこしい。何度となく右左折を繰り返す上に、路面がよくありません。
原付に乗ったおばちゃんも通ります。きっとスピードを出すロードバイク乗りにはウケが悪いことでしょう。


五重塔


人生は六十才からだって

備中国分寺で五重塔を拝観し、自転車道を岡山方面へ向かいます。しかしわかりにくい。案内表示を見落とさないよう注意していたのですが、どこかでロストしたらしく、気づいた時には足守川沿いを走っていて、新幹線の高架をくぐってから、かなり南へ進んでしまったことがわかりました。庭瀬駅近くのスタンドで道をおしえてもらい、住宅地の中をしばらく北進、川入を経てようやく吉備津神社に到着しました。


吉備津神社


岡山駅到着

しばらく休憩した後、再び右左折を繰り返しつつ自転車道を走っていきます。古備津彦神社まではよかったのですが、県道81号に出たあたりでまたロストしてしまい、いつの間にか東ではなく南進してしまっていました。
いろんな人に道を聞きまくって笹ヶ瀬川を渡り、どうにか県道242号に出ると、東進して18:00前に岡山駅へ着きました。
この日の走行距離約70km。自転車道をロストしたことが大きく響きました。
前日の疲れもありますけれど、何か神経が先に疲れた気分です。駅近くの安ホテルに投宿。ビジネスホテルにしては珍しく広めの和室でありがたい。

腹へった...
15分ほど歩いて向かった表町商店街から少し外れたところに、リサーチしておいた居酒屋を無事発見。ジャージ姿では少々入りにくい雰囲気ですけど、疲労と空腹に耐えかねて入りました。


表町商店街


居酒屋へ

ままかりが旨い! 今まで食べたままかりは何だったのだろうと思うほど。焼ままかりも素晴らしい。タイやカンパチの刺身もスゴイ。ただ新鮮なだけでなく、丁寧に寝かせてあり、旨味が出たジャストなタイミングで供されています。焼物だって、フグの唐揚げだって、身が締まっていて味が豊か。
喜んで食べていると、隣に座っていた上品なおじさんが話しかけてきました。愛知県から来たと言うと、おじさんのご子息が南山大学というエリート校に進学されたそうで、名古屋は良い思い出しかないなあ、と上機嫌に。御園座での舞台観劇や名古屋めしの話だけでなく、たまたま入ったパチンコ屋で大勝ちしたことなど、楽しいお話を聞かせてくださいました。ほかにも話は弾み、おいしい料理と相まってすっかり岡山が好きになりました。この日、多くの人たちに道をおしえてもらいましたが、皆さん嫌な顔ひとつせずに親切でしたし。
私も気分よくビール大瓶を2本飲んじゃいました。初めて食べた名物のばら寿司も旨い。具材はもちろん、酢飯が絶品。酢の塩梅がすばらしく、手がかかっていることがわかります。大満足の夕食でありました。
帰路に見かけた飲食店も比較的小さな規模のお店が多く、あちこち寄ってみたくなります。

宿に戻ると疲れた手足が火照り、少々寝苦しかったですけれど、こういう日もありますね。