しまなみ海道とゆめしま街道 2019年10月
3日目 佐島→ 生名島→ 因島→ 生口島→ 大三島→ 伯方島→ 大島→ 今治
朝食は弓削島で購入しておいたお弁当を温めていただきます。製造元が大規模でないせいなのか、それとも宿の空気が良いせいなのか、簡単な食事なのにおいしい。
出発する直前、近所の家猫が勝手に入ってきて、私すり寄ってきます。とても人懐こく膝の上に乗ってきて、満足そうにうたた寝を始めてしまいました。まぁこんなこともありますね。半日ほど別行動の妻はこの後、小一時間も猫の相手をする羽目に。
ニャンコが訪問
ゲストハウスを出発
生名橋を渡る
生名港からフェリー
生名橋を渡って生名島を走ります。5年前はぐるっと一周近く走ったので今回は東海岸の最短コースを進むと、あっけなく生名港に到着。フェリーで因島へ渡りました。
因島の市街地を抜け、しばらく走ると生口橋への上りにさしかかります。自転車道が整備され、上り勾配が緩い。アウターギアのまま上り切り、橋を渡りました。
生口橋へ
コロッケを補給/p>
一人で生口島の海岸沿いを走っていた刹那、現実の感覚が薄くなり、意識が透明になった気がしました。次の瞬間、わけもわからないまま私は落涙していました。悲しいわけでもなく、気分が落ち込んだわけでもありません。むしろ気持ちは温かい。私はごくまれにこうしたことがあります。どうでもいい己の鎧を解き、無意識が解放されたのでしょう。私は目に見えない、いろんなものを引き連れて旅しているのかもしれません。だったら、こんなときぐらい自由に私の体を使ってもらってもいい。他人にとっては涙を流しながら走ってるオッサンなんて変人を通り越して狂人に見えるでしょうけれど。
しおまち商店街でコロッケを補給し、サンセットラインを通り、多々羅大橋を越えて大三島に入ります。
大三島へ
瀬戸内レモンソフト
道の駅でレモンソフトを補給。冷たくすっきりした食感に、体がシャキッとしました。大三島橋を渡り、伯方島へ。伯方島北〜東海岸の素朴な景色に和みます。ここまでで50km弱、さすがに疲れてまいりました。
伯方島の素朴な景色
ラーメン定食
別行動だった妻と木浦港で合流、塩ラーメンで知られる近くのお店でお昼にします。私はラーメン定食をチョイス。塩ラーメンがすっきりした優しい味。すばらしくウマい。びっくりしたのはこの日のおかずのしょうが焼き。臭みも脂のしつこさも全くなく、実に爽やか。動物の肉ではないように錯覚するほどです。食材がとても健康なんですね。食べるほうの人間も浄化されるかのようでした。
伯方・大島大橋を渡る
大島東海岸は険道でした...
大島へと渡り、中央部の標準コースを避けて東側の海岸沿いを進みます。
が、のどかだったのは初めだけ、すぐに激坂と急降下の繰り返しが始まりました。もう頂上で下りが始まったと油断させておいてまた上りとか。これだけ頻繁にフロントギアを変速する機会は滅多にないことでしょう。途中の漁港でひと休みした後、再スタートするも、落ち葉や砂利、小石に覆われて荒れた挟道区間となり、おまけに頻繁に激坂。上りは自転車が軋むほどで、妻はグロッキー状態。最後に待ち構えていたトンデモ激坂に(推定勾配12%超)私も体力を使い果たしました。分岐からさらに東海岸を進む元気がなく、亀老山方面へ下り、国道を豪快に下って道の駅で休憩です。
来島海峡大橋
今治城
長い長い来島海峡大橋を越え、四国に入りました。もうヘトヘトです。国道沿いをノロノロと走り、今治城までやってきました。閉門時間の17:00まであと10分少々、疲れた体を引きずって門の中を見学しました。城の周囲にはお堀が巡らされており、景観を損ねるような観光客目当ての現代施設はありません。観光客だけでなく、地元の親子連れがやってきていて、親しみやすく大事にされているお城でした。
この日は港近くの旅館に投宿。大きくはありませんが、素泊まり一人¥4300と格安なのに、歴史と温かみを感じる旅館でした。今まで宿泊した中でも屈指の良さ。宿のおねえさんが実に穏やかで「今日昼間は暑かったですか」と尋ねるおねえさんに、「上りは暑くて下りが寒く感じるくらいでした」と私が応えると、「逆やったら良かったのに」とゆっくり喋りながら微笑む姿に、少々浮世離れした高い人間性すら感じました。
港近くの旅館
雰囲気ある和室
夕食は新町銀座商店街を抜けていきます。立派なアーケードが続いていますが、8〜9割はシャッターが下りていました。大きな都市にしては夜が早いのかしょう。
夕食は地元の中華料理店へ
ボリュームたっぷりの焼豚玉子飯
地元の中華料理店でご当地グルメの焼豚玉子飯、それにとエビ天のセットをいただきました。予想に反して全然クドくなく、たっぷりの量をあっさり完食。素材の味を生かした風味で、調味料でごまかすことなく真面目に作ってある味です。昨年行った高知県もそうでしたが、愛媛県も体の負担が少なく、なのに風味豊かな食事ばかり。店主の趣味なのか、スローなジャズボーカルのBGMが、お店の落ち着いた空気に合っていました。