小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2019/03/03

Ninja250/400ほかノーマル車プチインプレッション

前評判が高い新型Ninja250と400。2018年現在、車齢20年を超えたZZR250に乗り続けている私にとって少なからず興味があります。タイミングよくバイクショップで試乗会が開催されると聞き、街乗りショートコースながら、Ninja250と400、それにYZF-R25とGSX250R、ついでにV-Strom250に試乗いたしました。

[追記 19/03/03]
2019年、全面刷新されたZ250、それに新発売のZ400に試乗しました。

素人ライダーの、あてにならないインプレ。しかも試乗は限られた数kmのコース。本来は一日中、いえ、数日間以上をともに過ごさないと、そのバイク本来の魅力を味わえないであろうことをご了承ください。

Ninja250 (2018年型)

軽くてスリム。ややシートが高いように感じる反面、低めでタレたハンドル。新型のコンパクトなポジションは、少々ツアラー的でクラスを超えた車格感だった前モデルとはずいぶん変わり、安楽さは薄れました。親しみやすいNinja系というよりもハードなZX系に近いような気がします。人によっては窮屈に感じるかもしれません。

Ninja250とNinja400 低速トルクが意外にあります。前モデルは少々ボンヤリしていた低回転域ですが、新型はレスポンスがよろしい。太いトルクではないものの、レスポンスが良いだけで印象は変わるものです。低回転域からアクセルを開けていくと、スムーズだった前モデルに比べ、ちょっぴりカワサキらしい荒々しさを感じるところがよろしい。一般道ではそれほど回さなくても十分です。高回転に振った分、低中速を犠牲にしたのではと予想していましたが良い意味で裏切られました。 試乗ではフルスロットルこそできませんでしたが70〜80%程度開けて加速。淀みなく回転上昇していきます。扱いやすいしパワーも出ているように感じました。10,000rpm以上の高回転域はほとんど試せていませんが、振動はあるものの、前モデルのやや重たくザラついた感触は無いようです。これも予想外。少々物足りない感のあった前モデルと違って面白い。ノーマル状態で旧いキャブ車の性能をもはや完全に越えた気がします。公道ではかつてのピーキーな250cc4気筒車といい勝負をするかもしれません。
ハンドリングも素直。前モデルは安定志向でスロットルOFFすると強めのセルフステアが顔を出すようなクセがあり、それがまた大型車的な味だったのですが、そんな味付けとは決別したよう。ブレーキも良く効き、思い通りにコントロールできる感触。

ノーマルでの完成度が高く、イジるところは少ない。イジるとかえってバランスを崩しそう。年々規制が強まる中、よくぞこれだけの性能を実現してくれたと思います。
もし愛車のZZR250が不調だったら、乗り換えを即決していたかもしれません。前モデルのツアラー的雰囲気を排除し、スポーツ性を前面に打ち出したわかりやすいキャラクターが、しかし、私にはちょっと引っかかりました。いちおうツーリングにも使えますけど、のんびりツーリングには向かず、長距離走行は疲れやすい可能性があります。険道を走るなんてあまり考えたくない。ハンドルをUPさせるだけでも多少変わる余地はあるでしょうけれど。

Ninja400 (2018年型)

車体は250と共通。400ccらしからぬコンパクトなポジションが特徴です。前モデルのようなデカさやハッタリ、重量感といったような価値観とは相容れません。

走り出すと250ccのような細さが無く、音も振動が増している上に太めのトルクがラクです。が、感動するほどのものでもないような... 前モデルに比べて振動がマイルドに感じるせいか400ccあるように感じにくいところは個人的に好印象。ひとたびアクセルを開ければ回転上昇が速く、もちろん速度上昇も早い。400だから相当パワーがあるだろうと期待すると、しかし街乗り+αレベルではそれほどでもない印象です。絶対的な動力性能は前モデルと大きな差は無いのでしょう。
ハンドリングは250同様。大排気量車的な味はありません。少しでも上位モデルの味を引き継ぐというような役割や、上位への憧れのようなものをかなぐり捨てて、コンパクトスポーツの方向性を打ち出しています。
ショップの人たちだけでなく多くの識者が推している400ccは、確かにおすすめ。余裕が欲しい、優位に立ちたい、後悔したくない、そう感じるのでしたら400ccです。だけど250が思ったよりも良くできているせいもあり、400ならではの明確なアドバンテージは高速道路や広い峠道で発揮され、一般道ではさほどでもない気がします。コンパクトなポジションなためにゆったり走るキャラクターではありません。長距離ツーリングがラクかというと、期待するほどではないかもしれません。時と場所によっては、のんびり流していると煽られたりして。
「おっ400じゃんか、速いんだってな。こんなところでトロトロ走ってんじゃねーぞ、オラァ!」なんて... すみません、妄想です。

