木の話

マツ

写真1 マツ立木

写真1 マツ立木

写真2 マツ丸太大径

写真2 マツ丸太大径

松ぼっくりでおなじみの針葉樹です。赤松、黒松です。輸入材の米松(べいまつ)に対し地松(じまつ)と呼ばれます。

ヒノキやスギより強度に優れ粘り強く耐久性があることから構造材として使われてきました。大径の丸太【写真2】は製材して梁・桁・胴差などの平角になります【写真3】。これは丁物と呼ばれます。屋根の骨組みとなる小屋梁等には丸太【写真4】やタイコに製材したもの【写真5】の曲がり材が用いられます。これは野物と呼ばれます。上に凸になるように(虹のように)組まれます。大断面でなくてもアーチの特性を生かすことで強度を出す、というものです。

写真3 製材のようす

写真3 製材のようす

写真4 マツ丸野物用

写真4 マツ丸野物用

今ほど道具が発達していなかった時代に人力で太い丸太を四角くするのは至難の業であったでしょう。それなら、曲がっていてもかまわないし人手もかからずもっと細いもので強度が稼げるならそうするのが自然です。なにせすべて人力ですから、無駄な労力は使わないでしょう。平らな板を作り出すのは大変なことだったころの話ですから。

写真2 マツ丸太野物

写真5

地松は粘り気のある油分(松脂―まつやに―)の多い木です。独特の艶をもっています。時々脂が木の表面に出てくることがあります。普段目に付かない小屋裏なら放っておいてもかまわないものです。もし表しの梁などで気になるようでしたら、揮発性の溶剤で溶かしつつ拭き込めばいいでしょう。何度もやっているうちに脂は止まりいい感じの艶になります。

造作材では階段板、フローリング、二階板などに使われます。とくに木目の美しいものは床(とこ)板、棚板、式台に使われます。ケヤキと同じような使われ方です。ケヤキは硬くかっちりした感じがするのに対し、地松は柔らかくしっとりした感じになります。