2002年10月22日
安城市長 杉浦政行様
安城市教育委員会委員長 杉浦 實様
安城市教育委員会教育長 鳥居靖之様 三河教職員労働組合
執行委員長 畦地 治
「指導力不足教員」制度を利用し、陰湿な職員への嫌がらせをする
安城市立安城南部小学校稲垣英夫校長の降格を求める申し入れ書
愛知県は、校長の任用に当たって、その選考審査対象者を次のように定めている。
(ア)健康で豊かな教養と高い教育的識見をもち、実践力に富み、地域社会の信頼が厚い者。
「健康で豊かな教養と高い教育的識見を持つ」ことを第一に要求しているが、以下に述べるように、安城市立安城南部小学校稲垣英夫校長はそうした資質に欠け、選考審査対象者にも当たらない人物であり、不適格校長としてその降格を求めるものです。
1 「指導力不足教員」の制度を利用し、教員への嫌がらせを行っている。
稲垣校長は、9月30日の職員会で、「指導力不足教員のことで、調べたいことがあるので、10月、11月の間、職員の授業を見させてもらう」と発言した。そして、同校職員のK教諭の授業を10月2日の3時間目の途中から、2回目は同日5時間目の授業を最初から最後まで45分間参観している。
また、同じ日にK教諭を校長室に呼び出し、戸を閉めて「子どもがどう思っておるか、ある子どもに、君の授業の感想を聞いたところ、声が小さい、よく分からないところがある、といっておる。全部の子どもではないが、そういう子どもがいた。子どもが喜んで取り組むような授業をしてほしい。10月、11月の間、これからも授業を見せてもらうよ。」と、話している。
こうした校長の一連の行動は、愛知県教委の「指導力向上を要する教員の認定手続き」に照らしたとき、K教諭を「指導力向上を要する教員の候補該当者」とし、その予告観察を本人に通知していると考えられる。しかし、実際は、以下に述べるように、校長は、「指導力不足教員」の制度を悪用して、K教諭に対して明らかに嫌がらせをしていると考えざるを得ないのである。
第一に、K教諭は、2002年度4月以降、校長から学習指導等についての指導をいっさい受けていないことである。上記の制度によれば、校長は、4月から「児童生徒や保護者からの苦情の多い教員や指導力に問題のある」教員について、判定項目に従って、観察・記録及び指導後の記録をすることになっている。つまり、校長は10月になっていきなり「あなたは、候補該当者なので、観察します」とはいえないのである。4月からの観察及び指導の蓄積があってはじめて予告をすることができるのである。ところが、K教諭は、そうした指導は一切受けていないのである。つまり、K教諭については、「指導力不足教員」の「候補該当者」にはなり得ないのである。それをいきなり10月になって、「あなたの授業は・・・」と「指導」をするのは、K教諭を無理やり「候補該当者」とするためのアリバイ作りといわざるを得ないのである。
第二に、校長は、K教諭に対して、きちんと「予告観察」をしていないことである。この制度によれば、10月に、校長は、「指導力向上を要する教員」の「候補該当者」であることをきちんと話し、そのために観察をする旨を伝え、本人と話し合うことになっている。実際、上記のように校長は、9月の職員会議で、「指導力不足教員の問題で授業を見させてもらう」といって、K教諭の授業を集中的に参観し、その日のうちにK教諭を校長室に呼び出しているのである。この制度に基づけば、その場では、校長は、指導力向上を要すると思われる内容について、事実に基づいて、本人のやる気を損わないよう、慎重かつ丁寧に説明をし、本人の意見も十分聞きながら話を進めるべきだったのである。しかし、校長は、その日の授業について、「声が小さい」「話がよく分からない」と話しただけである。
この間の一連のことは、K教諭が「指導力向上を要する教員」でありえないことを逆に示すものとなっているが、K教諭にとっては、「自分は指導力不足教員か」という不安を著しく増大させ、精神的ダメージを与えるものになったことは明らかである。また、彼の教師としてのプライドを著しく損うものとなったことは疑いないのである。まさに、制度をちらつかせた校長によるK教諭への嫌がらせ以外の何ものでもないと言わざるを得ない。