一般ライダーにとって、週末日帰りで高速道路を利用し出かけるとか峠で遊ぶとか、そういったシーンでNinja250と比べると400が優位なのは明らかですが、前モデルのような長距離ツーリング適性がバッサリ削がれてしまったのは好みが分かれるところ。ZZR400のような万能イメージはありません。とはいえ250のほうが日常性やツーリング特性に優れるというわけでもなく、250か400か、実に悩ましいですね。

Z250 (2019年型)

Z250 250ccネイキッドにしては大柄に感じる車格ながら、跨がるとやや前掲したコンパクトなポジション。それでもNinja250/400とは異なり、少々上から抑える格好のハンドル位置なせいか、キビキビしたハンドリングに感じます。
オドメーターがまだ100kmほどの試乗車ながら、エンジンの回りかたに雑なところも詰まったような感じも荒さも全く無く、至極スムーズにレスポンス良くヒュンヒュン吹け上がって好印象。低中回転域でも前モデルの少しボンヤリしたような感触が無く、一般道をフツーに走る分には動力性能的にこれで十分じゃないかと思えます。カウルレスで視界が開けている分、よけいにそう感じるのかもしれません。車体もガッチリしていて安心感が高く、250ccだからと妥協したようなチープ感が全くありません。

こうやって試乗すると新しいバイクは文句なしにイイ。旧いZZR250をコツコツ直しながら大切に乗るのも悪くないよ、そんな価値観が色褪せるほど。1990年デビューのZZR250は、全開付近では良い勝負をするかもしれませんが、あくまで振動と轟音に耐える上での話。それ以外の運動性能やハーフスロットルでの加減速、直進および旋回中の安定感など、Ninja250/Z250は至る部分が画期的に進化している印象です。強いてアラを探せば、完成度が高くて突っ込みどころが非常に少ないところが欠点なのかもしれません。旧いカワサキ乗りにとっては何だかホンダのバイクかと錯覚するような...

Z400 (2019年型)

Z400とNinja400 250と同じ車体なので扱いやすく軽快さはそのまま、250とは違って太いトルクがラク。低回転域は特に強く感じます。前年に試乗したNinja400と比べてエンジンの雑味が少なく、スムーズに回る印象。とはいえ、たいした差は無く、個体差なのかもしれません。
カウルレスでフロントが軽いせいか、アクセルをガバ開けすると、リアが僅かに沈み、ガッと軽く蹴飛ばされるような推進力が400cc2気筒ならでは。しかし一般道でここまでパワーが必要になることはほとんどなく、山間部のややキツイ登坂路や高速道路をハイペースで走るときなどきっとラクでしょう。
余裕を求めるなら、少しでも疲労を抑えたいなら400cc。一方、ほとんどのシーンで十分な印象の250cc。どちらを選択しても後悔しない気がします。

比較にと、前年試乗したNinja400(2018年型)を同じタイミングで再試乗しました。低めで手前、タレ角がついたハンドルに手を添えるポジションがのんびり気分にはならないものの、Z400よりもハンドリングが落ち着いていてツーリング適性は上なように感じます。
400cc2気筒のわりにはドコドコ感が少なくスムーズなエンジンながら、個体差なのでしょうが、試乗したZ400と比べると幾分雑味があり、若干質感が削がれている印象がありました。逆に今回はZ400を魅力的に感じてしまい、よけいに悩ましくなった気がします。

YAMAHA YZF-R25 (2017年型)

Ninja250とNinja400 スリムでコンパクトな車格はNinja250/400と似たようなものですが、ハンドル位置が高く、日常性はこちらのほうが上でしょうか。

