木の話

ヒノキ

写真1 ヒノキ林

写真1 ヒノキ林

写真2 ヒノキ造の神社

写真2 ヒノキ造の神社

古来より日本ではヒノキが宮殿、寺院、神社の建築材として必須であるとされてきました【写真2】。法隆寺に代表される歴史的建築物にはヒノキが使われています。1000年育ったひのきで造った建物は1000年もつ、といわれています。

木曽ヒノキが特によく知られています。ほかに天竜、吉野、東濃、土佐などが有名産地です。スギと並ぶ代表的な植林樹種で昔から植林されてきました。各地で地場のヒノキが利用されています。身近な針葉樹のひとつです。木曽ヒノキに代表される天然ヒノキは植林ヒノキに比べて径が太くたいへん目が細かく、皮や色や香りも独特です。ですが、天然ヒノキは非常に数が少ないため高価です。

写真3 ヒノキ丸太

写真3 ヒノキ丸太

写真4 ヒノキ丸太木口

写真4 ヒノキ丸太木口

辺材(しらた)は白く心材(赤み)は黄褐色から淡桃色をしています【写真3】【写真4】。柔らかく狂いが少なく加工しやすい上、強度が高く腐朽に強いので耐久性保存性に優れています。その用途は幅広いものです。構造材としては柱・土台・梁・桁・母屋などに、造作材は敷居・鴨居・窓台・枠材・壁材・フローリングなどから下地材の筋交・間柱・貫・胴縁・野地板までなんにでも使えます。手鉋や超仕上げ鉋をかけて丁寧に仕上げると美しい光沢(照り)が生まれます。ヒノキの香りの成分には抗菌作用があります。それが腐朽に強い理由です。また、リラックス効果があるとも言われています。

写真5 ヒノキ板

写真5 ヒノキ板

本来ならヒノキでもスギでも、薄くて幅の狭い貫(15mm×90mm)・胴縁(18mm×45mm)・野地板(9〜12mm厚)は端材(コワ)で取るので丸太に無駄が出ません。それでも残る皮や切れ端はチップ工場(紙の原料になる)が、大鋸粉(おがこ)は酪農家(最後は堆肥になる)が引き受けてくれます。しかし最近は安価な合板や外材に押されて利用されないため、あえてそういったものを取らずにチップ工場へ出しています。もったいない話です。それ以前に、国産材の利用が急激に落ちている現状は大きな問題ですが。