以上のように、校長は、「指導力不足教員」の制度をちらつかせながら、その手続きをきちんと履行せず、職員に嫌がらせを行っているのである。この制度は、運用しだいによっては、教師生命を絶つことにつながる危険な制度である。したがって、慎重かつ丁寧に行うことが強く求められるものである。しかるに、職員の進退を左右する怖れのあるこの制度を利用し、「嫌がらせの道具」としているこの校長は、もはやそれだけで失格というほかない。
2 校長は、職員への嫌がらせを日常的に行っている。
校長のK教諭に対する嫌がらせは、「指導力不足教員」の制度を利用するというだけではない。この間以下のように、日常的に行われている。
第一に、2002年9月に、課題ができた子どもを順に呼んで指導しているK教諭に対して、「「あなたの授業の(持ち時間)の一部しか見ていませんが、たまたま今日見に行ったら、一斉授業の形式ではなく、個別学習した子どもを課題ができた順に呼んで指導していましたね。その時、順番を待っている子どもが遊んでいました。これは工夫の余地がありますね。」という意味のことを、授業後に話している。校長の指摘した授業の風景は緊張と弛緩、活動と静止の様々な授業のそれぞれの側面において、どこの学級でも見られるものであり、それについていちいち「工夫の余地がある」という「指導」をするのは、まさに人を選んでの嫌がらせというほかない。
第二に、2002年9月、K教諭は担任との合意の上でTT方式の授業をしていたところ、それを見た校長は、後でそれぞれ別の日にK教諭と5年主任・6年主任の側に近づいてきては、個別に「少人数授業をするということで予算措置がとられているのだから、そのようにきちんと授業をやってもらわないと困る。」と「指導」している。
しかし、少人数指導の授業の形式については、4月の職員会で、TT方式も含めて柔軟に行うことが確認されたという。空き教室がないという状況の下では、次善の策であったといえるのである。そういう経過を一切無視して、しかも、関係職員に一斉にではなく個別に「指導」をすることは、嫌がらせで以外のものではない。
3 校長としての資質に欠け、職務を果たしていない。
また、稲垣校長は、下記に記す如く校長としての資質に欠け、職務を果たしていないと考えられるのである。
@16時15分から16時45分までは、休憩時間なのに、学校内に職員を拘束している。これは、労働基準法に照らして、違法行為である。また、今年度の県校長会の見解(勤務は、昨年度と同じとする。17時15分まで(8時30分始業の場合)学校に拘束することがないようにしたい。)と異なっている。
A年休は届出制であるにもかかわらず、「どういう理由か」と聞いたり、度重なる校長の不在で仕方なく代理である教頭に時間休取得を届け出たところ、「教頭にではなく、私に直接出すように」と、「注意」するなど、いろいろと制限を設けたりする。「理由を聞く」「年休取得についていろいろ言う」など、明らかな違法行為である。
B2002年7月、「交換授業(教頭・教務・校務の授業について)は、7月12日までとする。」と発表し、そのほかの交換授業(音楽専科、少人数授業等)については、なんら指示を出さなかった。そして、着席してK教諭の顔を見ながら、「K先生の少人数は、交換授業じゃないからね。」と話している。これは、「教頭・教務・「校務」は、学級対応教員であり、学年主任と同格である」という県教委見解と異なり、教頭・教務・「校務」を優遇し、K教諭を差別する行為である。
C2002年10月7日、4時30分、「指導力不足教員問題」でK教諭他2名(三河教職員労働組合員)が、校長と話し合いをしようとしたが、校長は校長室にいたにもかかわらず、話し合いを避け、別のドアからこっそり逃げ出そうとした。これは、教育者としてはもとより、人間として恥ずかしい行為である。このような行為を行うこと自体校長としての資質を疑うものである。
Dその場は、結果的に立ち話ということになり、校長は、「それでは(話し合いの)日程については後日調整する。ぼく(校長)からKさんに話をする。Kさんからおたく(三河教職員労働組合)に連絡が行き、日程があえばそれでいい。日程が合わないときに、直接おたくに連絡をする。」と明言した。しかるに、翌10月8日には、K教諭に対して「あの二人(三河教職員労働組合員)と話し合う気は、さらさらない。」と前言を翻すという態度に出ている。これは、「嘘を平気で言う」という教育者にあってはならない最悪の行為である。また、校長の職にある者として絶対に許されない行為である。
以上