低中速域が弱いイメージを持っていましたけど、そうでもなく十分使えます。ハーフスロットル未満では若干線が細い感触があるものの、気にするほどでもないレベル。何よりガバッと開ければシャープに吹け上がり、Ninja250/400よりもスムーズで楽しい。ん? どこか懐かしい感覚... 昔々乗ったことのある、FZ250フェーザーを思い出しました。8,000rpmまで実用的なトルクを発揮していながら、それ以上回していくと少々振動を伴いつつ鋭く吹け上がるキャラクターでした。あのFZ250フェーザーのように、ヤマハらしくバイクとの対話が楽しいタイプですね。
高回転域のパワー感はNinaj250と変わらない印象。動力性能にあまり差はなく、好みで選んで構わないと思います。荷かけフックが無いことやタンクカバーを採用したスタイルなど、Ninja250に比べ、日常性よりも趣味性を重視し割り切っていて、ちょっと急かされる傾向なエンジンは、のんびりツーリングにはあまり向かない気がします。まぁ、たいした差ではありません。

ちょっと気になったのが、試乗車だけ極低速域がこなれてないのか、発進時にストールしかける傾向があったこと。回転数を上げてクラッチを丁寧にミートしても同じ。試乗車のクラッチがトラブルを抱えていたのかもしれません。

SUZUKI GSX250R (2018年型)

スーパースポーツルックでハンドルは低めながら比較的ラクなポジションが好印象。オジサンの私にはこのくらいがいいかなあと思いました。安っぽさはないけれど高級感もありません。やや無機質なメーター表示と相まって「おっ、スゲー」などと言われることは無さそうです。

走ってみると、ライバル車に比べて中低速でトルクが上乗せされているばかりか、2気筒にしては振動と騒音が非常に少なく、実は3気筒なんですと言われれば、ああそうなのかと信じてしまうほど。CB400SFには及びませんが、まるで昔の400cc4気筒車の中低速域のようでもあります。それほどスムーズで振動が少なくレスポンスがよい。加速もグッド。何も難しいことを考える必要がなく、ボーっと走れてしまうかもしれません。ツーリング先で周囲の景色を楽しむなんて良いですねえ。
ただし高速道路で法定速度前後に到達すると、その上がもうありません。400cc4気筒車で7,000rpm以上にレブリミットがかかっているかのよう。果たしてもっと上が要るのかと問われれば、要らないかもしれません。そんな機会はとても少ないでしょうし。だけど余裕はあまり無い。余裕が無いことにストレスを感じるかどうか、人によって違うと思います。

GF250S 走って楽しいかと言われると、NinjaやYZFに比べてバイクとの対話はつまらないほう。痛快さを追求しているわけではなく、YZF-R25と好対照な気がします。己のマシンと対話を続ける閉じた世界ではなく、もっと外へと意識を向けるタイプ。個人的には好きなエンジンですが、これ1台ですべてのシーンに満足できるかいうとビミョー。キャラクターとスタイルがアンマッチなところも惜しい。ツーリングに向いたシンプルで無印良品的なスタイル、昔のGF250Sのようなルックスなら、かなり惹かれてしまいそうです。

SUZUKI V-Strom250 (2017年型)

VStrom250 上述した車種とはカテゴリー違いですが同時に試乗したのでついでにインプレを書いておきます。

250ccにしては大ボリュームに見えて重そうなルックスながら、跨がるとそうでもありません。直立したポジションは実に快適だし、大型スクリーンはそれなりに風を防いでくれ、GSX250Rと同じくスムーズなエンジンは素直なだけでなく高級感すら味わえます。
が、前後に車両がいない状態でフツーに巡行していてメーターに視線を落とすと、体感よりも1割以上速度が低いことがあり、思ったよりも前に進んでいない印象です。GSX250Rに比べてローギアードなせいかもしれません。まぁ、飛ばすバイクではないですし、すぐに慣れてしまうことでしょう。

個人的に気になったのはハンドリング。直立した殿様ポジションとフロント17インチホイールの組み合わせは、想像以上の小径タイヤのように錯覚する気がしました。完全なオンロードバイクなのですね。オフ車、いえアドベンチャーの外装を纏っていますが、中身は高いアップハンドルを装備した、前後17インチホイールのオンロードバイク。決してクセがあるわけではないのですけど...
勝手な想像ですみませんが、動力性能面もハンドリング的にも、他のバイクと連れ立って走りを楽しむキャラクターではありません。実は群れない、孤高のバイクなのかもしれません。


小排気量の2気筒なんてどれも似たようなものだろう、そんな先入観を持っていましたけれど、確かに似たような部分も多いながら、それぞれのメーカーごとに特徴があって、それぞれに面白いです。


 2014年型 Ninja250のインプレッションはこちら
 2008年型 Ninja250Rのインプレッションはこちら
 2011年型 Ninja400Rのインプレッションはこちら