小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2014/11/16

しまなみの島々 2014年10月

  2日目> 3日目 >4日目

3日目 弓削島→ 佐島→ 生名島→ 岩城島→ 生口島→ 因島

朝は冷え込みました。どうやら最低気温は6℃だったようです。決して新しくない木造の民家、慣れない体に寒さが堪えました。こたつやストーブが欲しいくらいです。朝食を満腹以上に食べ、日なたは多少マシとはいえ、日陰に入ると冷気が沁みる中を出発しました。
疲労が蓄積してきた妻は弓削港から高速船で直接岩城島へ向かい、私は佐島や生名島を周って行くことに。寒さでトイレが近くなって弱りました。タイツを所持していたのにそれを履くことを忘れていて下着を除いて下はジャージ1枚。バカですねえ。いい年して、体が冷えると良くないのに。


佐島へ渡ります


次に生名島へ

前日通った弓削大橋を渡り、佐島を通過、今度は生名橋を渡ります。
この生名橋、堂々とした立派な姿に似合わずに1車線。途中に待避所はあるものの、すれ違い走行ができないのでした。地元の人の話では予算が足りなかったとか... 橋の規模からすると他の地域では考えにくいことですね。

生名島では東側のメジャーなルートではなく、西側のルートを選択。ここも浮世を忘れさせるほどの、静かな良いところでした。
経験の無い人には、寂しい道を一人で走るなんて考えられないことでしょう。でも単独で、自転車で走っていると、自然との距離が近くなる気がします。自然はとてつもなく大きく、深く、厳しくて温かい。対して人間は小さい。自然の恵みの前に、己が卑小で無力なことを、私は確認しているのかもしれません。


生名島西岸


今度は因島へ

UP-DOWNを繰り返しつつ島を半周以上、北東の立石港へ到着しました。
できればここから直接西隣の岩城島へ渡れるといいのですが、あいにく航路が無いため、いったん因島へ渡り、それから岩城島へと進みます。
因島の長崎港へ着いたのが10:00。フェリーから降りた大型トレーラーが狭い桟橋をなかなか上れずにモタついたために、私が上陸できたのは10:05。長崎港から数百m離れた土生港へ走り、10:10発のフェリーにすべり込みました。

岩城島北東部の長江港へ着き、南部の岩城港へ向かって走ります。岩城島は、生名島を挟んで因島と隣接しているのですが、また異なる空気に包まれています。何がどう違うのか説明できませんけれど、こうした個性がしまなみの島々の魅力でもあると思います。もし本土と橋でつながると、個性は薄れていくのかもしれません。


岩城島の集落


岩城港に到着

UP-DOWNを越え、島南部の趣ある集落を抜けて岩城港で妻と合流。地元の人おすすめの民宿兼食堂へ行ってみます。
連日の大食いで胃腸が疲れ気味でして、丼物ではなくレモンポ―クのパスタを注文。さっぱりとした風味が、白米が続いた身にありがたい。


昼食タイム


レモンポークのパスタ

この後、誰かに薦められたわけでもなく、ひと目見てなぜか気になった喫茶店に入りました。店内にはギターやバンジョー、ミニギターなどの弦楽器が飾られていて、楽器がお好きなのかとマスターに話かけると、もうそれから話が弾んでしまいました。
マスターは長いことマンドリンクラブをされていて、近年は楽器をやるのが女性ばかりになってしまったとか、岩城島では積善山の桜が有名で、それはもう幻想的な美しさだとか。小一時間もゆっくりとあれこれお話を聞くことができて楽しかったです。


温かい喫茶店


収穫期のレモンが鈴なり

さあ島の北部、小漕港まで走って、今度は生口島へと渡ります。


生口島へ


大三島へ続く多々羅大橋

洲江港で下船した後、疲れが出た妻はそのまま因島へと橋を渡り、私は島西部をぐるりと半周して島の商店街へ。 あっ、信号だ。信号なんて久しく見ていなかった気がする。大崎上島でも数えるほどしかなかったし、あとは伯方島で1ヶ所見たくらいか。信号があるだけでも島の雰囲気って違うものですね。

微妙に疲れてはいましたが、体を暖めたくて少々飛ばしました。
世間一般のロードバイク乗りに比べたら笑われてしまうほど遅いかもしれませんが、体感的には巡航速度が30km/hに達していたように思います。
快調に飛ばして行くと、30分もかからずにしおまち商店街に着きました。
お目当ては、3年前に食べた、揚げたてコロッケ。しかし一時的でしょうが、大勢の自転車集団が半ば占拠している状態で、断念しました。そこでまだ一度も行ったことのなかった、平山郁夫美術館に寄ってみることに。

私は絵画に詳しいわけでも何でもありませんが、観てよかった。油絵に代表される西洋画と異なる日本画で、すべての絵に何とも言えない温かみが感じられます。
派手さが無く、自然の中に存在する色彩で構成されているからでしょうか。静的な絵で自己主張はあまり感じないものの、穏やかながら芯を感じ、あらゆるものに愛情が注がれているような、印象深い絵画群でありました。画伯の人間性に惹かれた私は、ミュージアムショップで画伯直筆の書籍を買い求めてじっくりと拝読することに。


日が傾くころ因島へ


寒くなってきました

もう日が傾いてきていました。因島へと自転車を走らせます。途中のジェラート屋に複数名の若い女性サイクリストが集まっているようでしたが、この寒さです。とてもジェラート気分にはなれません。
フロントアウターギアのまま、生口橋への上りを進みます。以前はフロントトリプルのセンター、初めはインナーで上っていたのですから、ずいぶん変わったものです。
無事橋を渡り、コンビニで妻と合流しました。ホットコーヒーを飲んで体を温め、島北部の民宿へ向けて出発です。因島は交通量が多い。次々に車群に抜かれながら、寒さの中を進んでいきます。途中で日が沈んでしまい、またしても民宿の看板が見つからずに地元の人に尋ねながら、宿に到着することができました。


民宿につくとほどなく真っ暗に


夕食はプロの味!

さっそく風呂で体を温めました。この日の走行距離:約60km。
島北部にかかる因島大橋よりも東に位置しているせいか、交通量の多い西部に比べてだんぜん静かです。品数が並んだ夕食は、家庭的ではなく良い意味で民宿の概念を超えたプロの味。もちろん完食したのでありました。